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副島先生初の実用書、人生の「落とし穴」を解説

 

傷だらけの人生

2018年9月12日

 「属国・日本論」などの硬派な物書きとして知られる副島氏が、本人曰く「初めて書いた実用書」である。

 各章のテーマが、「女」「お金」「人間関係」などであるから、ある程度想像はつくが、普通の作家は書か
ない、触れないであろう見解をズバリ披露している。

 まず第一章の「オンナにダマされた」では、「女性のお化粧は男をダマすためにある」という主張が目を引
く。その背景にあるのは女性が持つ「物欲という本性」だそうだ。

 また「ボーイッシュな女ほど処女のまま人生を終える人が多い」という見方も、女性からクレームが殺到す
るのではないかと心配になる。

 著者も、すでに妻子ある40歳ぐらいの時に、女性から色気仕掛けで結婚を迫られて「地獄」を味わったとい
う経験も影響しているのだろうが。

 ちなみに女性とは関係ないが本章には、「東京大学医学部の半分は精神障害者」という凄い記述もあり、著
者の作家としての覚悟が想像できる。

 第二章は「お金でダマされた」。エリート銀行員の末路という章で、大銀行は「いいとこのぼんぼん」を新
卒採用し、元本割れリスクの大きい投資信託を、親、兄弟、親戚などに買わせ手数料を稼ぎ、リーマンショッ
クで購入者が大損すると「担当者とお客様の問題ですから」とトカゲの尻尾切りにした。著者によれば、こう
して銀行を退職するなど被害にあった人は300万人に達するという。

 他にも、戦後米国の進駐軍の将校達は、旧華族の所有していたお屋敷を接収し、これらの敷地がそれぞれ西
武系のプリンスホテル、東急系の東急ホテル、小佐野賢治の富士屋ホテルになったという話。

 また、福岡の麻生財閥はセメント事業が有名だが、実際の利益を出しているのは、全国の青年会議所、商工
会議所を通じて実権を握っている「産業廃棄物処理」と「汚水処理(現在は水資源再生業)」の2つ業界であ
るという内容など、世間ではあまり知られていない記述も多い。

 第三章、第四章も参考になる記述が多いが、サラリーマンについて著者は「将来、会社から仕事が来る分の
収入でやってくれ」という歩合制になると予測している。これは「個人事業主として会社と個々が契約する」と
いう雇用形態の一種で他の識者もすでに指摘しているのだが、個人的にも近い将来実現する可能性が高いと見
ている。

 というのも、そもそも現在の新卒は終身雇用や退職金を期待していないし、就職先の選択もスキルアップで
きるかがポイントになっている。企業側も早期退職制度の拡充や、副業の解禁などを進めており、雇用者側に
も被雇用者側にも「割り切った」雇用が急速に進展しているからだ。最近では書籍「LIFE SHIFT」が世間で
反響を集めているのも、こうした事実が背景にあるだろう。

 副島氏についてはメディアを通じて名前は存じ上げていたが、著作はほとんど読んだことがない。評論家と
して「硬派」な著作が多いだけに、本書のようなある意味「下世話」な内容を65歳になって初めて書くのは苦
労しただろうというのは文面各所から見受けられる。

 ただ、思うこと、考えていることを正直に伝えたいという熱意は強く感じられるし、勉強になる意見も多か
ったことは事実だ。過去の著作を読まれた方も、副島氏の新たな一面を知ることができるのではないだろうか。

【追記】
 P108に「組織は、・・人格障害のある人間を上には置かない」とあるが、これには結構例外もあるだろう。
ちなみに一流大企業に勤める友人の会社では、部下を精神的に追い詰めて何人も退職や病院送りにした管理職
2人が副社長と専務にまで上り詰め、その後2人とも子会社の社長に収まっている。友人曰く「その業界では
珍しくない」そうだ。

 またP110にある「65歳の満期で30年勤続だと年金は手取りで23万円」とあるが、厚生労働省の「平成28年
度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば老齢年金の平均年金月額は15万円弱であり、23万円というの
は「夫婦の合算金額」もしくは「企業年金」を加算した金額ではないかと思われる。また同ページの「公務員
は共済年金」というのは過去の話で、平成27年に「厚生年金」に一元化されている。