如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

ネット世代向けに「変貌」する結婚相談所に人気

20代の「結婚相談所」利用がじわり増える背景(東洋経済オンライン)

桜井 まり恵 : 恋愛・婚活アドバイザー

 

 結婚相談所というと、中高年世代にとっては「お見合いや社内恋愛で相手を見つけられずに至った最後の手段」的なイメージが強いのだが、若い世代には今「変貌した結婚相談所」がじわりと人気を集めている――こんな最近のネット世代の結婚事情を解説する記事「20代の『結婚相談所』利用がじわり増える背景」が914日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事では婚活サービスを、利用者の割合の多い順に「ネット系婚活サービス」、次いで「婚活パーティー・イベント」、最後は「結婚相談所」と分類、特にSNSでのコミュ―ケーションに長けた20代、30台に「ネット系」が人気であると分析している。とまあ、ここまでは合点の行く内容で、ごく自然な話の流れだ。

 

 今回の注目点は、「結婚相談所に入会する20代の割合がここ数年でじわりと高まっていること」だ。記事によれば「ゼクシィ縁結びエージェントの20代の会員割合は、2015年の20.7%から2018年には25.9%へ増加」しているという。

 

 その理由として記事では、これまで会員の希望に沿った「相手を探す」ことが、相談所の担当者の仕事だったのが、現在はオンラインで自ら探せるようになり、これまでの「受け」だけから「攻め」も可能になったことなどを挙げている。

 

 このように、ネット世代の行動に適応する新しいシステムと、従来からある「独身証明書の提出が義務付け」という安心感がマッチして、若い世代の会員獲得につながっているようだ。記事によれば「担当相談員はジムトレーナーのように隣で伴走してくれる存在」だという。

 

 確かに「平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書」によれば「将来の結婚意向」で、将来結婚したいと考える20代、30代の比率は77.7%と高い(P37)。彼ら彼女らに受け入れられるサービスを提供すれば、会員は今後も増えるだろう。

 ただし、報告書では、20代女性の「結婚したい」比率が86%と高い一方で、30代男性は65.8%と実に20ポイント以上の差がある。

 

 特に30代男性は「すぐにでも結婚したい」は4.8%と性別、年代別では最低、一方「結婚するつもりはない」は12.6%とこちらは最高水準だ。年代的には「あきらめの境地」に達するには早すぎるし、時代に合わせて「変貌した」結婚相談所の認知度が男性の間で高まれば、この傾向が変化するかもしれない。

 

 個人的には、この記事と合わせて読んでほしいのが、同じく東洋経済オンラインの9月6日に掲載された「詐欺まがいの婚活に疲れ果てた男性の一大転機」だ。

 

 こちらは民間の婚活サービスに対して、過去の経験などから「しょせん営利目的でしょ」という警戒感から加入しなかった男性が、自治体の提供する「婚活サービス」に加入し、見事伴侶を獲得するという内容だ。

 

 民間の結婚相談所が、ネット世代の行動体系に合わせて、自分の希望する条件に合った相手を積極的に見つけられるように「変化」しつつあるのに対して、自治体のサービスは「加入する段階で身の程をわきまえない要求をする人には紹介はしない」という条件を「変えない」。

 

 これは、どちらが正しいという問題ではなく、利用する側が「自由度」を優先するか、「確実性」を志向するかの違いだろう。

 

 その点から考えると、婚活サービスは先の3つではなく、結婚相談所を「民間企業」「自治体」に分けた合計4種類に分類した方がいいのかもしれない。

 

 結婚したい若い世代が77%もいる以上、ニーズにあったサービスを提供すれば「成婚」の可能性は高まる。

 AIの活用や5Gなどネット環境のさらなる向上で、近い将来に第5、第6の婚活サービスが実現している可能性は十分にある。

 

 相対的な結婚志向の低い30代男性には、「あきらめるにはまだ早い」と言いたい。