如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

ステマ問題の解決策は表示を「広告」に一本化することだ

2019年も物議醸した「ステマ」招く根本的な理由(東洋経済オンライン)

中嶋 よしふみ : FP、シェアーズカフェ・オンライン編集長

 

 ステマ(ステルスマーケティン)と呼ばれる、いわゆる報酬を受け取りながら記事のように掲載する問題を取り上げた記事「2019年も物議醸した『ステマ』招く根本的な理由」が12月3日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事では、「京都新聞が報じた『吉本漫才コンビ、ツイートは「ステマの疑い」 京都市の広告と明示なし、識者「アンフェア」』という記事」を引き合いに出して、「京都国際映画祭で吉本興業が行っていたPR事業の一部に、消費者やファンを欺くステマが含まれていた」と報じたことを伝えている。

 

 この件がステマの可能性が高いのは確実のようだが、問題は記事にあるように、「ステマ」と「ステマではない広告」の間にある広大なグレーゾーンだろう。

 

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 現在は、各種メディアや広告代理店が参加する業界団体、WOMマーケティング協議会が作成したWOMJガイドラインで、コンテンツに「関係性の明示」することが、ステマにならないための条件とされている、と記事では解説している。

 ただこの「関係性の明示」にも問題があるようなのだ。

 

 具体的には、関係性を明示する語句として「広告」「協賛」などのほか、「#Supported」「#Ambassador」といった文字も含まれているという。

 前者2つに限れば、まだ読者の理解が得られる可能性が高いが、後者2つなどは、そもそも「意味」が分からない人も多いだろう。

 

 批判を覚悟で言えば、「ステマなのだがステマとは知られたくないので、あえて英語表記で誤魔化している」という意図があるとしか思えない。

 

 ちなみに新聞広告の場合、私が購読している日経新聞では、該当ページが広告の場合紙面の最上段に【全面広告】と文字は小さいが明記されている。

 雑誌などでは、もう少し「広告」であることを示す言葉の種類は多いような感覚はあるが、記事全体を見れば、画像も多いし、文章から「タイアップ原稿だな」と想像は付くことが多い。

 

 一番の問題はやはりネット記事だろう。画面のサイズが小さいこともあって「ステマでない」ことを示す表示は小さい。

 例に出して恐縮だが、東洋経済オンラインのトップページにも、「広告」記事は複数掲載されている。

 具体的には、タイトルの末尾並びに本文ページの上段に「AD」の2文字が明記されているが、見出しや画像の大きさは一般の記事と同じ大きさで区別は付きにくい。

 ただ、ADの付いた広告記事はすべてトップページの「右端に寄せている」ことが東洋経済の「良心」からの配慮なのかもしれないが。

 

 現状では、「ステマを直接規制する法律は日本にはない」ため、業界団体のガイドラインが指針になっているが、欧米ではすでに法律で規制されているという。

 

 日本でも、日本弁護士連合会(日弁連)が「ステルスマーケティングの規制に関する意見書」を消費者庁に提出しているようだが、既存の大手メディアなどと異なり、各会社の社会的信用が玉石混交状態のネット業界関係者の間で、意見調整がすんなり進むとは思えない。

 

 個人的には、法整備が進むまでは「ステマ」でないことを示す言葉を「広告」に限定して、周知させるのが効果的だと考える。

 「協賛」や「英語表記」でも構わないのでは、との意見もあろうが、そうなれば「どういう基準」で「誰が」線引きをするのか簡単には結論が出ないはずだ。

 ならば「誤解」なく「明確」な表現に統一するのが最善だろう。

 

 話は変わるが、私自身もステマ広告には「うんざり」している一人である。

 特に、話題の商品や人気の新製品に関する雑誌の記事には、同じ商品を解説する記事でも、広告主の協賛で書かれた記事の方が、製造責任者のコメントがあって、本来の記事よりも内容が濃かったりするので、悩ましいと感じることも多い。

 

 個人的には対応策として、商品紹介の雑誌の類では、晋遊舎が出版する『MONOQLO』と『家電批評』としか参考にしていない。

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「MONOQLO」と「家電批評」

 どちらの雑誌も、実際に実物をテストして評点を付けて評価しており、その具体的な解説には納得させられる記述が多い。

  また、他の雑誌ではまずやらないような「ワーストバイ」といういわゆる「買ってはいけない」商品についても記事化していることも評価できる。

 

 以上からステマ広告への対応策をまとめると、雑誌の記事はステマの可能性があることを認識しつつ、役に立つ部分だけを参考にして、『MONOQLO』か『家電批評』を読んで知識を深めたうえで、購入の際にはカタログで仕様を確認する、という方法が確実だと思っており、商品購入にあたっては実践している。

 

 ここまでやって購入した商品がハズレだったら諦めもつくからだ