如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

シニア層は「与党支持」、若年層は「N党」への共感も

自民党に次ぐ政党は立憲ではなくN国?!ネット調査で驚くべき結果に|選挙ドットコムリサーチ

 

 「選挙をオモシロク」を合言葉に、日本最大の選挙・政治情報サイトを運営する選挙ドットコムが11月13日、「自民党に次ぐ政党は立憲ではなくN国?!ネット調査で驚くべき結果に」というタイトルのアンケート調査の結果と検証記事をWebサイトに掲載した。

 

 投票率の低迷などから総じて国民の選挙への関心があまり高くないなかで、同サイトは「自由と責任」「政治的公平性」などを編集ポリシーとしており、全国各地の選挙関連の記事を積極的に配信している。

 

 今回のアンケート調査では、ハイブリッド調査(電話調査とインターネット調査を同じ設問で同時に行う方式)を初めて実施したのが大きな特徴。

 記事にも「大手報道各社では電話調査のみ行われており、比較的高い年代層の回答サンプルが多くなる傾向があります。しかし、選挙ドットコムが行うハイブリッド調査では、幅広い年代層から回答を獲得することができ」とあるように、若い年代層も調査対象に含まれることの意義が大きい。

 

 というのも、大手メディアの世論調査は日中つまり、一般的な会社員が働いている時間帯に行われる傾向が強く、当然ながら回答者は在宅している「高齢者」「専業主婦」といった層が中心となる。

 

 加えて言えば、これは経験した人も多いと思うのだが最近では「自動音声による機械的な電話アンケート」が増えている。

 受け止め方は人によって様々だろうが、個人的には「無機質かつ機械的な質問」に真面目に答えようという気は起きないし、実際に回答したことは一度もない。

 人手と経費の不足でアンケート調査の自動化が進んでいるのだろうが、大手メディアはその手法への反発が存在することも認識すべきだろう。

 

 今回の調査では、電話調査が1031件、インターネット調査が1000件とほぼ同数なので、比較するにはちょうどいいサンプル数となった。

 

 両調査で最も大きな違いが出たのは「回答者に占める年代別割合」。記事にあるように「ネット調査では、40代までの回答者で7割を超す結果」となった一方、「電話調査では50代以上の回答者で7割を超す結果となった」としており、真逆の傾向を示している。

 

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回答者に占める年代別割合

 

 もうひとつの注目点は、電話とネットの調査による「政党支持率」の差。既存政党が「維新の会」のほぼ同じ水準(電話3.2%⇒ネット3.0%)なのに対して、与党の自由民主党公明党はネット調査では電話のほぼ半分にまで支持率が低迷している。

 

 この傾向は野党ではさらに顕著だ。野党第一党の立憲民主党がネットが電話の4分の1(電話12.5%⇒ネット3.1%)にまで差が開いたほか、共産党国民民主党社会民主党も1/3から1/4程度の格差がある。

 

 一方、これとは逆にネットの方が支持率が高いのが「NHKから国民を守る党」と、「れいわ新選組」だ。それぞれ0.8%⇒3.2%、1.0%⇒1.8%とネットの方が支持率は高い。特にN国はネット支持率は電話の4倍となっている。この3.2%という支持率は野党第一党の立憲民主党(3.1%)よりも高い。

 

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電話とネット調査別の政党支持率

 

 この結果を個人的に分析してみると、電話調査の主たる対象と思われるシニア層は自民党への支持率が高く、主たる野党(協賛、社民、立憲、国民)を合わせてもその半分程度にしかならず、与党(公明、維新)と比較すると44%しか支持がない。

 

 これがネット調査になると、最も多いのは「支持政党なし」の65.1%で、電話調査の1.8倍にもなる。若い世代の投票率が低く、政治的関心が低いというのはこの調査結果でも裏付けられた形だ。

 

 ただ、支持政党という観点に絞れば、相対的に見て「野党よりは自民党の方がマシ」と判断しているのは間違いない。

 旧民主党が離合集散を繰り返し民進党を経て、現在の分裂状態に至るなど主義・主張に一貫性が見られないことへの不満があるほか、共産党、社民党にはその左派的なイデオロギーへの警戒感が根強いことや支持層が高齢化している影響もあるだろう。

 

 つまり、「責任ある政治を担えるような健全な野党が存在しないから、消極的選択で自民党が支持されている」というのが実態ではないだろうか。

 

 こうした政治的な不満を抱く若年層を中心とする有権者の一部が、良くも悪くも政治的な主義・主張が明確な「N国」「れいわ」への支持に向かったと考えるのが妥当だろう。

 

 今回から始まった「選挙ドットコム」の電話とネットによるハイブリッド調査については、「幅広い層」の世論を集計しているという点で評価できる。今後も調査結果には注目していきたい。