如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

若年層の就職への近道は「自信」を取り戻すことから

「就活ひきこもり」の社会復帰を阻む4つの壁(東洋経済オンライン) 

 川畑 翔太郎 : UZUZ 専務取締役

 

 昨今話題となる「人手不足」問題について、働き盛りである若年層の失業者を社会復帰させることで解消を目指すとする記事「『就活ひきこもり』の社会復帰を阻む4つの壁」が10月10日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事では、総務省の「労働力調査」を引用、働き盛りの15~34歳のうち69万人が失業しているとしている。

 タイトルにある「就活ひきこもり」というのは、「やりたい仕事が見つからない」「就活で挫折した」などの理由で、求職活動から遠ざかり、社会に出られずにフリーターやニートになっている「広義のひきこもり」と定義している。

 

 記事後半では、「就活ひきこもりが社会に出るために乗り越える4つの壁」として、「就活開始」、「仕事選び」、「面接」、「就活継続」という具体的な就活のハードルを挙げている。

 

 当然ながらこの4つは確かに「壁」になっているのは事実だろうし、それぞれ項目に対する解説と対応策は参考になるし、説得力があるのも事実だ。

 

 ただ、個人的にはこの4つの壁を乗り越える最大のテーマは「自信」だと思う。

 もちろん、自分に自信がないから失業しているという現実を自覚するのはつらいものがあるだろうが、現実はそうだ。

 

 その意味では、一つ目の「就活開始の壁」が最大の難関だろう。最初の一歩は誰にとっても不安だし、自信などある方が少ないはずだ。ましてや就活の経験が全くなかったり、終活に失敗したというトラウマがあれば、なおさらだ。

 

 ここは記事にもあるが「自分と同じ境遇の他人の事例を知ることで、成功イメージを持つ」ことがカギになる。

 これはフリーターなら、周囲を見渡して同じような立場にありそうな人たちと「挨拶」から始めて、「会話」に、そして「相談」というステップを踏むのが手間はかかるが、より確実な手法だと思う。境遇を共有することで得られる情報は多いはずだ。

 

 自宅で引きこもっているケースでは、周囲に相談できる知人・友人もいないだろうから、対応してくれる行政等の窓口が有効だろう。

 東京都の場合、「ひきこもりサポートネット」として、取っ掛かりとなるWebサイトを用意している。具体的なサポート内容は「リーフレット(令和元年版)」に記載されているが、相談窓口は「パソコンメール」「携帯メール」「電話」「訪問」の4形態があり、メールを例に取ると、相談に必要なのは「ニックネーム」「年齢「性別」などで、詳しいプライベートな情報を知らせる必要はない。

 「自信」を取り戻すための最初のステップとして、何とかアプローチできればその先の展開が見えてくる可能性がある。ダメ元で試してみる価値はあると思う。

 

 第2の「仕事選び」と第3の「面接」の壁は、できるところから始めて少しづつ経験を積んでいくしかないだろう。幸いにも「人手不足」の影響で、若年層の就職先は中高年よりも選択幅が広い。

 新卒採用組の多くだって自分に何が向いているかについて確証的な自信がある訳ではないはずだ。

 

 究極的に言えば、「直観」で会社を選んでも構わないと思う。ダメ企業かどうかなど勤めてみなければわからないことが多いのが現実だろう。また、面接で落とされたら「相手に自分を観る目がなかった」ぐらいの割り切った気持ちで臨んだ方が気は楽だ。

 もともと仕事をしていなのだから、面接で落とされても「マイナス」にはならない。

 

 記事では最後に、「状況を変えたければ行動するしかない」と結んでいるが、これは事実だ。先に紹介したサポート事業も、「就活ひきこもり」組からのアプローチから第一歩が始まる。

 就活への意欲を失った人に「自ら動け」というのは厳しいようだが、現状に満足している人は別として、そうでなければまずは「最初の一歩」を踏み出すことを勧める。そのための「窓口は開かれている」ことは知っておいてほしい。