如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

守旧派の中高年世代への強烈な苦言、「差別なき自由な世界を」

 

朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論

2018年6月13日

 タイトルに「朝日」とあったので、興味本位で読んでみたが、「朝日新聞」とはほとんど何の関係もなく、
世界及び日本を「保守」「リベラル」という概念から解説する内容だった。

 これは食わず嫌いではあるのだが、こういった「政治的な主義、主張」に関連する本は、「理屈を捏ね回し
て小難しく書かれている」という思い込みから、これまでほとんど読んだことがなかったのだが、本書は安倍
政権の支持層の分析から始まるなど、私のような初心者にも比較的理解しやすいように書かれているという印
象を持った。

 とはいえ、海外の文献からの引用や「ネオリベ」「リバタリアン」などの言葉は、個人的な理解力不足もあ
って十分に理解できたとは言い難い。残念ではあるが。

 著者の主張の詳細は本書を読んで頂くとして、ここでは筆者のスタンスを紹介しておきたい。「あとがき」
にあるように著者の政治的な立場は「リベラルであり、いわれなき差別のない自由な社会が理想」だとしてい
る。
 この矛先は、「日本人・男性・中高年・正社員」という既得権を持つ日本の主流派に向けられており、差別
温床となっている日本的雇用を「破壊」しなければならない、と結論付けている。
 
 個人的な感想を言えば、すでに若い世代の人材流動化は進行中で、一括採用、終身雇用という「日本的雇用」
は崩れかけており、中長期的には「個人の実力」が反映される社会になると思う。

 ただ、現在の日本という国家の中枢部は、地方・都市部を問わず中高年の保守層が政治、経済をがっちりと
掌握しており、彼らが第一線から引退し、世代交代が起こるまでは劇的な変化は見込み薄ではなかろうか。

 本書で言うところの「既得権を破壊しなければ希望のない世代」が優勢となり、彼らの意思を反映可能だと
思えるような政治集団が、与野党を問わず台頭、支持を集めれば、著者のいう「理想」が現実になるという
「景色」が見えてくるかもしれない。