如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

そもそも「奨学金」を使って行く価値のある大学がどれほどあるのか?

今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。: 貧困の連鎖を断ち切る「教育とお金」の話

2018年3月29日

 奨学金はどこから見ても「借金」であり、借りたものは返すのが当たり前。借りる時点でどのぐらいの金
額を、何年先まで返済するのかを確認したうえで借りるのが常識なのだが、借りるときはホイホイ借りて、
いざ返せなくなったら「貸したほうが悪い」というのは本末転倒、法治国家に暮らす人間として常識を疑う。

 私自身、学費はアルバイトで稼ぎ、足りない分を奨学金で工面したが、入学時に借りる際には「本当に卒
業後10年で返済できるのか」という大きな不安を感じた記憶がある。これが借金をする人の普通の感覚では
ないだろうか。

 一方で、私立大学の40%近くが定員割れで、偏差値の付けようのないFランクの大学が続出している現状
を踏まえると、そもそも奨学金を使っていく価値のある大学が全国にどれほどあるのかを問いたい。

 大学進学希望者は、通う価値のない大学に行っても卒業後まともな就職先はないのに、奨学金を借りてま
で大学に進学する意味をよーく考えた方がいい。

 『〈提言3〉企業、財団、大学はもっと給付型奨学金を創ろう』については基本的に賛同するが、企業、
財団はその出資先の大学の存在価値を慎重に検討した方がいいだろう。4年間で何も学ばないような大学に
出資するのは、ステークホルダーから「無駄な投資」と糾弾される可能性が高まってくると予想できるからだ。

 以上をまとめると、奨学金は「学ぶ価値のある大学を対象に」、「本当に大学で勉強をしたい学生に」、
「将来返済可能な金額かどうかを延滞の実例などを挙げて周知させたうえで」融資するのが望ましいと思う。