如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

これ以上易しい入門書はなさそうだが、それでも後半は難しい・・・

 

マンガでわかる統計学入門

滝川好夫

2018年11月23日

 統計学をまったく知らない初心者にも分かるように、マンガで書かれた入門書である。

 しかも、登場人物はすべて若い女性という何とも心憎いまでの「統計への抵抗感排除」への配慮が感じられ
るのは感心するばかりだ。

 ということで、最初はスラスラと読み進むことができるのだが、第7章「母集団の推定方法」あたりから、
雲行きが怪しくなる。

 これは何故なのかを考えてみると、やはり「数式」がネックになるのだ。具体的には「P」「t」「μ」と
いった変数を使った計算式が頻繁に出てくるのである。

 そもそも「数式を扱わない統計学というのはあり得ない」という事実は重々承知しているのだが、この章か
ら雪崩を打ったように数式が登場し始めるので、急に理解が難しくなる。こうなるともう先に進めないので残
念ながら「ギブアップ」となってしまった。

 ちなみに私自身、大学の選択科目で統計学を履修した記憶があるのだが、本書の第7章以降のような難しい
講義ではなかったと思う。30年以上前の話なので統計学自体が進歩しているという事情はあるだろうが。

 ただ、これは個人的なスキルと苦手意識の問題であって、本書が第7章以降も含めて他の入門書よりも平易
に書かれているのは間違いないと思うし、数学に苦手意識のない人には逆に簡単すぎる可能性すらある。

 個人的には、ニッセイ基礎研究所主任研究員のアクチュアリーである篠原拓也氏が今年7月に出版した「で
きる人は統計思考で判断する」(三笠書房)の方が、より生活に密着した統計学の話で読みやすく、面白かっ
た。

 統計学に興味があるけど、いきなり数式で始まるのは勘弁して欲しい、という人には向いているかもしれな
い。ちなみにAmazonの「なか見!検索」で、目次と本文の一部が読めるので内容を確認してから購入するこ
とをお勧めする。