如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

「お見合い」⇒「恋愛」⇒「ネット婚活」は自然な流れ、個人スコアの存在感アップも

今や8人に1人が「婚活サービス」で結婚する背景(東洋経済オンライン)

リクルートブライダル総研

 

 昭和中期ころまでは主流だった「見合い」結婚が、今は「恋愛結婚」が9割に達し、現在ではネットを使った婚活サービスなどに移行しつある――という最近の婚活事情を解説する記事「今や8人に1人が『婚活サービス』で結婚する背景」が10月8日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 サブタイトルにあるように「自由恋愛の歴史に大きな変化が訪れている」のである。

 記事では、2018年に結婚した人のうち、8人に1人が婚活サービスを利用して結婚、20~40台の独身者の4人に1人は婚活サービスの経験があるという調査結果を紹介している。

 しかも、婚活サービスのなかでも最も結婚した人の比率が高かったのはネット系婚活で、結婚相談所とパーティー・イベントに約2~3倍の差をつけたそうだ。

 

 こうした「婚活」の大きな動向に、現代の独身者の結婚に対する「認識」と「環境」の変化が影響しているのは間違いない

 

 そもそも「結婚」は、昭和の時代には「しなければならないもの」「してようやく一人前」という周囲からの圧力が強く、当事者も疑問を持っていなかったが、その後女性の社会進出が進み、男女が職場やサークルなどで知り合い「自発的」に相手を選んで結婚するという流れになった。

 ただ記事中にある「恋愛・見合い結婚の構成の推移」グラフでは、1965年頃に逆転した「見合い」「恋愛」の比率は、その後上昇を続けるが、1990年頃に90%近くまで上昇したあとは頭打ちになっている。

 

 想像するに、「恋愛」結婚というスタイルは定着したが、その内訳が変わってきたのだ。これは記事にもあるがネット環境の充実が影響している。

 ネットを通じたコミュニケーションは1980年代から「パソコン通信」の掲示板など存在はしたものの、機材や接続環境などは一般的ではなかった

 いわゆる「オフ会」などもあり参加した経験もあるが、いわゆる「オタク」系の人が多かった記憶がある。参加者も大半は男性で、女性にはハードルが高かった。

 

 その後、帯電話NTTドコモの「i-mode」をはじめとする各種ネットサービスが充実、現在ではLINEでやFacebookなどSNSでのコミュニケーションなしでは若者の生活は成り立たなくなっている。

 こうした結果、ネット環境の充実が「ネット系婚活」というサービスへの抵抗感を弱めたのは確実だろう。もちろん「いかがわしさ」感の強かったネット系恋愛サービスの「浄化」が進んだことも効果はあっただろうが。

 

 という訳で 、職場や友人の紹介など「現実空間」で知り合いになるよりも、自分の価値観で相手を探し、選ぶことが容易になったことで「仮想空間」で、相手との距離感を見極める傾向が強まった。

 「仮想」だけに、実物を判断できないデメリットはあるが、コミュニケ―ションや発言履歴などを調べれば、大体の「人となり」は判断できるのだろう。時間や手間などの効率やコスト面でもネットの方が優れている。普及するのは時代の流れだろう

 

 今後の展開としては、相手を選ぶ際の客観的な基準となる「個人スコア」へのニーズが高まりそうだ。選択肢が増えても、自分の考える基準に自信のない人も多いはずで、数値化されれば「相手」だけでなく「自分」の立ち位置もわかるというメリットもある。

 この分野で先行した中国では「個人情報の管理」が行き過ぎて、民間企業に政府が介入したようだが、日本では、みずほ銀行とソフトバンクGの「Jスコア」などが立ち上がったばかり。

 個人情報保護の問題はあるが、最近リクルート系の就職支援企業が就活生の個人データを企業に無断で販売していたことが社会問題化するなど、世間の個人情報への監視の目は強まっており、「まともな」企業であれば、同じようなヘマはしないだろう。

 

 個人的には、結婚相手を選ぶ手段は、お見合いという「押し付け」から恋愛結婚という「自由恋愛」という自分の意志が優先される流れの先に、個人スコアを利用した婚活サービス業者からの積極的な結婚相手の「あっせん」という、どちらかといえば再び「受け身」のサービスが増えてきそうな気がする。

 結婚したい人にとっては「自分の意志」を重視したいが、業者は「成婚させてなんぼ」であることに変わりはないからだ。

 ネット系婚活も、現在は普及・拡大の一途だが、そう遠くない将来淘汰が進みそうな気がする。