如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

マンションの総会議事録には購入希望者への開示義務がある

「修繕積立金」不足の裏にある根本的な問題点(東洋経済オンライン)

 

 住宅情報サービスのSUUMOジャーナルの執筆した誤った記事『修繕積立金』不足の裏にある根本的な問題点」が6月30日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 問題の個所は、3ページ目にある総会や管理組合の議事録や長期修繕計画に関する部分で、内部書類については、マンション購入者などの第三者に閲覧させることは義務ではないため、あくまで任意で閲覧をお願いすることになります」という部分。

 

 ちなみに、区分所有法第三十三条には
規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
2 前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。

とある。

また、同法律の第四十四条第5項目には、

第三十三条の規定は、議事録について準用する」とあり、管理規約のほかに議事録も含まれることも明記されている。

 また利害関係人には、相続人のほか購入希望者も含まれるというのが普通の解釈だ。購入すれば区分所有者として修繕積立金支払いなどの義務が発生するのだから当然である。

 

 記事を書いたのが、SUUMOジャーナル編集部でどのレベルの人が書いたのか不明だが、記事のタイトルに「修繕積立金」とあるように、これらの情報が記載されている議事録を開示しないようなマンションはそもそも購入の対象外である。何らかの開示できないような事態(修繕積立金の未納、修繕計画の頓挫、理事会の機能不全など)が生じている可能性があるからだ。

 

 SUUMO自体がマンション委託売買業者から、広告などの収入などを得ているために忖度して「議事録の開示は任意である」という趣旨の記事を書いたとしたら、これはもう買い手となる読者の信頼を裏切ったと糾弾されても仕方がないだろう。

 

 この記事が掲載されたのが週末の日曜日なので、週明けの月曜日の東洋経済オンラインにどのようなコメントが投稿されるのか注目したい。

 

 ちなみにSUUMOに関しては、駅スタンドなどにある無料の新築マンション情報誌についても6月25日に「本当に売れる家、売れない家」というタイトルで当ブログにも書いているので、参照して頂ければと思う。