如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

日韓の対立問題は、年内に解決する――韓国の白旗で

 日本と韓国との関係が戦後最悪と言われて久しいが、この騒ぎも年内に収束すると思われる。それも「韓国の白旗」という形で。

 

 そもそもの問題の発端は徴用工訴訟だが、その後も韓国の嫌がらせが続き、堪忍袋の緒が切れた日本が、輸出管理の厳格化(輸出3品目の管理やホワイト国認定解除)を実行したというのが経緯。

 

 いままで日本には「何を言っても」「何を要求しても」問題ない、と考えてきた韓国の狼狽ぶりは明らかで、米国など国際社会にまで訴えてホワイト国認定の解除を回避しようとしたが、すでに遅きに失した。

 経済産業省が実施したパブリックコメントでは、意見の95%がホワイト国認定解除に賛成している。

 

 こうした流れに韓国は、「経済問題」から「軍事問題」へと、お得意の「テーマずらし」作戦を展開。軍事情報に関する包括的保全協定(GSOMIA)を俎上に上げて揺さぶりをかけてきた。

 

 結果として、米国の期間延長要請を袖にする形で、2019年8月23日、韓国が日韓GSOMIAを延長せず破棄を決定、11月23日午前0時に効力を失うこととなった。

 

 もっとも、北朝鮮内部の危険な軍事行動を察知する人工衛星の情報収集能力は、韓国よりも日本のほうがずっと高いようで、GSOMIAによるメリットは韓国の側の方が大きかった。

 

 その事実に気づいたのかどうかは分からないが、最近になって韓国は、韓国国防部の朴宰民(パク・ジェミン)次官が、「日本が貿易規制措置を再検討して撤回すれば政府も(GSOMIA終了の決定を)前向きに再検討することができる」などと、発言しているが、足元を見透かされていることには気づいていないようだ。

 

 ここで輸出管理問題に戻ると、今回韓国が新たに入ったグループBは「輸出管理レジーム」(原子力提供国グループ(NSG)、オーストラリアグループ(AG)、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)、ワッセナー・アレンジメント(WA)の4つに参加し、一定要件を満たす国と定義されている。

 

 理由はよく分からないが、オーストラリアグループ(AW)にだけ加盟しているリトアニア、エストニアなどもグループBに属している。これは推測だが、日本との良好な交流関係などが評価されたのだろう。

 

 では、このグループBはその下のグループCと比べてどのような違いがあるのか気になるが、現実問題としては多少優遇される程度のようだ。実際、日本との貿易や交流がさかんな中国、台湾、シンガポールなど、他のアジア諸国はほとんどがこのグループCに属している。韓国がここに分類されても何らおかしくない。

 

 一方、国内問題に目を向けると、文在寅大統領は9月にも、「疑惑のタマネギ」とまで言われる法務部長官候補のチョ・グク氏の法相任命を強行する見通し。「疑惑が底なし」の人物だけにスキャンダル絡みで国内の政治的なリスクはさらに高まると予想される。

 

 経済事情も深刻だ。韓国産業通商資源部が9月1日に発表した8月の輸出入動向によると、輸出は前年比13.6%減少し、9カ月連続で前年割れとなったこと、また3カ月連続で2桁台のマイナスとなった、ことが明らかになった。

 

 主力の半導体市況や自動車の回復が見込み薄なほか、反日運動の高まりで日本への旅行者が激減、韓国の格安航空会社(LCC)は窮地に陥っている。少なくとも年内は回復の目途は立ちそうにない。仮に11月まで輸出の減少が続けば、その期間は1年に達する。産業界の我慢も限界が近づくはずだ。

 

 こうしたなか、今回の事の発端となった徴用工問題では、韓国の最高裁判所・大法院が2018年10月に日本企業(三菱重工業など)に対して賠償を命じる判決を出した。

 2019年7月16日に韓国国内の三菱重工業の資産をすでに差し押さえしており、それらの売却命令を裁判所に申請して現金化が行われる見込み。早ければ12月にも現金化は実現するだろう。

 

 日本政府は、韓国の元徴用工訴訟で敗訴した新日鉄住金の資産差し押さえ問題で、韓国に「企業に実害が生じた場合は対抗措置に踏み切らざるを得ない」と警告しており、「韓国企業の日本国内資産の凍結」などが予想されているが、効果が最も大きいのは「金融措置」だろう。

 韓国への送金停止や、韓国の輸出企業に邦銀が行っている信用供与を停止すれば、韓国経済は一発で撃沈されるはずだ。カウンターノックアクトである。

 

 あとこれは個人的な予想だが、GSOMIAが実際に破棄される11月23日にも、日本政府は何らかのアクションを起こすと思う。

 具体的には、先に述べたグループCへの格下げだ。現在日本は、GSOMIAをフランス、オーストラリア、イギリス、インド、イタリアの五カ国としか締結していない(NATOは除く)。

 

 インドを除くアジアの国々とはGSOMIAを締結していないのだから、「韓国との締結解除で友好関係がさらに弱まった」との判断から、11月23日当日に「第3段の対抗策」としてグループCへの格下げを発表する可能性はゼロではないと思う。

 同時に、メンツをつぶされて怒り心頭の米国のトランプ大統領も「在韓米軍の規模縮小」など何らかの対韓政策を打ち出す公算もある。

 

 加えて12月の徴用工判決に基づいた日本企業の資産現金化が実現した場合、「第4弾の対抗策」である金融制裁を発動すれば、韓国経済の息の根は止まる。韓国ウォン、株価の急落は不可避だろう。

 外国からは相手にされず、海外企業は資産・資金を逃避、経済の悪化と政治への不信で国民の支持率も急降下。完全に「詰んだ」状態となってお手上げ、というシナリオだ。

 

 以上が、日韓の対立問題は年内でカタが付くと考える根拠である。

 

 こうなると韓国は日本に対して「通貨スワップ」協定を要請するだろうが、日本はこれに対応する必要はまったくない。韓国の完全な「自業自得」だからだ。

 しかも想像するに要請するにしても「日本がスワップ協定を結びたいというなら韓国にも用意がある」とか「日本にはスワップ協定を締結する義務がある」などと上から目線で言ってくるのは目に見えている。

 

 世界の金融制度に影響が出かねない、というなら国際通貨基金(IMF)が主導権を持って対応すればいいだけの話である。