如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

都会に住む人が田舎に移住するのは「憧れ」に留めた方が無難

田舎暮らしで「失敗する人」と「成功する人」の差(東洋経済オンライン)

滝 和秀 : ジャーナリスト、中東料理研究家

 

 都会を逃れて田舎暮らしに憧れる人は少なくない――こう始まる田舎暮らしの実態をレポートした記事「田舎暮らしで『失敗する人』と『成功する人』の差」が24日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

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 記事は、12日に配信された「40代男性『生活費8000円』田舎暮らしで得た快感」が好評だったことを受けて、その続編という位置づけのようだ。

 

 著者は、ジャーナリスト、中東料理研究家の池滝和秀氏。経歴を読む限り少なくとも「田舎暮らし」の専門家ではない。推測ではあるが、著者が個人的に関心を寄せていた「田舎暮らし」で情報収集していたら、月8000円で暮らしているという実例を聞いて面白いので記事にしたら、予想外のインパクトがあった、という事情が影響しているようだ。

 

 記事の内容はタイトルにあるように、田舎暮らしにあたって成功、失敗する要因を列挙している。

 ちなみに本文中の見出しを挙げると以下のようになる。

  1. 古民家探しの現実は甘くない
  2. 何世代も尾を引いている怨恨
  3. 既成概念に縛られない創造力が必須
  4. 田舎暮らしは意外と忙しい

 の4つだ。

 

 これらの見出しから分かるように、「成功例の紹介」というよりは「失敗しない覚悟」を記事の大半が占めている。要するに、「安易な憧れで田舎暮らしをすべきでない」という警告と言えそうだ。

 

 都会の喧騒に悩まされて、田舎ののんびりとした暮らしに憧れる気持ちは私にも理解できる。テレビ番組で都会から移住して充実した人を取り上げることがあるのも、そういったニーズがあるからだろう。

 

 ただし個人的な考えを言えば、田舎へは「移住」ではなく「仮住まい」をまずは選択すべきだと思う。

 これについては当ブログでも「田舎暮らしに殺されない法 (朝日文庫)」の書評「田舎への移住は自殺行為だ!『住む』のではなく『いいとこ取り』をすべき」で詳しく書いているので参照して頂きたい。

 

 ちなみに書籍「田舎暮らしに殺されない法」では、冒頭から「田舎暮らしに憧れるのは自立の精神が欠如しているため」という、なんとも問題の本質を鋭く突いた指摘から始まる。その後の本書の内容は「本当にここまでやるの?」という田舎での生活の驚きの実態が明らかにされている。

 田舎暮らしを視野に入れている人は一読して損はないはずだ。

 

 私自身は田舎暮らしをする気はさらさらないが、定年後は余暇も増えるので、田舎で自然に囲まれた生活を「一時的」にするのは悪くないと考えている。

 ここで言う一時的というのは短期の仮住まいで、数日から数週間程度の期間だ。つまり田舎暮らしに付きまとう面倒な「付き合い」「慣習」などに関わらず、巻き込まれそうになったらさっさと自宅に戻るなり、別の田舎を探せばよい。

 

 もちろん過ごした田舎が気に入れば、期間を延長して、最終的に移住しても構わないとは思うが、おそらく都会の生活に慣れ親しんだ人をそのまま受け入れてくれる田舎はそう多くはないはずだ。

 参考までに私の親の実家がある田舎には、生まれてから住み続けている同い年の親戚がいるのだが、1年のうち半分の週末は「祭りや催しの会合」で、奥さんまで駆り出されるとこぼしていた。

 

 ブログでも書いたが、都会からの移住が失敗するのは、「よそもの」が田舎社会の内側に入り込もうとする結果、軋轢が生じるのである。外側でお金を払ってくれる「お客さん」であれば、理不尽な警戒や嫌がらせを受ける可能性は低くなるはずだ。

 

 記事では最後に「自然の美や恵みを感じ、今ここに在ることを楽しめる人だけが、田舎暮らしの成功者になれるのではないだろうか」とまとめているが、この境地に至るまでのハードルは相当高い。

 ここでいう「楽しめる」の代償として、受け入れざるを得ない「苦労」の方がはるかに大きいのが現実だと思う。

 

東証一部上場企業はそんなに偉いのかーー市場改革は急務

東証改革でも「ゾンビ企業」が半数残留の不可解(東洋経済オンライン)

松岡 久蔵 : ジャーナリスト

 

 東京証券取引所が2022年に株式市場を再編し、新たな上場基準を設けるうふぉきについて、現状の課題を指摘する記事「東証改革でも『ゾンビ企業』が半数残留の不可解」が23日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

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 著者はジャーナリストの松岡久蔵氏。経歴を見ると、地方紙勤務を経て現在はフリーで、マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバーしているらしい。証券、金融関係に特に強いという訳ではなさそうだ。

 

 記事では、今回の市場改革の目玉は「現在の1部市場にあたるプライム市場の新規上場基準は100億円。TOPIX(東証株価指数)についても、算出対象を1部市場の全銘柄から変更し、新指数に切り替える」ことだと指摘している。

 市場改革の詳細については、金融庁のWebサイト「金融審議会市場ワーキング・グループ 市場構造専門グループ報告書(案)」にその方向性が書かれているので、参照されたい。

 

 最大の注目点は、1月9日時点で第1部に上場している会社が2160社と全体(3704社)の58%を占めている「歪な現状」を改革するために、新たな時価総額基準を設けるということだろう。
 本来であれば、市場構成は第一部上場会社がピラミッド構造の頂点に位置し、そこを目指す大多数の第二部市場などの上場銘柄などが市場全体を構成するというのが望ましい姿のはず。現状はこれが「逆ピラミッド」になっている。

 

 また、現在の第一部市場は、プライム市場に名称を変え、その上場基準も単純に発行済株式数に株価を乗じた数値ではなく、市場に流通している株数をベースにしたものに置き換わるようだ。


 先の金融庁の資料によれば「現在、市場第一部に直接上場する際の時価総額の基準は、250 億円となっている。また、上場時の流通株式比率の基準は、35%以上となっている。これらを踏まえると、新たな定義による流通時価総額の基準は、100 億円を目途に検討する」(3ページ目の注釈)と書かれている。

 記事では、この基準によれば「数百社は新基準に届かない」という金融庁のコメントを引用している。

 

 個人的な意見を述べれば、第一部市場から除外されるのが数百社というのは、まだかなり甘い気がする。イメージとしては第一部市場は市場を代表するトップ企業群なのだから、市場全体の多くても10%、欲を言えば5%程度があるべき会社数ではないだろうか。

 仮に5%とすれば対象は185社となり、2500社以上がプライム市場からは除外されるが、185社は本物の優良銘柄群として、今までと比べ物にならない高い評価を受けるはずだ。

 

 そもそもの話で言えば、上場企業、マスメディアを初め、就職希望者や株式には薄い一般人まで「東証一部上場」という看板を高く評価しすぎていたことも問題だろう。

 確かに、会社の知名度や信用の向上に繋がり、融資や人材採用に貢献するという効果はあるのだろうが、不正な不動産融資で信用が大きく失墜したスルガ銀行(8358)やTATERU(1435)は依然として東証一部に上場している。
 身近な例では、音響機器のパイオニア(6773)が、業績不振によって外資に買収され、昨年3月に廃止猶予期間を経て上場廃止となった。

 

 記事では、東証一部の会社が増えたのは、中国の取引所との時価総額競争の結果、上場基準が緩和されたことが影響していると書かれているが、現在の「東証1部上場」という看板は、以前ほど世間に通用しなくなってきているのではないだろうか。

 

 こうしたなかで、株式上場のメリット・デメリットを考慮した結果だろうが、上場しない有名企業も少なくない
 身近なところでは日本生命保険、サントリー、竹中工務店やヨドバシカメラなどがある。いずれも会社組織の改編が必要だったり、子会社を上場させているといった事情はあるが、最も大きな要因は「不特定多数の株主の意向に配慮しない」自由な経営ができるということだろう。

 ディスクロージャー(情報開示)も最低限で済むなどメリットがある一方で、株式公開によって資料作成や株主総会の開催など経常的にかかるコストは決して安くない。

 

 今後の展開だが、仮にプライム市場に移行できない会社が数百社に留まったとしても、対象企業の評価が落ちるのは避けられないだろう。株価は言うまでもなく、資金や人材の調達に影響が出るだろうし、上場にあたって幹事を務めた証券会社からも取引所への不満が爆発するかもしれない。

 

 ただ、この市場改革が目指している方向性は決して間違っていない。本来第一部市場に存在してはいけない企業が、堂々と上場している現状が異常なのである
そしてその責任は、上場基準を緩和した取引所と、見掛け倒しの側面もあった東証一部という「看板」を深く考えずにビジネスに利用してきた市場関係者にもある。

 

 ここは、これまでの反省も含めて、確固たる信念に基づいた健全な市場改革の実現を東証には強く望みたい。

引きこもり支援で重要なのは「承認欲求」の場の提供

氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場(東洋経済オンライン)

野中 大樹 : 東洋経済 記者

 

 昨年内閣府が発表した調査「生活状況に関する調査」によると、40歳から64歳までの引きこもりは推計で61万3000人。このなかにはいわゆる就職氷河期世代が含まれる。彼らの現状をレポートする記事「氷河期40万人『ひきこもり』支援の切実な現場」が20日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

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 記事は本日発売の特集「氷河期を救え」の内容と被るが、一般人の想像するいわゆる「引きこもり」とは異なる現状を紹介している。

 

 最初の事例は「RPGナイト」。これはオンラインRPGなどに没頭している引きこもりを対象に、彼らだけの世界を提供しようという試み。人とのコミュニケーションが苦手な彼らにも「得意分野」なら自己表現が可能ではないかという考えから実現した。

 もっとも、現場では集まった者同士が「会話」を楽しむことは少ないようで、あくまで「RPG愛好家」の深夜の集まりの場となっている。

 

 この活動をどう評価するかは意見の割れるところかもしれないが、個人的には「現実社会との接点を持つ」という意味で、引きこもりからは確実に「一歩」踏み出すきっかけ作りになっていると思う。

 自宅の一室で一日中ゲームに没頭している人にとって、外に出て人に合うことのハードルは決して低くないはず。であれば、内容はどうあれ、まずは外界に居場所を作ることは方向性としては正しいと思う。

 

 次に紹介されるのは、「自宅での就労支援」。高三で引きこもりになった彼女は、自宅で動画編集の仕事を1本1000円で請け負っている。認定NPO法人・育て上げネットの就労支援プログラムで講義を受けて、仕事を得たそうだ。

 こちらは最初の事例で上げた「外」に出るのを目的とはせず、あくまで自宅でできる仕事を見つけ、就労支援を目的にしている。

 先の「生活状況に関する調査」でも、引きこもりとなったきっかけで最も多いのは「退職した」こと。つまり職場で何らかの事情があって辞めざるを得なくなった人が多数を占めている。

 

 彼らは「仕事をしたくない」のではなく「会社に行くことができない」のであって、自宅で自分にできる仕事であれば、こなすことは可能だ。彼女も「私にとっては自分のペースで生きることの方が大事だった」と説明している。

 

 最後に事例は、先の「育て上げネット」の卒業生を従業員として雇用しているIT企業だ。この会社はパソコンの初期設定を手順書に沿って一人で進める作業が中心。ただそれでも他人と比較して「自分にはできない」と悲鳴をあげて、インターン2日目から出社しなく人もいるそうで、この場合、担当の取締役が「育て上げネット」と連消してサポート・支援するようだ。

 

 ここまで行けば「会社で仕事をする」という意味で、社会復帰できていると考えていいだろう。すくなくとも「引きこもり」状態ではない。

 この取締役は「孤立してきた分だけ会社への帰属意識や所属意識が強い。だから最初のハードルを越えられるよう支えていくことが大切なんです」と解説している。

 

 以上、引きこもり支援の具体例を3つ紹介したが、共通しているのは「引きこもりの自己承認欲求」をいかにサポートするかだと思う。

 言い換えれば、「自分の存在価値を他者に認めてほしい」と感じていながらも、行動に移せない引きこもりが多い訳で、共通の趣味を持つ人での「場」の提供、一人自宅で作業できる「仕事」で社会との接点を持つ、比較的単純な作業で「現実社会」と向き合う―――いずれも自宅に引きこもっている人に対する支援策としては、現実的な内容だと思う。

 

 個人的には、「引きこもり」という状態よりは「社会からの断絶」という事態の方が問題だと思っている。

 ネット環境を生かしたデバッグなどプログラム関連の仕事などは一人で集中的に取り組んだ方が効率はいいはずなので、支援策をより拡充すべきだろう。

 

 働き方改革の影響もあって、「仕事は会社で」は常識ではなくなりつつあり、在宅勤務は急速に普及してきている。

 この流れに沿って「引きこもり」への就労支援も強化できれば、世間の引きこもりを見る目も変わってくるかもしれないし、何より引きこもりの「承認欲求」が満たされることの効果は大きいだろう。

 

都市部での車の降雪対策、オールシーズンタイヤという選択も

アルミホイール付きで4本合計で5万円未満で購入可能

 

 かつて「全天候型タイヤ」と呼ばれた「オールシーズンタイヤ」が、再び注目されている――この書き出しで始まる記事「オールシーズンタイヤ、相次ぎ新製品 ノーマル・スタッドレスとの性能の差は?」が14日のニュースサイトJ-CASTに掲載された。

 

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 記事によれば、外国系のタイヤメーカー製が占めていたこの市場に、今冬からトーヨータイヤ、住友ゴム工業、横浜ゴムの国内大手3社が参入した、とのこと。

 私の限られた知識では、オールシーズンタイヤは欧州で発売される車には標準装備されることが多いため、日本で販売されるタイヤも仏ミシュランや伊ピレリといった欧州系メーカーのタイヤしか店頭では見かけたことがない。

 

 オールシーズンタイヤについて念のため確認しておくと、通常標準装備されている夏タイヤの場合、積雪があったらチェーンを付けるしか手はないが、オールシーズンタイヤであれば、降雪時の路面状態がシャーベットや圧雪路でも走行可能で、高速道路で降雪時に規制される「高速道路冬用タイヤ規制」の場合でも、そのままチェーンなしで走行できる

 

 都市部で年に1、2回しか降雪がなく、積もっても数センチ程度のエリアなら、取り外しに面倒な手間のかかる金属・非金属のチェーンや、専用のスタッドレスタイヤを履くよりも利便性は高い。

 ただし、凍結した路面には対応していないうえ、「全車チェーン規制」となった場合は、チェーンが必要。これはスタッドレスタイヤでも同じだ。

 

 ちなみに私が住んでいるのは東京近郊だが、ここ10年の間に東京で10cm以上の大雪が降ったのは2014年(27cm)と2018年(23cm)の2回だけ。

 近くに歩いて往復できるまでの距離に食品スーパーはないので、以前は積雪の都度、非金属性のチェーンを購入して対応していたが、どのチェーンも「取り付け簡単」を売り文句にしているほど実際には「簡単」ではないうえ、走行中の振動が非常に大きく不快だったので、一昨年オールシーズンタイヤに買い替えた。

 

 それまで履いていた夏タイヤが7年ぐらい経過して、そろそろ買い替え時期だったことと、オートバックスで商品を見ていたら、アルミホイール付きで4本合計で5万円未満だったので即決した。

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オートバックスのWebサイトから

 タイヤは台湾のMAXXISというあまり耳にしないメーカー製だったが、積雪・泥道に対応する「M+S」表示と、冬タイヤ機能を示す「スノーフレーク」マークが付いていることが安心材料になった。

 

 ちなみに幸いなのか、降雪はまだ購入後に経験していないので機能面の評価はできないが、多少の雪が降ってもそのまま走行できるという「安心感」はある。昨今の異常気象を見ると、この冬に東京で積雪があっても不思議ではない。

 

 ということで「イザという時のためのチェーン」を用意し、取り付ける手間から解放されたのはありがたかったのだが、想定外の欠点もあったことは正直に伝えておきたい。

 それは「高速走行時のロードノイズが大きい」ことだ。夏タイヤに比べて時速100kmのノイズ音は50%アップぐらい大きくなる。もっと具体的に言えば、今まで聞けていたカーステレオの音楽が「そのままの音量では全然聞こえない」レベルだ。

 

 高速以外の通常の市街地や郊外を走る速度では、それほどロードノイズは聞こえないし、運転感覚やブレーキ性能にもこれといった違いは判らなかった。

 

 チェーンの場合、降雪が見込まれると、カー用品店のチェーンが一斉に売り切れるということが珍しくない。オールシーズンタイヤにもこの傾向があるかもしれない。

 

 ということで、都市部のクルマ所有者の誰にでもお勧めする訳ではないが、チェーン装着の手間を省きたくて、高速道路走行時のノイズが気にならないなら一考の余地はあると思う。

 もし購入を決めたのであれば、適合するサイズのタイヤが売り切れる前の履き替えを勧めたい。

定年後の「資金計画表」は早めの取り組みが吉

会社の「定年後の生き方研修」が役に立たない訳(東洋経済オンライン)

山中 伸枝 : ファイナンシャルプランナー

 

 私事で恐縮だが、年齢は50代後半であと数年で定年を迎える。60歳以降は再雇用制度があるのでそのまま現在の会社に居続けるつもりだが、私のような定年が迫ってきた会社員に向けた記事「会社の『定年後の生き方研修』が役に立たない訳」が16日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

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 著者はファイナンシャルプランナーの山中伸枝氏。公式サイトによれば、2004年にCFPを取得し独立系のFPとして活動を開始、現在は確定拠出年金のプロを育成する山中塾を主宰している。

 

 今回のテーマは、勤め先の会社が開催する「ライフプランセミナー」。私の勤める会社でも50代後半になると開催されて、60歳以降の生き方について講師のお話を聞くことになっている。ちなみに60歳の定年までに合計3回開催されるらしいが、私自身はまだ一度も出席したことがない

 というのは、講師の話す内容がほぼ想定内の内容になることが分かっているので、時間の無駄としか思えないのである。

 

 記事を読むと、以前は定年後の社員が燃え尽きて無気力になったりするのを回避するための定年直前の「たそがれ研修」が主流だったが、現在は対象年齢が低下し、40代を対象にしたセミナーも増え、「(再雇用の)条件に不満がある人は、身の振り方を自分で考えるように」などと「人事担当は口調がきつくなった」ようだ。

 まあ現在の60代後半以降の世代のように、公的年金をベースに一生涯安穏と過ごせる時代ではなくなったので、こういった会社が社員向けににライフプラン研修を実施するのは良い取り組みだとは思う。

 

 終身雇用制度、年功序列賃金が崩壊するなかで、新卒採用した社員の面倒を「会社は定年まで面倒見切れない」ことの証でもあるのだが、現在の50代後半世代には、まだ「定年後は何とかなるだろう」と漠然と考えている人は多いようだ。

 著者は、こうしたセミナーで講師をする際に「老後のキャッシュフローの作り方」を講義するそうだ。

 簡単に言えば、定年後は収入が激減することを前提に、生活費をイメージし、リフォーム、旅行などのイベント費用などを組み入れた25年から30年の資金計画を策定することだ。キャッシュフローでも構わないのだが、言葉としては資金計画表の方がしっくりくるので以降はこの表現を使うことにする。

 

 この資金計画表を作る意味は2つある。一つ目は「漠然としていた老後の資金計画をある程度明確にすること」。もうひとつは「そのために何をすればよいのか考えるきっかけになること」だ。

 昨年の「老後資金2000万円問題」で、老後への資金面の不安が一気に社会問題化した感はあるが、個人的な考えを述べれば、「何をいまさら」というのが率直な感想である。

 リーマンショックさらに言えばその前のバブル崩壊で、会社の社員への対応は大きく変わった。簡単に言えば、会社の視線は「社員」から「株主」へと、具体的には「福利厚生」よりも「配当金」に利益を分配するようになった。この結果、一部の幹部社員を除き、大多数の社員は給料が上がらなくなったのである。退職金の減額傾向も続いている(下図は老後の生活費Webより引用)

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老後の生活費Webから

 こういう状況下で、会社任せ、公的年金任せでは安心できる老後が過ごせるはずがない。折しも定年の70歳までの引き下げが義務化される方向が固まり、これに伴い公的年金の支給開始時期が70歳に引き下げられるのも時間の問題。

  雇用が70歳まで確保されても給与は大きく引き下げられるのは確実。私自身の勤める会社でも60歳からの再雇用では、支給額はほぼ半額となる。これを見越して将来設計をするのは、もはや当たり前の話だ。

 政府が「働き方改革」を進め、就業規則モデルが「副業解禁」へと大きく舵を切り、実際に副業を認める会社が増えてきたのも、この流れの一環だ。

 

 ちなみに記事では「家計の収支はいろいろ、大切にしている価値観もさまざまで、生活設計に正解はない」としているが、これは事実で実際に作成する「資金計画表」も個々で違いがあって当然だろう。

 私自身は50歳の節目から、資金計画表をエクセルで作成しているが、項目特に支出の方はかなり大雑把だ。というのもそもそも医療費などは想定できないし、突発的な事案などはその時点の貯蓄で賄うしかないからだ。加えてあまり細かく設定すると、更新が面倒になって止めてしまうリスクも高くなる。

 基本的に更新は毎年2回、ボーナスの時期に見直している。ちなみに「資産」の部分は、パソコンのアプリ「マネーフォワード」を使って金額を管理・転記している。このアプリについては当ブログで昨年8月に「資産管理アプリ『マネーフォワード for <みずほ>』が結構使える!」で書いているので参照して欲しい。

 

 以上をまとめると、会社主催のセミナーに参加するのもいいが、あくまで参考にしかならない。親の介護や子供の教育、家のローンなど家計の事情は様々だ。

 ただ、現時点でわかる範囲内の資産や今後の収支を把握しておくことは、早いに越したことはないと思う。  

金銭感覚に欠ける配偶者は「家庭の不幸」という結果しか生まない

過労による異動で収入減の夫を罵倒、39歳自己チュー妻がもたらす不幸(ダイヤモンドオンライン)

横山光昭:家計再生コンサルタント

 

 夫の仕事や健康状態を無視して「住宅購入」という目標しか妻の頭にはない。給与が削減されたにも関わらず、節約、パート勤務などの家計対策に非協力的――こんな危機的な状況にある家計の相談を受けた家計再生コンサルタント横山光昭氏の記事「過労による異動で収入減の夫を罵倒、39歳自己チュー妻がもたらす不幸」が13日付けのダイヤモンドオンラインに掲載された。

 

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 登場する家族は、42歳の会社員の夫と39歳の専業主婦の妻、8歳の子供の3人構成。内閣府の男女共同参画局の調査によれば、共働きの世帯が平成10年以降増え逆転したとはいえ、まだ700万世帯を超える専業主婦世帯が存在する。夫が家計の管理をすべて妻に委ねているというのも、少数派になりつつあるだろうが一定数いるだろう。

 

 この夫婦が相談に訪れた理由は、「住宅購入」という目標があるものの一向に貯蓄ができないなか、夫が過労で倒れて残業の少ない部署に異動となり、月収が42万円から31万円へと激減したこと。

 

 著者の横山氏は、「節約」と「収入増」の両面から各種提案をするが、妻は様々な理由を言ってまったく聞く耳を持たない。夫は収入減という「弱み」があるので、何も言えない状態。

 しかも妻の住宅購入熱は一向に冷めることがないどころか、目星を付けていた8000万円の都内戸建てを何とかして購入できないか考えを巡らせる始末。

 

 まあ、妻がどうにも非現実的な「夢」に取りつかれて、将来の家計に対する冷静な判断ができていないのは明白なのだが、想像するに周囲の家庭が相次いで住宅を購入したり、超金利下で購入可能な物件が増えたことも影響しているのだろう。

 

 ここは客観的に8000万円の物件を購入した場合の住宅ローンシミュレーションを行ってみた。利用者の多いフラット35を手掛ける住宅金融支援機構のWebサイトでは、返済方法について「借入金額」「現在の年収」「毎月の返済額」の3つのポイントからシミュレーションが可能だ。

 

 登場する家庭の場合、借入金額は頭金を1000万円いれたとして借入額は7000万円。これにフラット35で融資率9割以下で最も多い金利である年率1.270%で借入期間35年で計算してみた。

 結果は、毎月の返済額が20万7000円、総返済額は8675万円だ。収入が月31万円なのだから返済比率は66%となる。しかもこの金額には管理費、修繕積立金、固定資産税は含まれていない。これらを計算に組み入れるとざっと見ても毎月の返済額は25万円を超えるはずだ。こうなると返済比率は80%になる。

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  ちなみに住宅・不動産の情報サイトSUUMOによれば、「金融機関の返済比率(返済負担率)の審査基準はおおむね30~35%程度」とのこと。返済比率80%というのがいかに無謀かがわかる。ちなみに夫の年齢は42歳だから35年ローンを組むと返済完了となるのは77歳。今後定年延長などが実施されたとしてもせいぜい70歳まで、しかも減額が必至とされる公的年金収入から毎月20万円を支出するのは不可能だろう。

 仮にこのまま住宅購入をすれば、将来の自己破産もしくは自宅の任意売却は間違いなしの典型的なパターンである。

 

 この家族の抱える問題の原因が、家計の現実を見れない妻にあるのは間違いないのだが、それを放置してきた夫にも責任はある。

 

 記事で著者は、「優しい夫」は悪くはありません、妻も、「自分」だけではなく「家族」を思いやり、みんなが幸せになれるお金の使い方を考えることが必要、だと優しくたしなめているが、このままでは妻の「住宅購入一直線」の思考回路が変わることはないだろう。

 

 私が相談員の立場であったら、まず第一に「給与の管理を夫がして、必要な生活費をその都度夫婦で話し合って、合意できた金額を渡す」ことをアドバイスする。

 収入の範囲内で、分相応の暮らしをしない限り住宅購入はできないことを身をもって感じるしか方法はないだろう。もっとも簡単に合意形成ができるとは思えないが。

 懸念すべきは、おカネが足りなくなってクレジットカードでの支払いを増大させたり、カードローンやキャッシングなどに走る可能性があること。

 クレジットカードについては、妻名義のカードを取り上げるのが一番だが本人が拒否するのであれば、夫が自主的に解約を申し込むしかない。幸い専業主婦世帯なので、世帯主が申し込めば申請は通るはずだ。

 

 あとは最終手段として消費者金融などに駆け込む可能性もあるが、これに対応するには日本賃貸業協会の貸付自粛制度などを利用するしかないだろう。

 

 以上をまとめると、経済観念に乏しく「夢」を見ることしかできない人には、厳しい現実に直面させるしか方法はないと思う。

 相手が納得できなければ、最悪離婚にまで発展する可能性もあるが、多額の借金を抱えて自己破産するのとどちらが良いかは、個々の家庭の判断になるのだろうが。

「高利回り銘柄」を求めるのは必ずしも悪くないが・・・

高配当利回り株に投資する人がはまる落とし穴(東洋経済オンライン)

山崎 元 : 経済評論家

 

 多くの上場企業の決算期である12月が過ぎ、3月が近づいたことで最近の各種株式投資メディアには「株主優待」や「高配当」を特集する記事が増えてきたように感じる。

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 こうしたなか、私が個人的にその正直かつ実践的な投資スタンスの解説を評価している経済評論家の山崎元氏の「高配当利回り株に投資する人がはまる落とし穴」が1月11日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事の趣旨は「高配当銘柄」に人気が集まる原因の分析と、それに対する山崎氏の見解。

 同氏によれば、この人気の要因として、

  1. 日本株の配当利回りに注目する投資家が増えた
  2. インカムゲインを指向する投資家が、高配当株に注目するようになった
  3. バリュー投資(割安な株式への投資)に取り組む投資家が増えた

 ことを挙げている。

 

 著者のスタンスは、この中で3.については、いわゆる「不人気」銘柄としての観点から「高配当」=「高利回り」銘柄投資には賛成だが、他の2つについては否定的だ。

 その理由として、株式の配当は変動的なもので、その利回りは銀行預金や国債とは単純比較できないこと、利益予想の下方修正でもあれば、株価が大きく下落する可能性を指摘している。

 

 個人的な考えを言えば、著者の意見には賛成だが、その対象は「株式」に限ればという条件付きだ。

 というにも私自身のポートフォリオ構成を見ても、そのほぼ半分はREIT(上場不動産投信)で占められている。その部分の平均予想利回りは4%近い。

 

 確かに「株式」であれば、内部・外部環境の突発的な変化で、黒字予想が一転して赤字になって、株価が大きく下落、配当金も無配になる可能性はある。

 実際に日産自動車(7201)は高配当銘柄で有名だったが、業績の悪化で前期、前々期に1株当たり50円台だった配当金を、今期は「未定」としている。市場のコンセンサス予想も10円台から高いものでも20円台に急落している。スルガ銀行(8358)のように、前期無配に陥る会社も決して珍しい事例ではない。

 

 一方、「REIT」は投資対象が不動産であり、主な収益源はそこから得られる賃貸料収入だ。確かに賃貸料自体も下落の可能性はあるが、現在の物件の稼働率が軒並み90%を超える状況下で、来年賃貸料がいきなり急落するということは考えにくい。

 個人が住む賃貸物件を考えてみても、翌年の家賃が「2倍」になったり「半額」になることはまずないはずだ。

 ましてや「賃貸料収入」が赤字になるということは理論的にありえない。(ただし保有物件の売却によって実損が出る可能性はある)

 

 よって、資産の一部はREITで運用するのが「利回り向上には効果的」と言うのが私の持論だ。当然ながら反論、異論もあるだろうし、他人に推奨するつもりもないので、個々で判断してほしい。

 

 ただ指摘しておきたいのは、REITは昨年その利回りの高さから人気化して、昨年一年間で20%近く上昇した。今後の波乱含みの不動産市況などを想定すると、REITにも銘柄を選別する動きが出る可能性はある。

 私がREITのポートフォリオを組んだのは数年前なので、多少の相場下落には耐えられるが、この相場水準からの新規投資には慎重にならざるを得ないというのが現在の投資判断だ。

 

 最後に記事では、定期的な現金収入が欲しい人には、ネット証券などが最近導入している「定期売却サービス」を推奨している。

 私の利用しているSBI証券の説明によれば、「金額指定」「積立買付」でお買い付けいただいた投資信託(一部投資信託を除く)中から、設定した金額を特定の日に自動的に売却し、年金のようにお受取りいただけるサービスだ。

 ただし、積立買付を設定中の銘柄は対象外で、現金で引き出すには当然ながら銀行口座への「出金」手続きが必要になる。

 

 最近再び人気が復活しつつある「毎月分配型投資信託」よりは、はるかに「まともな」サービスだと思うが、気になったのは売却する投資信託を自分で決める必要があること

 特定の銘柄を定期的に売却するというのは、見方を変えれば著者が記事内でも否定する「ドルコスト平均法投資」の売却版とも言えなくもないのではないか。

 

 毎月一定額を売却するというのであれば、その時点で最も基準価額の評価益が大きい投資信託を自動的に選択してくれるところまで配慮してほしい。

 SBI証券には、全自動で世界レベルの資産運用をしてくれるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」というサービスがあるのだから、それぐらいの仕組みは簡単に提供可能だろう。

 

 ともかく、資産運用で高い利回りを追求するのは間違いではないが、株式の高配当銘柄(株主優待を含む)とREITの配当利回りを同列に扱うのには、株式と国債を同様に扱うぐらい無理がある、というのが私の考え方だ。

 毎月定期的な収入が必要になったら、その時点ごとに利が乗っている銘柄を選択して部分売却するというのが効果的かつ効率的だと思う。

管理職には受難の時代、自ら視野を広げる努力を

優秀な中堅ほど上司を「尊敬できない」根本理由(東洋経済オンライン)

徳谷 智史 : エッグフォワード 代表取締役

 

 有名企業所属で、客観的に見ても実績のあるミドルの方々が、口をそろえて、「上司のようになるイメージが湧かない」と現職でのキャリア形成に疑問を抱く――こんな傾向が強まっているとする記事「優秀な中堅ほど上司を『尊敬できない』根本理由」が1月9日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

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 著者は、「企業変革請負人」として組織・人財開発のプロフェッショナルを自任する徳谷 智史氏。「世界唯一の人財開発企業」を目指し、エッグフォワードを2012年に設立、代表取締役を務めている。

 

 記事のテーマは、先述のように中堅世代にとって「目標としたくなるような上司が社内にいないので、このままでは自分の将来のキャリアデザインが描けない」という深刻な事情だろう。

 

 確かに現在の管理職である上司は、採用された当時はまだ終身雇用や配属先の部門で「修行」を重ね、40代になってようやく実力が評価され、給与も上昇するという時代を経験してきた。特に歴史のある大企業などではその傾向が強いはずだ。

 

 ところが時代は変わって、終身雇用制度は崩壊、年功序列もそれに続きつつある。現在の管理職が歩んできた「一所懸命」という考え方はもはやミドル世代には通用しないのだ。

 一方で、管理職は自分の成功体験をもとに語るので、「自らキャリアデザインを描きたい」中堅との溝が埋まらない。

 

 記事では、この状況について管理職が「特定の環境でしか働いたことがないため、新たなスキルや知識を学ぶ機会をつかもうとせず、視野が狭くなりがちなこと」を理由として挙げ、「社外との接点を増やし、客観的な視点で自分や今いる組織を見つめなおすこと」を推奨している。

 

 私自身の経験で恐縮だが、30代になって「親会社」に出向となり、全く畑違いの仕事を一から学ぶ羽目になった。今思えば当時は大変な苦労をした記憶があるが、数ある子会社を抱える親会社という立場で仕事をするというのは、グループ全体を見渡せるという意味で勉強になったのは確かだ。

 

 数年後に元の会社に戻れると思っていたら、今度は新設される「子会社」への出向となった。今思えば、子会社での仕事を円滑に進めるための機会として親会社への転出を考えていたようにも思えるが、当時は会社の知名度は全く異なるし、仕事内容もまた一変したが、それまでの経験が、グループ内での企業としての視点から仕事の進め方のツボを押さえた効率的な仕事をする手助けになったことは否めない。

 

 たまたま自分の場合は、当時としては数少ないキャリア事例に当てはまったので、仕事を客観的に見る機会を得たが、同世代の管理職には「経理一筋30年」のような人材も少なくない。

 

 ただし、記事でも「一本道のキャリアが決して悪い訳ではない」と解説しているように、重要なのは「自分のスキルや能力が『世の中一般的にどの程度のものなのか』を知ること」だろう。そのための手法として転職支援企業に登録して、とりあえず自分の社会的かつ客観的な「実力」を知っておくことは有効かもしれない。

 

 政府も「働き方改革」を推進する中で、厚生労働省は就業モデル規則を「副業容認」へと、これまでとは180度方向性を転換している。実際に副業を認める会社も増えつつある。

 これは見方を変えれば、「もう社員を定年まで雇用する制度は維持できないので、将来設計は副業を生かして自分で考えてください」という会社側のメッセージでもある。

 

 有名な大企業でもリストラ対象が40代まで下がってくる時代に、「過去の栄光」にしがみつく管理職に明るい未来はないと思った方がいい。

箱根駅伝、連覇を逃した東海大学陸上競技部のツイッターが「子供」レベル

10位の東洋大学の情報発信の姿勢を見習うべきでは

 

 例年盛り上がる正月の名物行事「箱根駅伝」。

 今年は一昨年の勝者青山学院が昨年の2位から王座を奪還するという結果に終わった。特に復路は優勝こそ逃したものの、追う東海大学に一度も追いつかれることなく全区間1位での勝利だった。

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 個人的には、昨年の覇者東海大学の一強で、これに前回2位の青山学院大から、3位の東洋大学、4位の駒澤大学、5位の帝京大学までを有力校として優勝争いになると予想していた。解説者の間では、他の大学駅伝でなどで好調だった国学院大学、東京国際大学を5強に入れる声もあったが、私は陸上競技や駅伝に詳しくはないので、ここではとりあえず昨年の上位5大学を対象としたい。

 ところが結果は、東海大学こそ2位に、帝京大学は4位に食い込んだが、駒澤大学は8位、東洋大学に至ってはシード権すれすれの10位という予想外の順位となった。

 

 個人的にはどこの大学を特に応援しているという訳ではないのだが、そこは「斜め目線から」の分析を売り物にしている本ブログ、競争終了後の各大学の陸上競技部のWebサイトなどの更新状況を確認してみた(いずれも7日6時30分時点の更新状況)。

 

 まずは優勝した青山学院大学。陸上競技部のサイトでは、往路の2日には2回の更新、復路の総合優勝した日も2度の更新、その後も4日、5日と続けて祝勝会のお知らせなどを掲載して更新している。まあ優勝校なので当然と言えば当然だが、淡々と誠実な情報発信をしているように見える。

 

 次に4位の帝京大学駅伝競走部だが、ここは評価の対象外としたい。というのもサイトは存在するのだが、2018年6月を最後に更新が止まっているのである。理由は不明だが、Webサイトで新たな情報発信する意図がないことは明白なので、これは大学側の方針なのだろう。個人的には、1年半以上も更新しないなら、サイトの存在自体がマイナスイメージにつながるので削除した方がマシとも思うのだが。

 

 8位の駒沢大学は極めてシンプル。往路、復路ともに当日にその結果を淡々と掲載している。監督や選手のコメントはなく、「ご声援ありがとうございました」「これからも応戦お願いいたします」の2つのメッセージがあるだけ。まあ結果が結果だけにコメントしにくいという面はあるだろうが、それでも正式に結果を情報発信している点は素直に評価できる。

 

 10位に低迷した5強の一角東洋大学は、陸上競技部のサイトは部の紹介に留まっていて、「スポトウ」という東洋大学スポーツ新聞編集部が駅伝を含めた各種競技の最新情報を発信している。箱根駅伝に関しては、3日に往路の結果を編集部の総評に始まり、酒井監督や選手のコメントを合計6500字を超える長文で解説している。

 なかでも監督のコメントは約1300字と圧倒しており、各種スポーツ新聞の報道とは比較にならないレベルの充実度。復路については6日の更新とやや遅れたが、それでも同様に5600字を超える記事を掲載している。

 期待に応えられなかったチームとしてはあまり情報発信はしたくないのかもしれないが、ここまで緻密に取材し、監督・選手も丁寧に対応しているのは高く評価すべきだと思う。

 

 さて、ここまで読んで来られた方々は、「2位の東海大学はどうした?」という疑問を持たれると思う。その理由は同大学の陸上競技部中・長距離ブロックのWebサイトを見れば一目瞭然だ。

 同サイトは左側にトピックスがあり、右側にツイッターの更新情報が掲載されている。ちなみにトピックスの方は昨年12月31日で更新が止まっているので、これはこれで編集方針として理解できないでもない。

 問題はツイッターの方である。最新情報は3日の復路の出場メンバーの紹介で、その前が往路4位の結果報告。肝心の復路、総合の結果については一言も言及がない。

 いくら2位という残念な結果に終わったとしても、少なくとも結果報告と応援してくれた全国のファンへの感謝のメッセージぐらいは掲載するのが最低限の「大人としての常識」ではないだろうか。

 連覇への可能性を残した往路までは情報発信するも、最終的に結果(ここでは連覇)が出なければまったくの無反応というのは「嫌なことはしたくない子供」レベルの情けない対応だ。

 同じ優勝候補と言われつつも、10位に終わった東洋大学の真摯な情報発信に比べると、まさに「大人と子供」ぐらいの責任感の差があると言われても仕方がないだろう。

 

 「勝った」ときにそのうれしさを情報発信するのは当たり前。むしろ「負けた」時にこそ組織の体制や指導者の考え方が如実に反映される、と受け止めたのは私だけではないだろう。

「今年こそ貯蓄を」と考えている人への的確なメッセージ

2020年、お金を貯めたいなら「ボーナス払い」をやめるべき理由(ダイヤモンドオンライン)

深野康彦:ファイナンシャルプランナー

 

 昨年のバブル世代を狙い撃ちにした大企業のリストラ対象年齢の低年齢化などを背景に、50代の勤労者は言うまでもなく、30代、40代の人たちにも会社の将来、そして自分の人生設計への不安感の高まりから、「今年こそ貯蓄をしよう」と考えている人は多いだろう。

 

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 1月5日付けのダイヤモンドオンラインに、まさにこういう人々のための記事「2020年、お金を貯めたいなら『ボーナス払い』をやめるべき理由」が掲載された。

 

 タイトルには「ボーマス払い」が使われているが、内容はその他貯蓄環境を取り巻く様々な事例を取り上げており、新年に貯蓄を目指すためのアドバイスが具体的に書かれているのが特徴だ。

 著者はファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦氏。1989年にFP会社に入社、その後1996年に独立して現在に至るというから、FPとしての経歴は30年近くになる。

 ちなみに私がFPの資格を取ったのは1999年だが、当時から分かりやすい解説が人気の有名なFPだった記憶がある。

 

 記事前半では、今年の賃金に関する注目ポイントを解説している。

 最初のポイントは2020年4月からの「同一労働同一賃金制度」で、著者は「本来、正社員と非正規社員の収入格差をなくすための制度ですが、どうやら非正規社員の収入を上げるのではなく、正社員の収入を下げる方向に動く企業が多いようです」と指摘している。

 

 具体的には「家族手当、住居手当などが廃止になる有力候補」としており、家族持ちや賃貸住まい、住宅ローンを抱える人への影響が大きそうだ。

 特に大企業では、各種福利厚生制度が充実していることが就職の際の人気要因のひとつになっていたが、バブル崩壊・リーマンショック以降、保養所や社員寮などを売却する動きが続いており、この流れに沿えば会社側は「家族手当」「住宅手当」の廃止は当然視野に入れていると思った方がいい。昨年の残業規制に加えて、今年の各種手当の廃止はサラリーマンには堪える。

 

 第二のポイントは、「給与所得控除の上限額が引き下げ」と「基礎控除の引き上げ」。

 年収850万円以上の所得控除が220万円から195万円に引き下げられる訳だが、ただし、税務署の平成30年分所得税の改正のあらましによれば「年齢23歳未満の扶養親族がいる人」などには新たに「所得金額調整控除」が設定されるので、対象の家族がいる世帯には多少の軽減措置もある。

 

 もっとも影響は基礎控除の方が大きいかもしれない。記事にもあるが、財務省の平成30年度税制改正の個人所得課税の(3)公的年金等控除の適正化によれば、注釈に小さく下図のように記載がある。

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財務省の資料から抜粋

 現在は年金支給開始時期の調整期間中で、65歳未満でも年金を受け取っている人がいるが、より影響が大きいのは65歳支給になる現役世代だろう。

 控除金額が70万円から60万円へと年額10万円の引き下げというのは、率にすれば15%である。これまでは月額5万8000円までの年金には課税されなかったが、今年からはこの水準が5万円ちょうどに引き下げられることになる。

 個人年金や企業年金などで60歳からの支給を予定していた人には、負担増は避けられないかもしれない

 

 記事では後半で、「年収に占めるボーナスの割合は、従業員数5000人以上では約28%に達しています」と指摘、業績に左右されるボーナスへの家計依存度を低くして、固定資産税や保険料などの支払いを毎月積み立てることを推奨している。

 これについては具体的には、例えば生命保険料や自動車任意保険料は「年払い」の方が「月払い」より安いので、支払いを「月払い」にするのではなく、「年払い」のための資金を自分で毎月積み立てるという意味だということを確認したい。

 

 また深野氏お得意の「節約」分野の指摘も改めて参考にしたい。ポイントは通信費と生命保険。

 Docomoなど大手キャリアから格安キャリア(MVMO)に乗り換える節約法ははすでに広く知られているが、実践している人はまだ少ない。

 MM総研の調査「国内MVNO市場規模の推移(2019年9月末)」によれば、2019年9月末の契約数比率は7.8%に留まっている。ちなみに私はY-mobileのガラケーを使っているが、「いつでもどこへもかけ放題」で支払いは毎月1000円ちょっとである。この辺りのアドバイスは昨年7月の当ブログ「シニアには「ガラケー」「タブレット」の2台持ちがオススメ」でも書いているので、参照されたい。

 

 生命保険については、予定利率が最低水準にある今、長期の終身保険などに入るのは問題外。どうしても病気や事故の補償が不安なら「こくみん共済」など各種共済でカバーするか、若い世帯なら掛け捨ての死亡保障の定額保険が最も合理的だ。

 記事にもあるが、見かけの金利に惑わされがちな「外貨建て保険」などは、見方を変えれば長期で「外為」の変動に賭けるようなようなものである。もしも外国為替で運用したいならFXでレバレッジを1倍に設定して投資した方が手数料的にはまだマシだ。投資先としては決してお薦めはしないが。

 

 ということで、新年早々「今年こそ資産を増やそう」という考えている人には、まず足元の所得の動向と節約の基本を押さえるという意味で、タイミングのいい記事だと思う。