如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

若手社員の将来設計は想像以上に「堅実」。ただし現状再考の余地も

若手の49%が「転職を考えている」という現実(東洋経済オンライン)

佐佐木 由美子 : 人事労務コンサルタント/社会保険労務士

 

 私のような50代後半にとっては薄々感づいてはいたものの、想像以上にショッキングな記事「若手の49%が『転職を考えている』という現実」が11月7日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事では、一般社団法人日本能率協会の2019年『入社半年・2年目 若手社員意識調査』を引用しているのだが、調査対象は「全国の入社半年・2年目を迎えた若手社員400人」となっている。

 

 こう言ってしまうと見も蓋もないのだが、本記事は日本能率協会が調査結果の概要としてまとめた1ページ目の「トピックス」を多少「肉付け」した内容が主体で、著者オリジナルの分析は少ない。

 とは言え、普段目にする機会が少ないこの調査結果にスポットライトを当てたことの意味はあると思う。

 

 記事は、冒頭に「若手社員の約半数(48.8%)がすでに転職を検討・活動中という結果」という内容から始まる。

 続けて、「『すでに副業・兼業をしている若手社員は、28.0%と3割近くもおり」とし、入社3年に達する前に、半数が転職を考え、実際に副業をしているという調査結果を紹介している。

 

 私自身は新卒から現在まで30年以上同じ会社で雇用されてきた(別会社への出向はあったが)という、「旧世代」の人間なので、若手社員との意識の差はあって当然だとは思うが、このアンケート結果にはいささか驚いた。

 

 ただ、現在までここ20年近くの正社員の待遇の変化などを考えると、納得のいく合理的な行動ではある

 私の就職した時代は、終身雇用、年功序列が当たり前、どんなに管理能力が劣っていても「部長」か「副部長」ぐらいまでは出世できて、本人の仕事ができない部分は部下がサポートしていた。

 今では考えられないが、懇親を深めるための毎年会社主催の「ボーリング大会」などがあったのである。当然ながら社員の家族の参加も大歓迎だったし、かかる費用はすべて会社負担。

 

 これがバブル崩壊やリーマンショックなどで会社の経営姿勢が「社員重視」から「株主重視」へと変わり、最大限の効率経営が求められるようになった。

 保養所や寮などは廃止、業務の目標を具体的に定めて上司と面談、その目標達成度で給与が変動し、評価次第で社員の「選別」も始まった。年下の上司が登場するようになったものこの頃からである。

 

 この方向転換は時代の趨勢であって間違っているとは言わないし、それまでが社員の「会社への帰属意識」を高めるための過剰ともいえる待遇だったのは確か。結果として今となっては死語に近い「社畜」というある意味自虐的な言葉が存在した(家畜から派生した造語)。

 いまでも、ブラック企業で生活のために死ぬほど働かされている人はいるが、社畜は自分の意志で望んで激務に身を投じていた点でやや異なると思う。

 

 時代を現在に戻すと、最近では富士通NECなど日本を代表するような大規模なリストラを実施、しかも対象が40代にまで低下してきたほか、キリンビールのように過去最高の利益を出しながらも早期退職を募集するなど、会社の社員を評価する視点は「どれだけ利益に貢献できるか」の一点に集中しているようだ。

 

 こういう環境下で若手社員が、自己防衛本能から転職への準備を進めるのは当然ではある。会社が自分の将来を保証してくれないのだから、自分で将来設計の指針や方策を立てるしかない。

 となると、いざ転職するとなった場合、転職市場で最も評価されるのは「スキル」。

 記事では、「目標にしたい人が『いる』人が、能力・スキルが『上がった』割合が圧倒的に高い」という結果を紹介しているが、つまり、社内でスキルが上がるなら会社に留まるし、そうでなければ見切りをつけるということだろう。これは極めて合理的な判断だ。

 

 と、ここまでは様々なメディアで報じられてきた内容でもある。当ブログの「情報を斜め視線から」という姿勢から、私見を述べてみたい

 

 まず、明らかなブラック企業であればとにかく脱出を図ることが最優先である。ここでいうブラック企業とは、従業員を安く使う「道具」としか考えていない会社で、社員のスキル向上などは視野にない。勤め続けるのは自殺行為である。

 ただ間違えないでほしいのは、単純に見える作業で「こき使われること」自体が、悪いわけではないということ。

 特に大企業の場合、会社全体から見れば、若手社員にできることなどわずかだ。意識高い系の若手には「これは自分の仕事ではない」と単純なコピー取りなどの仕事を嫌う傾向もあるようだが、これは個人的な見方をすれば「仕事を表面的にしか見ていない」浅はかな行動である。

 

 これは私自身の経験でもあるが、当然ながら新人時代はコピー取りも任された。問題はこの任されたコピー取りの仕事をどう捉えるかなのである。ポイントは2つ。

 普通は、自分の仕事場に元も近いコピー機を選択して待っている人がいれば順番待ちをするだろう。ここで普段から他部署の職場などに気を配っていれば、より高速処理で空いているコピー機の存在を知っているので仕事が早く済むという点がひとつ。

 

 もうひとつはこっちの方が重要なのだが、コピーを取っている間に「ぼーっと」待っているか、出てきたコピーの内容を流し読みでも構わないので「目を通す」か、という違いだ。

 

 これは上司を経験した立場から言えることだが、本当に需要な機密書類を新人にコピーを任せるようなことはまずしない。安全を考えて自分でコピーする。

 ということは、任されるコピーは、その内容が新人でも何らかの程度関係があったりして、仕事を進めるうえで役に立つかもしれない情報が書かれている可能性が高いのだ。

 

 この内容チェックを毎回コピーの都度実行していれば、会社における自分の部署の仕事の意味が立場がある程度理解できるようになる。少なくとも不満タラタラで漫然とコピーしている新人とは大きな差が付くのは確実だ

 加えて言えば、上司の手が空いた時間や機嫌がいい時に、「さきほどのコピーを任された資料の件で教えてほしいのですが」などと話しかければ、評価は上がることはあっても下がることはまずない。

 

 コピー作業ひとつとっても、それを生かすも殺すも若手社員の捉え方次第で大きく変わってくるのだ。

 

 若手社員にとって、現在の仕事が「スキルアップに繋がらない」と判断するのは簡単だが、その前に「何か生かす方法はないか」検討してみることをまずはオススメする。

 

 スキルアップは「与えられた仕事」から得られるだけではなく、「自分から創意・工夫」することで獲得するという側面もあることは知っておいていい。

CH-Rが売れない理由は分かるが、シエンタが売れる理由は?

シエンタ絶好調でも、「C-HR」が大苦戦する理由(東洋経済オンライン)

渡辺 陽一郎 : カーライフ・ジャーナリスト

 

現在乗っているミニバンのサイズがやや大きくて、取り回しに苦労することが多いので、もう少し小型のミニバンを検討しているのだが、1500ccクラスのミニバンとなるとトヨタの「シエンタ」か、ホンダの「フリード」しかないのが現状だ。

 

 こうした悩みを抱えるなか、11月6日付けの東洋経済オンラインに「シエンタ絶好調でも、『C-HR』が大苦戦する理由」が掲載された。

 

 この夏シエンタが何故かバカ売れしたという記事は、自動車関連のニュースサイトで見た記憶があったのだが、そこには「売れた」という事実だけが書かれていてその「理由」が明記された記事はなかったように記憶している。

 

 結論から言えば、「やはりなぜシエンタが売れたのかは分からなかった」だ。

 

 記事では、売れた理由として、①2018年9月にマイナーチェンジを実施、②ヴォクシーのようなミドルサイズミニバンからの乗り換えが目立つ、③シエンタは“好調に売れる波”に乗った、の3点を挙げているが、個人的な感想を言えば、どれも説得力に欠ける。

 

 まず急激に売れ行きを伸ばしたのが、7月(前年同月比157%)、8月(同158%)、9月(同185%)で、1月から6月までの累計(同112%)を圧倒した理由に、この3つがどれも当てはまらないからだ。

 

 あえて間違いを覚悟のうえで私見を述べると、夏ごろから10月にマイナーチェンジするとの噂が流れていたので、現行型のデザインを好む層がモデルチェンジ前に買い急いだのではないかと推測している。

 実際に10月4日に発売されたのは、シエンタを含むコンパクトカー4車種に特別仕様車を設定、という内容だったのだが。

 

 一方、CH-Rが売れない理由は実に分かりやすく説明している。

 記事では「主に外観デザインの魅力によって売れる商品であるから」で、「実用性では選ばれないため、欲しい人がひと通り購入すると、売れ行きが伸び悩む」と解説しているが、これは納得がいく。

 

 私自身、CH-Rが発売されてすぐに販売店に行って展示車を見たが、確かに外観はカッコよかった。タイヤとホイールが異様に大きく、まさに小型SUVの王道を行くイメージ。

 セールスの人に主な購入層を聞いたら、「意外にも50代男性が多い」と聞いて、子育てが一巡しておカネに余裕のできた自動車好きのシニアが買っているのだと思ったが、私自身の感想としては「レンタカーで乗るにはいいけど買うことはないな」だった。

 

 というのも外観などのデザインを優先した結果、記事にもあるが後席と荷室のスペースが実用とは思えないほど狭いと感じたほか、致命的だったのは「運転席から見た背後の視野の狭さ」だ。

 まず背面の窓ガラスが大きく寝ているので上下幅が極端に短いうえ、後部座席の窓ガラスから後ろにガラス部分がないので、バックの際の見切りがとても厳しい。

 

 販売店の人にこの点を指摘したら「そのためのバックモニターです」と言われたが、安全確認の基本はまず「目視」ではないだろうか。

 

 ここまで実用面でデメリットがあると、本当にデザインが気にいった人しか買わないから、ファンの買いが一巡すれば売れ行きは落ちる。

 

 たださすがトヨタと感じたのは、11月5日にダイハツからのOEM供給で5ナンバーのSUV「ライズ」を発売したことだ。

 こちらは後部座席の後ろにも窓ガラスがあり、視野はCH-Rより改善されているし、後部座席の天井も高いので乗車時の狭さは多少なりとも感じにくくなっているはずだ。荷室の容量もCH-Rの318Lに対して、369Lと大きい。

 

 CH-Rのデザインは好きだが実用性で購入を躊躇していた層をターゲットにしているはずで、トヨタ車種のラインナップの「穴」を埋める効果は大きいと思う。

2日続けてAmazonレビューがテーマになりますが・・・

偽レビューを見分けるには勉強代が必要

 

 このブログは原則毎日午前中の早い時間帯に更新しているのだが、ネタ元は多くの場合東洋経済オンラインで、たまにダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインを引用することもある。

 

 昨日は朝方から東洋経済などの記事を読んでいたのだが、これといってコメントしたり、ブログのネタになるような記事が見当たらなかったので、日々考えていたネタのひとつであるAmazonレビュアーのランキングについて、実体験をもとに「Amazonのレビュアーランキングの仕組みが不可解、順位変動の根拠が不明」というタイトルで書いた。

 

 外出から帰宅して何気に東洋経済オンラインを見たら偶然にも「アマゾンで偽レビュー作りまくる不届者の正体」という4日にブログで書いたテーマと被る記事が掲載されていて驚いた。

 もっとも、当ブログはレビューを書くレビュアーの「ランキング」についての内容で、東洋経済の記事にあるレビューとレビュアー「そのもの」ではないので、完全に重なる訳ではないのだが。

 

 とは言え、私が午前中に更新したブログの内容とほぼ同じテーマで東洋経済オンラインにその日の夕方に掲載された以上、黙って見過ごせないというのもある意味では本音。

 そこで、今回はAmazonの記事にある「偽レビュー」について私見を書きたい。

 

 まずAmazonのレビューについて言えるのは、「参考」にしてもいいが「信用」するには注意が必要ということだ。

 

 記事では、《0円仕入れ》という言葉を使っているが、これは正確な表現ではない。実際にはレビュー依頼のあった商品を自分のおカネで購入、五つ星のレビューを書いたことを連絡すると、PayPalで支払われるというのが実態である。

 なぜ先に商品を送り付けてこないかと言うと、商品を受け取ってレビューを書かないリスクを回避するという意味もあるが、Amazonで購入するとレビューの上段に「Amazonで購入」という赤い文字が表示され、レビューへの信用度が高まるという効果を狙っている側面の方が大きい。

 

 レビューを書いている当事者は、フェイスブックのグループに登録して「投稿者にメッセージで、レビューさせてください、って連絡するんです」と解説しているが、私の個人的な経験から言えば、レビュアーランキングで500位以内に入ると、自動的に向こうからレビュー要請のメールが届くようになる。

 

 メールにはAmazonの自己プロフィールを読んで、「あなたの考え方に共感しました」とアプローチを試みる手の込んだ「勧誘」もある。

 

 なかには勧誘に乗ってレビューを書くランカーもいるのだろうが、真面目なレビュアーは無視の一手だ。というのも、Amazonでは販促となる投稿を禁止しており、その具体例として「対価(現金、無料または割引商品、商品券、後日購入する商品に対して第三者が提供する割引など)を得るために、お客様がレビューを投稿する」が書かれている。

 これに違反した場合は、アカウント削除となる場合もあるはずで、苦労して獲得したランクをわずか数千円のために棒に振るようなマネはしないからだ。

 

 また記事では、「ネット上の口コミ情報を「かなり信用する」と「まあ信用する」を合わせると55%を超えており、口コミ情報を参考にするサイトとして、1位の《価格・ドット・コム》の次に、アマゾンのカスタマーレビューが2位となっている」と調査結果を引用しているが、別の見方をすれば半分近くは「信用していない」ということになる。

 

 米国での調査によれば「84%がレビューを自分の友人からの推薦と同じように信用している」そうだから、日本人の方がネット情報を信用していないというのは意外でもあるが、元々何の利害関係もないうえ、身元も不明瞭な他人のレビューを鵜呑みにする方が間違っている。

 

 レビューの見方については、各方面で研究されておりスマホのアプリでも「レビュー探偵」などの信用度を判定するアプリが出回っている。

 これらのアプリを利用するのもひとつの手だが、その分析ロジックがブラックボックス化しているため、どこまで信用が置けるのかはケースバイケースだろう。

 

 個人的な結論を言えば、絶対にまがいものを掴みたくないなら、本物び商品を正規ルートで買うしかない。具体例で言えばモバイルバッテリー大手のAnkerは本社が中国の企業だが、イヤホンなどを含めて製品のコスパは高い。

 ところがこれに乗じた「似たような名前やスタイルの中国製商品」がAmazonでは堂々と出回っている。価格は半額以下だ。大抵は性能も数段落ちる。

 

 逆に、偽ブランド品でも構わないというなら失敗覚悟で購入するのも一手だ。あまりお勧めはしないが、個人的な経験では「意外にコスパが良かった」商品も全くないわけでないというのが実態で、皮肉にもこれが消費者を惑わせる要因にもなっている。

 

 筋論で言えば偽レビューを書く側に一義的な問題があるのは確かなのだが、現実にはこれらをせん滅するのは不可能。

 多少の勉強代は払っても、実体験でレビューの真贋を見極める力を身に着けるのが、残念ではあるが王道なのかもしれない

Amazonのレビュアーランキングの仕組みが不可解、順位変動の根拠が不明

Amazonのレビュアーランキングの実情はこうだ!

 

 Amazonに限らず、食べログなどの利用者のレビューについては、以前から何かと話題を集めている。

 代表例を挙げれば、「ヤラセ」や「ステルスマーケティング(ステマ)」の類ではないか、という指摘だろう。

 

 私自身はAmzoonのヘビーユーザーでもあり、購入した商品のレビューは積極的に投稿してきた。当初は何げなく書いていたが、レビュアーランキングという制度があることを知り、自分のレビューの実力を知りたくなって、積極的なレビューを始めたのが2017年の秋頃。

 ここから怒涛のようなレビューの投稿を続けて、ランクは600万番台から2019年1月には87位に上昇、ベスト100レビュアーとなった。調子に乗ってKibdle本「364日で Amazonベスト100レビュアーになる方法」を出したのもこの頃である。

 ちなみにここまでの話は自慢話ではなく、これから事情を解説するための前置きである。

 

 さて、87位に上昇して達成感も出ていたなか、その事件が起きる。

 今年1月に何の前触れもなく、Amazonから「それまでに書いたレビューがガイドラインに抵触した」との通告があり、理由ことで300本近レビューが一方的に削除され、新規のレビューも一切できなくなったのだ

 

 想像するにAmazonで購入したある商品の販売業者(中国の可能性が高い)の顧客への対応があまりにも酷かったので「酷評」し、★1つのレビューをしたことが販売業者の逆鱗に触れたのだと思う。

 

 こちらとしては「注文した商品と違う商品が届いたので交換を要求したら次回以降から対応する」という販売会社の「誠意を疑う」事実をそのまま書いただけなので強制退出に不満はあったが、「所詮Amazonも手数料ビジネス」を諦めていた。

 

 ところが今度は一か月後に、Amazonから「調査の結果レビューに問題はありませんでした。ご迷惑を掛けたことをお詫びします」との連絡があり、一転して全レビューが復活、新規レビューも投稿できるようになった。

 

 もっとも今後のこともあるので、「どのレビューのどこに問題があったのか」については、Amazonに2度も質問したものの回答はなく依然不明。

 余談だが、私のレビューをAmazonに通報したと思われる販売業者は、その後Amazonから追放処分となっていた。

 

 という経緯があったものの、気を取り直して再びレビューを再開したのだが、今度はランク順位の変動に疑問を感じるようになった。

 具体的には、いくらレビューを投稿して、「役に立った」投票を集めても順位が上がらないのである。むしろ下がったと言った方が正しいかもしれない。

 

 投稿禁止処分を受けた時点の順位は87、復活直後の順位は103、その後多少の変動はあったものの110から130の間に収まっていた。

 レビュー投稿の回数とその評価のペースは以前と変わらないのに、順位が上がらない理由が分からないのである。

 

 この事実を確認しようと、7月9日を最後に一切のレビュー投稿を止めた。この時点でのランクは120位、現時点ですでに投稿中止から4カ月近く経過しているが、11月4日時点の順位は120位とまったく変動がない

 

 当然のことながら、新規レビューはこの4カ月1本もないので、7月以前に書いたレビューヘの評価がせいぜい週に10件ほど追加される程度。この程度の評価ではランクは「下がる」のが当然だろう。

 

 結論から言えば、Amazonはレビューランキングを、レビュー本数やその評価とは別に何らかの基準を設けて、作成している可能性が高い。つまり意図的、恣意的にランキングを操作してる可能性がある。

 

 元ベスト100レビュアーとしては、Amazonで商品を購入する際には、「レビュアーのランキングの称号(ベスト500とか1000など)をあまり参考にしない方がいい」とAmazon利用者にはアドバイスしたい。

 ただし、私が得意としていた新書など書籍のランク上位レビュアーは例外で、ある程度の信頼はおけるはずだ。書籍類のレビューには、その内容に応じた評価が付くので、あまりハズレはないと思う

 基本的にステマは海外製の日用品などが主体で、日本語の本は対象になっていない。

 

 以上、私自身のレビュアーとしての経験をもとに思うことを書いてみたが、参考になれば幸いである。

キャッシュレス還元は課題も多いが、時代の流れ。大胆な優遇策の検討を

国のキャッシュレス還元がこんなにも酷いワケ (プレジデント・オンライン)

西田 宗千佳 ジャーナリスト

 

 10月1日に消費税率が引き上げられて1カ月。合わせてキャッシュレス決済を行った人向けに「ポイント還元制度」が導入されたのだが、このキャッシュレス還元の効果に疑問を投げ掛ける記事「国のキャッシュレス還元がこんなにも酷いワケ」が11月1日付けのプレジデント・オンラインに掲載された。

 

 キャッシュレス還元策については、当ブログでも10月1日に「中小企業『ヨドバシカメラ」のキャシュレス還元策に他社はどう対抗するか』で取り上げているが、今回紹介する記事は、導入から一カ月が経って、キャッシュレス還元制度の導入による現場の混乱ぶりを紹介する内容になっている。

 

 記事では、最後に「なんでも同時にやるのではなく、負担軽減や利用促進のためのアプリ開発といった準備を『ちゃんとしてから』やるべきだった」と指摘している。

 

 個人的には、この意見に賛同するが、増税とキャッシュレス還元は表裏一体の政策であり、「ちゃんと準備する」よりも「同時に実施する」ことの優先度が高かったのは明白で、キャッシュレス制度が運営側の方針で、種類、使い勝手、還元方法などが異なるのは、時間的制約などの面から仕方がないと考えている。

 

 ご存じのように、キャッシュレス還元を受けるには、従来からあるクレジットカード、SUICAなど交通系の電子マネー、最近急速に普及したQRコード決済の3つがある。

  政府は、キャッシュレス化を進めるべき対象に現金決済が主流の中小企業をターゲットにしており、ポイント還元率も中小店舗を高めに設定している。

  またクレジットカード、電子マネーは専用の読み取り装置が必要で、この導入、維持コストがバカにならない。加えて還元策が来年6月までの期間限定とあって、その後のコスト負担や顧客離れなどを考えると、実質的に中小企業にはQRコードの一択だろう。

 

 ただこのQRコードだが、各種メディアや周囲の反応を聞くと評価は二分されているように感じる。確かに手持ちのスマホが利用できるのは便利だが、実際に使うにはアプリを立ち上げて、QRコードを「読み取る」か「読み取らせるか」の手間が必要があり、カードで「ピッ」の電子マネーより使い勝手は劣る。

 

 記事にあるように店員さんにはQR決済に不慣れな人もいて、レジ処理に時間がかかるのを目撃したこともあるし、また私自身は10インチのタブレットは持ち歩いているがスマホは所有していない(ちなみに通話とメールはガラケー)。

 カバンからタブレットを取り出して支払うのは手間がかかるし、そもそも小売りのドン・キホーテのアプリではタブレット自体が利用できない。

 

 以上から私自身は、少額決済はSUICA、それ以外はクレジットカードを利用している。実際にこの方が決済にかかる時間はQRコードより短い(サインが不要な場合)。

 

 とはいえ、スマホの普及率がさらに向上し、導入当初の混乱が一巡すれば、QRコード決済を利用率は高まるだろう。現時点ではPayPayを中心に乱立して、混乱要因のひとつになっているQR決済だが、今後優勝劣敗が進み、上位数社に集約される公算が大きい

 過去には携帯電話も当初は、多くの事業者が参入したが結局大手3社に落ち着いた。

 

 新たな政策の導入にあたっては、最低限のルールを明確に定めたうえで、あとは企業努力が反映されるようにサポート・運営するのが政府・自治体の役割だと思う。

 下手に介入できるような制度にするから、利権を巡っての贈収賄や忖度、新規参入への躊躇などの遠因になるのだ。企業が特徴を生かした商品を展開し、その選択は消費者が決めればいいだけの話である

 

 ただ、QR決済も万能ではないと思う。まず電池が切れたら利用できないという物理的な要因と、QRコードを不正に読み取られるというセキュリティ上の被害がすでに起きていることが挙げられる。

 

 政府の意向もあって今後の決済がキャッシュレスに移行していくのは間違いはず。非合法なアングラマネーや脱税対策にも、マイナンバー制度の普及による相乗効果で有効だろう。

 

 キャッシュレス社会の実現には、国民の理解と協力が欠かせないが、期間限定のポイント還元では効果は小さい。

 私見だが、キャッシュレス決済の実績を集計して、その総額が所得に占めた割合によって、所得税を還付するといった「大胆」な政策があってもいいのではないか。決済が電子化されているのだから、集計も困難ではないはずだ。

 必要な予算は、キャッシュレス化による資金移動の効率化によってもたらされた削減コストを原資にすれば、十分可能だと思うのだが。

韓国の「崩壊」の時期が迫っている――国家統一は完全な無理筋、レアアースは北朝鮮版のM資金

「キャッシュレス還元」に頼った韓国経済の末路 (プレジデント・オンライン)

今井 澂 国際エコノミスト

 今月22日のGSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)失効まで残り3週間を切った。

隣国韓国との関係に改善の兆しは見られないが、様々な切り口から韓国の行く末を予想する記事「『キャッシュレス還元』に頼った韓国経済の末路」が11月1日のプレジデント・ンラインに掲載された。

 

 執筆したのは、山一証券や日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)グループの投資部門などで活躍された方で、90年代には株式相場見通しなどをマスメディアでよく発言されていた記憶がある。

 1935年生まれなのですでに84歳だが、書かれる記事の面白さは変わらない。このブログでは文字数の都合もあるので、記事のなかの「国家統一」と「レアアース」問題に限って検証したい。

 

 記事では、まず「文在寅大統領という人がいかに滅茶苦茶めちゃくちゃか」について、その経歴や発言から、朝鮮半島の南北国家統一で、中国を後ろ盾にした核兵器保有国として「日本と対等に渡り合える国」を目指している事を挙げている。

 

 また、中国寄りの国家統一にはパワーバランス上、米国が反対するのは確実であり、文大統領の「夢」は実現しないと説明している。

 

 現実問題として、一部では、国家が統一されれば「北朝鮮の安い労働力」と「貴重なレアアース資源」によって経済大国になる、との見方もあるにはある。著名な米国人投資家ジム・ロジャース氏の朝鮮半島への熱い視線と発言は、近著などで記憶に新しいこところだ。

 

 この点について言いたいのは2点。

 まず、北朝鮮の人口(2500万人)は韓国(5100万人)の半分近い。経済が疲弊しつつある現状で、統一で5割増しになる国民、しかもその多くが現在食糧難にあるとされるのに、彼らをそう簡単に食わせていける経済力が韓国にあるのか疑問だ。

 中長期的には、現在の組み立て加工型の産業構造を転換していくつもりのようだが、現時点で韓国にしかないテクノロジーというものを私は知らない。現在主力の半導体や自動車分野も、中国や他のアジア諸国の台頭で優位性は失われつつある。

 これらに匹敵する新たな成長産業をそう簡単に見つけられるほど、国際競争は優しくはないだろう。

 

 もうひとつは「大量のレアアース埋蔵」の真偽について。

 これは一部の政治家や評論家がよく取り上げる話題で、最近では今年6月20日のビジネスジャーナルに掲載された「北朝鮮、地下に2千万トンのレアアース埋蔵…日本が詳細データ把握、外交交渉の切り札に」が分かりやすいだろうか。

 

 この記事では、「北朝鮮には2000万トンのレアアース17種が眠っている。その上、こうした地下資源に関するデータは日本統治時代に日本企業が『足で稼いだものが今でも活用可能な状態で保存されており」としている。

 

 個人的には、このレアアース問題、その存在自体が怪しいと思っているのだが、それ以上に怪しいのがこの記事を書いた「浜田和幸」なる人物なのだ。

  肩書は「国際政治経済会社」で、参議院議員も一期務めている。ただその発言には「どういうこと?」という疑問符が付くものが少なくないのだ。

 

 ウィキペディアによれば同氏の「政策・主張」の項には、「アメリカ同時多発テロ事件が保険金狙いだったことを示唆する発言を繰り返している」と書かれている。

 また地震についても「スマトラ島沖地震が『地震兵器』、『津波兵器』により引き起こされた可能性があるとし、アメリカの関与を示唆した」との論文を発表したり、2011年の衆議院東日本大震災復興特別委員会では「地震や津波を人工的に起こすのは技術的に可能で、国際政治、軍事上で常識化されている」と発言している。

 

 こういう「陰謀論」めいた発言を公式の場で堂々とする度胸は買うが、その結果本人の信頼度と、主張の信憑性が下がっているということには気づいていないようだ。

 

 北朝鮮のレアアースもこの流れに属する内容だと思う。そもそも「現在活用な状態」にあるなら、採掘して国際社会で売れば相当なおカネになるのは間違いない。それをしないのは、できない「理由」があるからだろう。

 

 この理由について私自身は「レアアース」自体が存在しないか、あっても採算に見合わない程度の埋蔵量しかないためではないかと考えている。

 そもそも、国境が陸続きの中国や韓国の北朝鮮国境付近で、多少なりともレアアースが発見されたという話を聞いたことはない。

 国境から多少北朝鮮の山奥に入ったエリアで、「大量かつ多種のレアアースが埋まっている」というのは、もはや妄想に近い非現実的な話だと思うのが普通の感覚だと思うのだが。

 

 日本では、戦後からつい最近まで、M資金(GHQが占領下の日本で接収した財産などを基に、現在も極秘に運用されていると噂される秘密資金)を舞台にした詐欺事件が、有名企業で相次いだことがあったのだが、海外の政府が保有する資産を材料にして交渉(というか詐欺)を持ちかけるという点では、レアメタルはまさに「M資金の北朝鮮版」と言っていいのではないか

 

 今後仮に南北の国家統一に向けた動きが出てくるとすれば、このレアアースがテーマとして浮上するのだろうが、展開としては「発見できなかった」か「採掘困難だった」という結末になると思う。

 

 ここから先は考えたくもないが、これまでの過去の両国の態度や発言を見聞きする限り、「発見できなかったレアアースに匹敵する経済援助」などと言う名目で日本に経済支援を要求してくる可能性が高いだろう。

 

 こちらの立場としては、拉致被害者の苦しみを考えれば「同額の」補償金を請求したいところなのだが

4Kテレビの普及に「画面が暗い」という新たな課題

あの4Kテレビが「暗い」というとんでもない衝撃(東洋経済オンライン)

松田 史朗 : 朝日新聞記者

 

 当ブログでも何度か書いている4Kテレビだが、年内にも購入を検討している者として興味深い記事「あの4Kテレビが『暗い』というとんでもない衝撃」が11月1日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事は実際に4K放送と2K放送を並べて見比べた結果「4K放送の方が明らかに暗く見えた」という実体験の紹介のほか、関係者への取材からその原因が、

  1. 最大輝度の不足
  2. 4K放送の多くが2Kカメラで撮影されている
  3. 従来の2Kテレビが明るすぎる

 という3点にあることを解説している。

 

 1の輝度の問題について、記事では4K放送の特徴であるHDR技術を生かすには一定以上の輝度が不可欠だが、バックライト部品のコストアップなどを理由にメーカーが及び腰で、国内メーカー5社では東芝以外は非公表だとしている。

 実際に4Kテレビの画像が2枚掲載されているが、シャープが暗く、パナソニックが明るいのは確かだ。規格を公表した東芝が掲載されていない理由は不明だが、おそらく撮影した4Kテレビのなかで、最も「明るい」機種と「暗い」機種を引き合いに出したものと思われる

 

 メーカーのカタログでも4KテレビのHDR機能については大きくアピールしているが、より責任が大きいのは総務省の「4K放送・8K放送情報サイト」にある4K8Kとはの「4K放送8K放送の魅力」にある輝度の説明にある「輝度について」だろう。

 このページでは、「HDR技術により、映像で表現できる明るさの範囲が大幅に拡大し、より現実に近い明るさの表現が可能となります」という文面と、合わせて「従来」と「HD技術」の比較画像が掲載されている(メーカー名の記載はなし)。

 この画像を見ればその差は歴然、しかもご丁寧にも「より現実に近い明るさの表現が可能になり、白飛びなどが改善」との説明文まで書いてある。

 

 このサイトやカタログを読んでテレビを購入した消費者が。4K放送が実は暗いという事実を知れば、失望するのは確実だろう。

 

 問題2の2Kカメラの問題は記事では4K放送が普及して4Kカメラで撮影した番組が増えれば解決するとしている。3の課題も同様だろう。

 確かに、一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が今年8月に発表した「4K・8K放送市場調査結果のまとめ」によれば、受信可能なテレビの所有率は4Kで前回(3月調査)の3.1%から4.3%に、8Kでも0.7%から0.9%に増加している。

 ただ、両放送を受信可能なテレビを「欲しい」という人は前回の35.7%から31.2%に減少、「購入を予定している」人も30.1%から29.8%と微減しているのは気になる。

 

 記事を執筆した朝日新聞の記者は、8月に「取材結果を朝日新聞デジタルおよび朝日新聞紙上で特集・連載記事にし」、「うちの4Kテレビも暗い」などという反響が読者から多く寄せられた、としているが、我が家では朝日新聞を購読していないし、Webサイトでは有料記事なので読んでいない

 

 まあ実際に暗い機種が存在するのは間違いないのだろうが、読者から「多く」の反応が寄せられたという表現については、反応の「実数」が分からないので何とも言えない。

 また、記事ではA-PABには5月まで寄せられた相談のうち82件(1.6%)が「4K放送が暗い」という内容だったとしている。

 ただ、先の同協会の調査結果には4K(8K)テレビへの不満足理由も掲載されているのだが、上位5つには「画面が暗い」は入っていない(ちなみに1位はチューナーに関する内容で、2位は価格が高い)。

 

 また、記事では、今後4Kテレビが普及することでこの問題がクローズアップされる可能性に言及している。

  これについては個人的にはあまり問題にならない可能性が高いと踏んでいる

 その理由としては2つ。まず、家庭では今まで見ていた2Kテレビからの買い替えになるので、2台並べて比較する人は少ないうえ、「慣れ」もあって不満が爆発するような社会問題までには発展しない可能性が大きいこと。

 もうひとつは、急速に低価格化が進む有機ELテレビが、今後4Kテレビの主力になる可能性があり、現在の課題である「輝度」「耐久性」「小型化」などの問題が解決すれば、現在の液晶が一気にシェアを失う可能性が高いことだ。

 

 本体の重量や厚み、黒の再現性などでは有機ELが液晶を圧倒しており、現在は韓国のLG1社の独占供給となっているパネルが、印刷方式など日本メーカーの新技術の導入でパネル価格に競争原理が働くようになれば、普及に弾みがつく公算はある。

 

 また、現在家庭で視聴されている液晶、プラズマテレビは10年近く前の「地上波デジタル化」とそれに合わせた「家電エコポイント」の効果で一気にブラウン管からの移行が進んだ。

 今回はこのような大きな買い替えの誘発要因はないものの、我が家のようにテレビ自体が寿命を迎える家庭も少なくないことも、4Kテレビの普及には追い風だ。

 

 「4K放送が暗い」という側面にスポットライトを当てた意味では本記事の意味は大きいとは思うが、4Kテレビの普及に伴う部品価格の下落と技術改革でメーカーが社会問題に発展する前に、何らかの対策を講じる可能性は高いと思う。

 

 とはいえ、我が家も早ければ今月中にも購入を予定していた4Kテレビについて、その「輝度」を再確認するいいきっかけになったのは確かだ。

 

満員電車を「普通」だと考えることが「異常」という意識を

「満員電車は仕方ない」と受け容れる人の異常さ(プレジデント・オンライン)


中川 淳一郎 ネットニュース編集者/PRプランナー

 

 大都市圏に勤務する会社員であれば、大多数の人が日々悩まされている「満員電車」。

 この“痛勤”の異常さに気付くべきだ、という趣旨の記事「『満員電車は仕方ない』と受け容れる人の異常さ」が10月29日付けのプレジデントオンライン(POL)に掲載された。

 

 執筆したのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏。週刊誌などでもコラムを連載しているので知っている人も多いと思うが、最新のネット動向に精通していて、常に新たな話題を提供してくれるので、個人的には大変頼りにしている人物である。

 

 今回のテーマ「満員電車」は、ネットには関係はないが、会社員には切実な問題であることは間違いない。

 

 中川氏の記事は、最後に【まとめ】として「言いたいこと」が箇条書きになっているのも特徴のひとつだ。

 今回の記事の趣旨は2点。「満員電車は異常な空間であり、その解消策を真剣に考えるべき」と「何事も『そういうもの』として受け入れるクセを止めるべき」だ

 

 中川氏は満員電車を「さまざまな価値観を持ち、体格・体質・体調もバラバラである赤の他人が密閉空間にすし詰めとなり、拷問のような時間を過ごす」とし、さらに「インフルエンザや風邪といった伝染性の病気にかかるリスクは格段にあがるし、心身ともに疲弊する空間だけに、ちょっとしたことで口論や暴力が発生しがちだ」と、その悲惨な状況を解説する。

 

 さて、ここで現在の私自身の通勤状態を説明すると、一言で言えば「満員電車とは無縁」だと断言できる。

 私は、勤務先の近くに住んでいる訳ではない。むしろ電車には1時間近く乗っているので、都心や23区内に住まいを構える人たちよりも通勤時間は長いと思う。

 

 ではなぜ満員電車と無縁でいられるかだが、その答えは「早朝出社、定時前退社」である。

 

 具体的に私の通勤パターンを説明すると、朝6時過ぎに自宅を出て、6時20分頃の電車に乗り、7時20分頃に下車、7時30分には会社の自席に座っている。

 通勤の混雑で有名な路線なので6時台でも座れることはないが、すし詰めの満員ではない。少なくともタブレット端末を開いて、ニュースや雑誌の電子版を読む余裕は十分にある。

 

 退社時刻は原則として16時。前倒しで勤務している分早めに帰宅している。この時間帯だと通勤帰りの会社員はまずいないし、座れることも珍しくない。

 

 つまり普通の人よりも大幅に勤務時間帯を「前倒し」しているのである。

 中川氏は週2回の東京メトロ千代田線の新御茶ノ水が最寄り駅の会社への通勤を、佐合開始時刻を11時もしくは11時30分として一般的なサラリーマンに比べて2時間から2時間半「遅らせる」ことで対応しているが、私の場合は逆で出社時刻を1時間半「早める」ことで満員電車を回避している。

 

 もちろんこの勤務体制になったのは、ここ数年前からで、それまでは記事のような「地獄の満員電車」を無意識に何の疑問も持たず受け入れていた。

 

 現在の勤務体系に変更できたのは、①役職定年となって仕事の内容が変わったことである程度自己裁量が可能になった、②30年以上続けてきた通勤に身体が悲鳴を上げた、③会社側が社員の勤務時間帯に柔軟性を配慮するようになった、という事情が大きい。

  会社内でのポジションと健康状態を考慮したうえで、上司と人事部に相談、勤務形態の個別案件として認めてもらった。

 という訳で、誰でもすぐに実現可能な満員電車の回避策ではないが、役職定年や定年後再雇用など会社での立場が大きく変わった際には、上司などに相談してみる価値はあると思う。もちろん若手でも仕事上の実績やメリットがあれば、相談には乗ってくれる可能性はあるはずだ。

 

 早朝出勤のメリットだが、満員電車に乗らずに済むことのストレス軽減に加え、7時30分に出社すると、他に出社している人はまずいないのでオフィスが静かだ。9時前まではまず電話やメールが来ることは滅多にない。

 前日に残しておいたり、先送りしていた作業に集中できるので効率も上がる。職場の人たちが出社する9時頃には一仕事終えていることも多い。

 

 また、早く帰れるメリットも大きい。電車が空いていることが影響しているのか、人身事故などで運行が停止する可能性が低い。

 夕方早い時間帯に閉まってしまうような個人経営の専門店にも行くことができるし、私はアルコールを飲まないので経験はないが、居酒屋などの「ハッピーアワー」や「0ちょい飲み0」も空いている時間に気軽に利用できるはずだ。

 

 実施して数年経過した「大幅な時差通勤」だが、メリットばかりで大きなデメリットが今のところ見当たらないのが正直な感想だ。

 あえて挙げるとすれば、定時前退社を始めた頃に、周囲の目が多少気になったことと、冬場に早朝の寒さが身体に堪えるぐらいだろうか。どちらも「慣れ」で解消できる。

 

 先述したように誰もが簡単に実現できるとは思わないが、可能かどうか検討する価値はあるのではないだろうか。

 日々満員電車に揺られて、疲弊して会社にたどり着いて、仕事を始めるのを「普通」とは思わないことから、まずは始めてみることをお勧めする

株式投資の基本は「自分の投資スタイル」を確立すること

お金持ちになりたい投資初心者がとるべき戦略(東洋経済オンライン)

益嶋 裕 : マーケットアナリスト

 

 投資初心者に向けたアドバイスは巷に溢れているし、その内容も千差万別だが、投資にあたって最初に理解するべき事項を明快、簡潔に解説した記事「お金持ちになりたい投資初心者がとるべき戦略」が10月30日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 結論から言えば記事のポイントは4つ。一つ目は「情報収集する際に自分自身の頭で考えること」。

 まあ、普通の人にとっては命の次に大切なおカネの事なのだから、自己責任で投資するのは当たり前の話なのだが、これが未だに十分には理解されていないのが実情だろう。

 

 最近では郵便局の不適切な保険商品の販売がクローズアップされたが、証券会社や銀行などでも、外貨建ての保険や毎月分配型の投資信託など、商品の仕組みを十分に理解せずに、セールス担当から勧められるがままに高齢者を中心に投資する事例が後を絶たない。

 これらの商品は金融庁が、平成27事務年度版金融レポート「ほぼ名指し」で注意勧告した“曰くつき”の金融商品であるにも関わらずである。この辺の事情は、ライバル誌ダイヤモンド・オンライで山崎元氏が「金融庁がダメ出しする運用商品ワースト3」として詳しく解説している。

 

 話をもとに戻すと、雑誌やニュースなので紹介される専門家と呼ばれる人達のコメントを鵜呑みにして「投資」するのは、「投資したつもり」になっているだけである。

 

 その理由としては、こういう投資家に限って、「儲かれば自分の才覚、損をすれば人のせい」にする傾向が極めて強い傾向があるように感じるからだ。

 

 ポイントの2番目が「当たるも八卦当たらぬも八卦」、3番目が「もし予想が外れたとしても、専門家はあまり傷まない」だ。

 

 あくまで予想なのだから、ギャンブルと同じとは言わないが、投資が百戦百勝だとしたら、それはインサイダー情報を掴んでいるとか「不正行為」による可能性大だろう。

 注意すべきは、投資初心者であっても、こうしたインサイダー情報による取引に関われば「有罪」は免れない。しかも捜査対象には「儲けた」場合だけでなく、「損した」場合も含まれるのである。

 

 こう考えると、アナリストや株式評論家の発言が「ありきたり」なものにならざるを得ない理由が分かるはずだ。逆に専門家が自らの発言によって予想外に相場が荒れたら「相場操縦」への関与さえ疑われる可能性すらある。

 

 最後のポイントは、「自らの確固たる投資哲学を持っている」こと。

 90歳を超えてなお現役の株式投資家である英文学博士・外山滋比古氏が近著「お金の整理学 (小学館新書)」でも書いているが、外山氏が60年以上株式投資を続けていられるのも、自分なりの投資手法を確立しているからに他ならない。この本については当ブログでも4月11日に「文学博士、老後の「おカネ」を語る。お薦めは株式投資」で書評を書いている。

 

 私自身も30年以上の株式投資歴があるが、当然ながら儲かることもあれば損失を被ることもある。リスクあっての投資なのだから当然ではある。

 

 ただし重要なのは、記事にもあるが「利益や損失を出したこと」ではなく、「どうしてそうなったか」を考えて、経験として自分の投資手法を改善させていくことなのだ。

 

 加えて言えば、投資手法は投資家の数だけ存在すると言ってもいい。言うまでもなく運用に回せる金額、投資期間などは人によって異なるからだ。

 

 投資の世界に「絶対はない」というのはよく聞かれるが、自分の投資スタイルを確立していない人が長期的に投資を続け、成果を上げられることは「絶対にない」と言っていいと思う。

 

SUUMOの特集記事「中古物件売却5ヶ条」が意外にマトモだった

SUUMO新築マンション2019年10月29日号

 

 エキナカで配布される無料の新築マンション情報誌「SUUMO」の最新号に、この手の資料しては意外にもマトモな記事が掲載されたので紹介したい。

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SUUMO最新号の表紙

 10月29日に発行されたSUUMOのタイトルは「首都圏エリア開発MAP」で、これはこれで参考になるのだが、面白いのは巻頭にある第二特集の「マイホーム価格査定術」というタイトルでページ数は4ページ。
 記事では、中古マンション価格の上昇を背景に、住み替え需要への対応策を「簡易査定」「訪問査定」の2段階で行う手続きと、その事例を紹介している。

 

 本誌の狙いはあくまで新築マンションの販売促進なのだが、物件価格の上昇と販売戸数の減少で新規にローンを組んで購入する層が減ったことが影響している模様で、手持ちの物件を売って、新築マンションに乗り換えさせるための記事であることは間違いない。

 

 ただ、これまでのSUUMOの記事を数年にわたって毎号チェックしてきた者から見ると、今回の記事は「不動産業者寄りではなく、エンド(購入する個人)向けの記事」という意味で今までにない視点で書かれていて、その内容も、具体的でわかりやすい。

 例として引き合いに出される2つの査定方式が、数字を使って査定の実態を明らかにしている点にも注目だが、何よりも4ページ目の「家の売却5つの真相」が役に立つ。

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家の売却「5つの真相」

 最初の「査定額が“最も高い”仲介会社を選ぶべき」の項では、「査定額の根拠が確かでなければ、いくら高くても選ぶべきではない」という実にまっとうな正論で始まり、「最初に相場より高い査定額を提示し、後から値下げを提案してくる会社もあるからだ」とその理由を明らかにしている。

 これは間違いなく某財閥系の大手不動産販売会社を示唆した内容であることは明らかだ。

 具体的な会社名を明らかにしていないとは言え、多少なりとも不動産事情に通じていれば、どこの不動産販売会社なのかは一目瞭然。よくぞクレームを覚悟のうえで記事化できたものだと評価したい

 

 この他にも、「売却期間は半年を目安」、「法人や買取条件がシビア」など、物件を売却する個人には有用なノウハウが書かれている。

 

 一点注文を付けるとすれば、5番目の「売却前のクリーニングやリフォームは必須?」について。


 記事では、かかったコストを売却価格に反映できるとは限らない、としている。確かにリフォームについては壁紙やフロア面の素材や色合いなどは個人の好みもあるので、正しいとは思う。ただ、ハウスクリーニングは価格向上に有効だと思う
 部屋の「掃除」レベルなら個人ができないでもないが、水回りなどの「清掃」はプロにはかなわない。浴槽やキッチンなどの清掃ならダスキンのハウスクリーニングで2万円弱から依頼できるし、その結果売却額が10万円以上上がれば対費用効果は大きい。

 

 一方、今回の最新号では別の面でも注目すべき点があった。64ページ目から「今週のクローズアップ」として、3物件が各物件ごとに複数ページに渡って紹介されているのだが、このうち最初の2物件が、かなり以前から本誌に掲載されている物件なのである。

 

 具体的には、一件目の「ザ・パークハウス国分寺四季の森」と、二件目の「ザ・パークハウス花小金井ガーデン」なのだが、前者は2018年8月の竣工、後者に至っては2016年7月と2017年1月の竣工で、完成時期が近いものでも1年2カ月、遅い物件では3年以上前に完成した物件なのだ。

 

 国土交通省の住宅瑕疵担保制度ポータルサイトの「住宅瑕疵担保履行法について」にある、2.の新築住宅の「2.-1『住宅』『新築住宅』とは?」には、「新築住宅」とは、新たに建設された「住宅」であって、建設工事の完了から1年以内で、かつ、人が住んだことのないものを言います、と明記されている。

 この定義に基づけば上記2物件は「新築」ではない。「未入居物件」という言葉もあるが、これも正しくは「建築後1年以上2年未満の建物」となっており、この期間を超えると「中古物件」となる。

 

 まあこの話を突き詰めると、本誌「SUUMO」の表紙にある「新築マンション」という言葉自体使い方を間違えていることなるのだが。

 もっとも、新築物件の供給件数が今年に入って激減し、築一年以上の在庫物件が掲載されるのは、発行継続のためには仕方がないという事情があるのは理解できないでもない。

 不動産会社からの広告収入で成り立っているSUUMOではあるが、本号に限れば、中古物件の売却方法を「業者寄りでない中立的な立場」で解説した意味は大きいと思う。