定年準備 - 人生後半戦の助走と実践
2018年5月19日
定年の60歳から75歳までを、家族扶養の義務が減り、健康で自由時間の多い「黄金の15年」と筆者は名付
けている。
この「黄金の15年」をいかに自分らしく有意義に暮らすかのための、ヒントやアイディアが多数の具体例
で提示されている。
まず筆者が、豊富な取材の結果実感したのは「定年後は50歳から始まっている」ということだ。タイトル
まず筆者が、豊富な取材の結果実感したのは「定年後は50歳から始まっている」ということだ。タイトル
に「定年準備」とあるように、定年前後のギャップを埋めるにはかなり前から助走期間が必要になる。実際
に筆者は47歳で体調を崩して50歳で復帰したものの役職は失い平社員となった。その後人生を見つめ直して
「物書き」としての社会的立場を確立、60歳で定年退職している。つまり、定年をむかえるまでに「もう一
人の自分」を確立しておくべきだという提案だ。
これとは別に筆者が主張しているのが、「定年後に地域での活動などを通じて自らの存在を確認したいとい
これとは別に筆者が主張しているのが、「定年後に地域での活動などを通じて自らの存在を確認したいとい
う欲求は間違いなくある」ということだ。
個人的には、本書76ページにもあるように自分は「一人でいても孤独を感じず、悠々自適が似合うタイプ」
だと思っているのだが、男の井戸端会議室「男談」の成功例を読んで、定年後の男性にも潜在的な「人と繋が
りたいニーズ」は結構あるのだと認識を改めた。
「男談」は大阪在住の60~80代の男性だけの月に一度の集まりで、「地域で気軽に語らう場を広げよう」
「男談」は大阪在住の60~80代の男性だけの月に一度の集まりで、「地域で気軽に語らう場を広げよう」
との趣旨で始まったようだが、その特徴は「規約なし、役員なし、会費なし、出席・欠席自由、その他一切の
制約なし」ということだ。
地域で親睦を深めようと何らかの「会」を立ち上げようとすると、とかく「役職」「おカネ」などを巡って
主導権争いが起きるものだが、ここまで潔く自由な運営を行っているのは珍しいだろう。さらに驚いたのは、
この会の最大の支援者が「妻」たちで、「夫」に参加を促しているということだ。家庭の主導権を握っている
のはいくつになっても「妻」が多いようだ。
こうした「男談」のような集まりは今後増えていくとは思うが、その基本は本書にあるように「参加者が無
こうした「男談」のような集まりは今後増えていくとは思うが、その基本は本書にあるように「参加者が無
理なく続けられる」ということだろう。
自分は基本的に「一人」を好む方だが「このような自由な集まりなら参加してみようか」という日が年に何
回かはあるかもしれない。
本書は最後に「定年準備のための行動六か条」を挙げている。詳細は読んでいただくべきだと思うので、
本書は最後に「定年準備のための行動六か条」を挙げている。詳細は読んでいただくべきだと思うので、
ここでは第六条の「自分を持っていく場所を探す」を紹介したい。これは自分の力量を向上させることも重要
だが、現在の自分が役立つ場所を探すことにも意味があるということだ。
まあ世の中には、いろいろな仕事、趣味、人間が存在する訳で、50代になったら「今の仕事一筋」の自分
まあ世の中には、いろいろな仕事、趣味、人間が存在する訳で、50代になったら「今の仕事一筋」の自分
のほかに、必要に応じて軸足を移せるような「モノ」を見つけることは必要かもしれないとは思う。もっとも
60歳までの10年もあれば、「黄金の15年」のために自分に合った「何か」を見つけるには十分だろう。