如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

とにかく「捨てる」ことがお金を貯めるカギである

お金が貯まる人が捨てた37のこと

2018年8月30日

 将来への不安からか、「お金を増やす」ことに関するテーマ本は人気があるようで、書店にもAmazonにも
多くの書籍が並んでいるが、本書は「捨てる」ことに特化した蓄財の指南本である。
 
 よって、収入や財産など「お金を増やす」方法ではなく、「支出を減らす」ための手法が数多く紹介されて
いる。ということで、中には主婦のファイナンシャルプランナーが思いつく「家計の節約術」のような内容も
含まれるが、社会人向けに参考になる話も多い。

 具体的に捨てるものとして参考になったのは、まず「夜型のクセ」。夜は会社では飲み会、二次会の誘い、
家ではテレビショッピングなど誘惑が多く、無駄な出費の可能性が高まるとしている。ちなみに著者は、朝型
に切り替えることで、出社前の異業種勉強会に参加、ビジネスのヒントなどを得ているそうだ。出費も大きく
減ったらしい。
 
 次が「才能がないからという言い訳」だ。ただし、著者はこういう言い訳をする人を否定しない。なぜなら
「言い訳をして動けずにいる人には『可能性』があるから」だとしている。つまりやりたいことがあるから障
害を感じている訳で、であればその障害を取り除けば動き出せるはずだ、という。

 また、才能があるかどうかは、何かをやり続けなければ判断できないし、それを決めるのは本人ではなく第
三者だとしている。ここで著者の言う「判断」というのは社会や会社に「貢献しているかどうか」という意味
だろう。自分には才能があると思って続けても具体的な「効果」がなければ、それは単なる自己満足に過ぎな
い。

 他にも捨てるものとして、「いい人を演じる」「へりくだる」「他人の批判」など参考にある内容も少なく
ない。巷でよく知られる節約術についてもビジネスマンの視点で書かれているので、改めて参考になる。

 ただ気になったのは第一章にある、定期預金と普通預金が一体になった総合口座を止めて、定期預金は切り
離して将来のための貯蓄専用に使うという内容。

 こうすることで普通預金残高が不足した際の定期預金を担保にした現金引き出しができなくなるので、おカ
ネを慎重に扱うようになるという趣旨だが、これには疑問がある。

 まず、ちょっと大きな買い物をカードで支払ったことを忘れていたり、携帯の使用量がたまたま多かったり
した場合、また自動車税や固定資産税を自動引き落としにしていた場合、残高不足となるとすぐにカード会社
から連絡が来たり、滞納通知が届いたりする。特にカード会社からの催促は、カード保有者の信用度を確実に
低くするだろう。

 総合口座で定期預金にある程度積んでおけば、残高はマイナスにはなるが実質的なダメージはない。

 加えて、身内に不幸などがあってすぐにまとまった現金が必要となった場合でも、総合口座なら定期預金の
90%までいつでもコンビニのATMで引き出せる。

 これが普通預金と切り離された定期預金では、銀行の営業時間しか引き出せない。こうなるとキャッシング
かカードローン、さもなくば消費者金融という話になって、バカ高い金利を支払うことになってしまう。

 貯金のために定期預金を使い、定額積み立てなどで将来に備えるのは賛成だが、万が一に備えて総合口座の
定期預金への配慮もしておくべきだろう。

【追記】
著者は500万円の借金を抱えて自己破産寸前まで行ったそうだが、その原因ははっきりとは書かれていない。
ただ「はじめに」から本文中にも「キャバクラで散財」という話が散見されるので、お気に入りの女の子に
入れ込んだのが原因だろうか、とふと思った。