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「発想力」「行動力」「継続力」を兼ね備え持った将来の首相候補の経歴

 

小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉

2018年7月1日

 本書は、農林中金の外為ディーラー、フジテレビのNY支局長などを経て、現在解説委員を務める著者が、
NY駐在中に初めて会って以来、取材メモとして残してきた(が、報道に使用されなかった)「素材」を世の中
に紹介したいという気持ちから出版されている。

 第1章は、2004年小泉氏がニューヨークのコロンビア大学付属の英語学校に入るとことから始まり、2009年
の初当選までの経緯が第3章。

 第4章では東日本大震災を受けて、当時野党だった自民党の青年局長として「チーム・イレブン」を発足、
支援活動を開始する。この活動は2018年5月に実に37回目となっているそうだ。

 第5章は農業改革。2015年に自民党の農林部会長に就任、就任後初めての部会で「(自分は)この農林部会
で誰よりも農林の世界に詳しくない」と低姿勢な挨拶で向き合った。

 その後「小泉PT」と呼ばれる農林水産業骨太方針策定プロジェクトが発足すると委員長に就任、自民党農林
族の有力者や農水省事務次官、官房長官を味方に付けて、対立するJA側と激しい議論の末、農業改革問題を決
着させている。

 このPTに参加した当時の若手官僚によれば、このチームは解散せずにまだ続いていて、さらに拡大している
らしい。

 第6章は社会保険制度改革だ。ここでも党内の「経済財政構想小委員会」の事務局長に就任、少子化対策と
して社会保険料の引き上げによる「こども保険」構想をまとめた。この政策は結果として、政府が2017年に費
増税分の使い道を教育無償化に変更したことで頓挫することとなる。

 ところが、第7章で2018年に小泉氏は党内に新たな組織「経済財政構想会議」を発足、前年に挫折した小委
員会の事実上の後継組織の会長代行に就任、対象となるテーマを「社会・政治・経済」に広げて議論を深めて
いくとしている。この頃から小泉氏の発言に「チーム」という言葉が多用されるようになる。現在会議のメン
バーは30人に達するそうだ。

 ここまで本書では、学生時代から初当選後以降、現在までの政治経歴を紹介しているが、小泉進次郎氏の政
治家としての他にない特徴は、問題解決のための「発想力」、それを自ら実行する「行動力」、そしてそれを
続ける「継続力」を兼ね備え持っていることだろう。

 前述の「震災支援」「農業改革」「社会保険制度」のいずれの課題でもその力量を発揮している。

 政治に限らず、ビジネスの世界でも一見仕事ができるように見えても、実現性を考慮せず貧困なアイディア
だけは出すが自分は決して動かない「無責任な放言屋」、最初の会議には出てきて意欲を見せるが、その後の
フォローは全くしない「形だけのリーダー気取り屋」のどちらかのタイプが多く、最後まで継続して面倒を見
て、必要であれば責任も取るという上司やリーダーというのは意外に少ないように思う。

 小泉進次郎氏には、以上のような政治家としての力量に加え、本書で石破茂氏が「偉ぶらないし、媚びない、
何よりも選挙に強い」と評価し、将来「日本を背負って立たせなければいけない」と言うように、世論調査で
も将来の首相としての期待は高まっている。
 
 まだ37歳とはいえ、海外では40代の国家指導者も珍しくない。次の次もしくはその次あたりの総裁選、総選
挙で勝って、歴代最年少首相の手腕を見てみたいものである。