如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

英国での駅ナカ自販機、「菓子パン」「おにぎり」も売ってはどうか

JR東の新たな一手、英国で「日本流」は根づくか(東洋経済オンライン)

 

大坂 直樹 : 東洋経済 記者

 

 JR東日本が、英国の鉄道駅構内で飲料や菓子類の「自動販売機」の設置を7月から始めた、という記事「JR東の新たな一手、英国で『日本流』は根づくか」が8月5日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
 
 まだ台数は3台で。来年6月までに10台に増やす予定らしいが、売り上げ的にはまだ「市場調査」の域を出ないようだ。
 
 これまで日本製品を海外に輸出するというと「日本仕様」をそのまま押し付けて、現地の理解を得られずに「失敗・撤退」が少なかったように思うが、今回JR東日本は、自販機の製造、商品の補充、保守を地元の業者に委託したという。「郷に入れば郷に従え」ではないが、少なくとも現地の小売関係者からの反発は少なくなる効果は見込める。
 
 問題は記事にもあるが、英国人に「駅ナカ」が小売り店舗として認知されるかだろう。
 昔、半年ほどロンドンに住んだことがあるが、サラリーマンの朝食は通勤途中に「ローストビーフサンドウィッチ」を個人営業のパン屋で買って自分の机で食べる人が多かったように記憶している。

 こうした通勤客を含めて、自販機の利便性がどこまで伝わるかがカギになる。記事にあるが、日本と異なるのは、自販機のパネルに「鉄道の運行情報や電子広告」を表示していること。
 
 現在は状況は改善されているのだろうが、当時のロンドンの地下鉄は「遅延」は当たり前、途中で列車故障等による「運行中止」も珍しくなかった。列車の「行先表示」も当てにならず、駅構内や社内のアナウンスなどで確認しないと正確な行き先が分からないという「理解不能」な状況だった。
 
 英国でもスマホは普及していて、自販機でわざわざ確認しなくてもという人も多そうだが、大きなディスプレイで常に最新の運行情報と、ニュースなどが表示されれば「英国人」にも「情報端末兼自販機」として受け入れられる素地はあると思う。
 
 他に気になった点は犯罪。東南アジアなどの自販機では現金決済も多いためカギのこじ開けによる現金や商品の窃盗もあるようだが、今回は人目に付く駅ナカだし、防犯カメラも設置、設置された自販機の画像を見る限り「電子カード」決済のようだ。
 
 また、英国にも駅近くにこじんまりとした売店はあったはずだが、新聞などが中心で品ぞろえは少ない。一方で利便性の高いコンビニは日本のように街中のそこら中に存在するわけではない。気軽にいろいろ購入できる自販機のニーズはあるかもしれない。

 記事よれば、最近では駅の改装をいっかけに駅ナカの小売り、飲食店も増えてきたようで、「保守的」と言われる英国人の行動スタイルも変化の兆しはあるようだ。
 
 まだ現在の自販機の利用者は「必要ではなく、目新しさにひかれて買う」人が多いとのことだが、ならば「珍しさ」が注目を集めている今こそ、「日本で定番のお菓子や菓子パン」、さらには「おにぎり」を販売して、さらに特徴のある品ぞろえで自販機をアピールするという手法も検討の余地はあると思うのだが。
 
 とにかく、まずは「注目を集めて利用してもらわないことには始まらない」のは確かだろう。