如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

「書く」ことは、「かく」ありたいという人生を「描く」ことだ

 

「書く」習慣で脳は本気になる

茂木 健一郎

2019年4月2日

 脳科学者である著者が、「書く」ことの重要性とメリットを解説している。

 全6章から構成されるが、各章の最後に「まとめ」が箇条書きで書かれており、その一部を紹介すると、
「脳は怠け者なので、本気のスイッチを入れる必要がある」(第一章)、「自分の行動を5段階で評価する
習慣が効果的」(第二章)、「文字にすることで、脳の資本が蓄積される」(第三章)などがある。

 勘のいい人は既にお気づきかも知れないが、第二章で著者が紹介しているように「書籍のレビューを5段階
評価し、他者に発信することで、目利き力が上がる」(p50)というのは、まさにAmazonで書評を書くこと
に他ならない。

 個人的な経験で恐縮だが、私がAmazonでレビューを真面目に書き始めたのは約一年前、今読み返してみる
と、始めた当時の文章は恥ずかしいほど稚拙だったし、書くのに時間も相当かかっていた。だがやはり「継続
は力なり」というのは本当で、最近は自分でもかなり効率的に執筆できるようになった気はする(ただの勘違
いかもしれないが)。

 著者は、「ネットで情報発信することはとても効果的だが、炎上を恐れて本音を隠すのは『書く』ことの意
味や目的から大きく逸脱している」(p160)と、鋭い指摘をしている。私自身まさにこの「炎上」を恐れて
SNSの類は一切やっていないのだが、この指摘は改めて自分の立ち位置を再考するきっかけになった。ただ「
根拠なき批判や言いがかり」への耐性は強い方ではないので、実際にSNSを始めるかは未定だが。

 巻末の「新書版おわりに」で、著者は「書くという行動を通じて、自分のポテンシャルを開放して、夢を実
現することもできる」(p207)と説いている。

 まさに文書を「書く」ことで、「かく」ありたいという自分の人生を「描く」ことができるのだ。