極上の孤独
2018年3月30日
著者は自らを「孤独の達人」だと思っているはずだ。
幼少時に結核を患い、2年間自宅療養という経験からか、何をするにも一人で考えて行動するという習慣
幼少時に結核を患い、2年間自宅療養という経験からか、何をするにも一人で考えて行動するという習慣
が身についているようで、大学卒業後9年間勤めたNHKのアナウンサーの時代も、「逃げだしたい、独立
して自分を自分で管理したい」と考え続けていたそうだ(とはいえ独立後は自分を管理する困難さに苦労し
たらしい)。
推測だが、この本で伝えたいのは「孤独とは一人でいることではなく生きる姿勢」(p14)であり、「自分
推測だが、この本で伝えたいのは「孤独とは一人でいることではなく生きる姿勢」(p14)であり、「自分
でできる方法を自分で考える。そのための独りの時間が大事」(p101)ということだろう。
とはいえ著者には「つれあい」もいるし、「俳句の会」「バレエ学校」などで知り合いも多いようで、社
会的に孤独とは言えないのではないかと感じた。
著者のように主体的に孤独を楽しみつつ、社会的に無理なく人と繋がるというのは、理想的な生き方のひ
著者のように主体的に孤独を楽しみつつ、社会的に無理なく人と繋がるというのは、理想的な生き方のひ
とつかもしれない。特に独り者の高齢者にとっては。
ただ、その条件として、快適な住まい(筆者の場合広尾のマンション、等々力の実家)、理解のあるパート
ナー、潤沢な資産、適度な仕事などが必要だろう。厳しいようだが、筆者のように恵まれた環境を持ちなが
ら「孤独」を楽しめるのは、かなり限られた人になりそうだ。
あと、この本の最後がどうにも尻切れトンボのようにあっけなく終わっている。
あと、この本の最後がどうにも尻切れトンボのようにあっけなく終わっている。
この先残りの人生「まだまだ孤独を楽しむことは止められない」という著者の覚悟を感じたのは私の思い
過ごしだろうか。
【追記】著者は自転車に乗れないのに、競輪を管轄する自転車振興会の会長に就任、奮闘する話は笑えた。
【追記】著者は自転車に乗れないのに、競輪を管轄する自転車振興会の会長に就任、奮闘する話は笑えた。
ちなみに「競輪場は全国に47ヵ所、300m、500mなどの種類がある」とありますが、正確には43ヵ所で、300
mというのは存在せず(333mはあります)、400mが最も多いです。