如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

「ゆるい」けれど「深い」つながりのススメ。とはいえ「孤立」もひとつの在り方では?

 

ゆるいつながり 協調性ではなく、共感性でつながる時代

2018年3月11日

 筆者は文字通り「一人だけの個人事業主」であるが、様々な人々との繋がりによって「ハブ」的な立場を
確立、事業を展開しているビジネスマンである。

 本書のテーマは、「これからはSNSを中心に『ゆるいけれども深いつながり』が重要な時代になる。これ
に対応するには、自身のオリジナリティを高め、個人ブランディングを確立することが必要」ということだ
ろう。

 まあこれだけなら巷に溢れる「社会的繋がりのススメ」本と大差ないのだが、著者は「SNSを通じて知り
合った人と無理をして関係を深める必要はない。ゆるいけど深いつながりは、無理のないシンプルなつき合
い方の先にある」としている。

 具体的には第4章で、フェイスブック疲れ、インスタグラム疲れの現状を紹介、その原因とされる4つの
NG行為「とにかくメッセージを送りまくる」「自己紹介ゼロ、熱意は120%」「あなたのことは全部知って
ます!アピール」「まずは会ってください!メッセージ」を取り上げている。

 私は、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムはおろかLINEやブログすらやっていないので、あく
まで憶測に過ぎないのだが、これら4つのNG行為への対応に悩まされることを思えば、「ゆるくて深いつな
がり」から得られるメリットは認めるが、一方でデメリットも無視できないレベルのような気もする。
 
 特に、ストーカー的な行為、ネガティブな意見や人格への攻撃などへの耐性が弱い人には、『マイナス要
素はスルーすればよい』と言われても、現実には心理的なショックを受けて凹んでしまう人も多々いるので
はないかと思う。

 もちろんSNSの活用によって得られる、著者の指摘する「希薄のようで濃密な人間関係」「知り合える幅
の多様性」に大きな価値はあると思うのだが、本書に「本を読むことによるインプットも大事」とあるよう
に、世の中に溢れかえる情報から有用な情報だけをピックアップして、自己の知識を深めたり、様々なコン
テンツの比較によって理解力や分析力を高めるだけでも、十分に情報処理能力や多様性への対応力は深めら
れるとは言えないだろうか。

 言うまでもなく以上の見解は私の個人的な体験に基づいており、他人に押し付けるものではない。むしろ、
筆者のいうようにSNSの普及によって、リアルな人間関係を苦手としている少なからぬ人たちに「社会的な
つながり」の機会を増やす効果があることは明白だろう。

 という訳でこれまで、あえてメジャーなSNSにはタッチしてこなかった私だが、著者のアドバイスに従っ
て、とりあえず巻末に紹介された9つのSNSアカウントについてはコミュニティの様子だけでも見ておくか、
と思っている。