如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

ポジティブに迎える「役職定年」のススメ

 

役職定年

河村 佳朗 , 竹内 三保子

2018年12月28日

 役職定年という言葉を聞くと、おそらく誰もが「給料の減少」「地位と権限の消失」などを連想し、仕事へ
の「モティベーションの低下」といったネガティブな思考になりがちだ。

 本書では、「役職定年をポジティブに捉え、その先の人生と時間をどう充実させていくかのポイントを伝え
る」(p3)ことを目的にしている。

 第1では、現在の役職定年制度の仕組みを解説し、第2章で役職定年後のマネー事情、第3章で役職定年後
から60歳の本定年までの会社生活の現実を解説している。

 すでに役職定年を迎えた人にも参考になる記述は多いが、主なターゲットとする読者は40代のミドル世代だ
ろうか。いざ役職定年となって慌てることのないように現状を知っておくのは意味があるだろう。

 本書で最も参考になったのは、第4章「再雇用以外の様々な道」。

 地方の中小企業への転職や、難関国家資格を目指すといういわば「定番」も紹介されているが、著者が勧め
ているのは「副業」だ。

 副業推進は「役職定年者にとって福音」(p116)だという。その理由は、仕事が軽くなり、自由な時間が
えるので、じっくり副業に取り組めて、セカンドキャリアをより具体的に検討できるから、としている。

 当然ながらここで気になるのが、会社が社員に「副業」を認めるのかどうか、だ。

 本書で引用されている調査結果では、1995年と2004年を比較すると「副業を禁止していない企業」は2ポ
イント減少する一方で、「副業を禁止している企業」は11.8ポイント増加したそうだ。2017年の別の調査でも
8割近い企業が禁止しているという。

 この結果を見る限り、現状では副業実現への道は厳しいと言わざるを得ないだろう。

 今後の行方のカギは、厚生労働省の定める「就業規則」にありそうだ。

 企業が就業規則を作る際に参考にする厚生労働省のひな型には、これまで「原則として副業を禁じる」と書
かれていたが、これが2018年から「副業を認める」という内容に変わったという(p118)。

 私の勤める会社でも副業は禁止されているが、その理由はおそらく世の中の大勢がまだ「禁止」だからだろ
う。とはいえ、近い将来、副業解禁の流れができれば、一気に社会全体が「解禁」に動き出す可能性は高い。

 少子高齢化による労働人口の減少、個人の会社存続リスクの分散志向、シニアのためのセカンドキャリア作
り、などのメリットが認知されるようになれば、著者の指摘するように「副業が一般的になるのは時間の問題」
なのかもしれない。

 その時になって慌てることのないように、事前準備だけはしっかりと進めておいた方がよさそうだ。本書は
役職定年を控えた普通のサラリーマンがその先の視野に入れている「定年後再雇用」という道以外にも、人生
には選択肢や可能性があることを教えてくれる。