如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

「勉強法」というよりは「勉強」と「情報」の持つ意味を理解するための効用が大

 

勉強法 教養講座「情報分析とは何か」

2018年4月9日

 タイトルは「勉強法」だが、多くを「情報」「勉強」「教養」とは何かをテーマにしており、具体的に効果
の大きい勉強のための方法についての記述は少なく、この3つの課題に関して著者の考え方を分かりやすく解
説した内容になっている。

 というのも本書は2016年に刊行された『危機を覆す情報分析 知の実践講義「インテリジェンスとは何
か」』を加筆修正したものであり、文面も講義で語るようなスタイルになっているのが馴染みやすさにつな
がっているのだろう。

 「知の巨人」とも呼ばれている(らしい)筆者だが、本書を読む限り「読者に分かるように伝えたい」と
いう気持ちはかなり伝わった。ただ、第一講の「情報(大半がシリア情勢)とは何か」、第二講「スパイと
は何か」については、テーマに対する分析の深度が大きすぎて、個人的には「書いてある内容に間違いはな
いのだろうが、他に同様のテーマを掘り下げて分かりやすく解説してくれる人がいな
いので信じるしかない」というのが実感だった。

 第三講「勉強とは何か」でようやく、kindle、聖書、放送大学などの具体的な題材が紹介される。予想外
だったのは「スタディサプリが使える」という評価。本来大学受験生に向けたWeb講座だが結構コスパが良
いらしい。

 第四講も、小説「山椒魚戦争」の紹介に始まり、新聞の読み方、数学、古典、歴史などの具体的な学び方に
ついて触れていて、実践的な「勉強法」と言える内容だった。
 
 これまで著者については、コラムや書評などでしか知る機会がなく、「高度なインテリジェンスの専門家」
「ロシアやイスラム教に関する第一人者」「素人には手掛けにくい難解な著作が多い」という漠然としたイメ
ージを持っていた。この本も完全に理解しようとすると歴史や宗教、世界情勢などに対する相当の予備知識が
ないと困難なのだろうが、不完全ながらも分かる部分があったほか、具体的な「勉強法」の紹介もあったの
で★4。