如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

メールは「顔」が見えないだけに「配慮」は不可欠

メールやLINEで「地雷」を踏まないためのワザ(東洋経済オンライン)

大野 萌子 : 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

 

 何気なく送ったメールに対して、相手が予想外の激しい反応が返ってきて困惑--といった経験をしたことはないだろうか。 

 

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 12月8日の東洋経済オンラインに「メールやLINEで『地雷』を踏まないためのワザ」が掲載された。

 

 著者は日本メンタルアップ支援機構の代表理事の大野萌子氏。この組織は、「すべてのコミュニティにおいて、健全な人間関係を創るエキスパート資格」として「メンタルアップマネージャ(1級、2級)」の講座を主催している。

 ただ、この資格自体は民間資格で、試験もなく講座を受講さえすれば、取得できるようだ。ちなみに受講料は32,400円。

 

 話が逸れたが、記事で指摘しているメール文の「地雷」のパターンは3つ。

  1. 先方から御礼のメールが来た場合の返信に「それはよかったです」
  2. 相手からの質問に答えるメールの結びに「おわかりいただけましたか」
  3. 何かを依頼するメールを送る際の一言に「できるだけ早くお願いします」

 の3点だ。

 

 どれも一見すると、特に問題がないようにも思え、普段から気にも留めずに利用しているフレーズである人も多いのではないか。

 

 個人的には、ビジネスで利用するメールは「内容」が「正確」に「早く」伝わることが最優先項目だと思っているので、この例にあるような返信が来ても、特に気にするようなことはない。あまりにも失礼な言葉使いには「ムッ」となることもあるが。

 

 ただ問題となるのは、相手が自分と同じように言葉遣いに寛容かどうかはわからないという点だ。メールの言葉遣いで面倒な対応を迫られるくらいなら、記事にあるような「ちょっとした気遣い」で避ける方が効率的だ。

 

 例のなかで、もっとも使ってしまいがちなのが、1の「それはよかったです」ではないだろうか。

 記事では、「相手のことを『ジャッジ』する意味合いを含む、上から目線の対応」であることを悪手の理由としている。

 

 これは納得のいく説明ではあるが、実際に合って会話をする際には「それはよかったです」を普通に使って、相手も特段気にしないことが多いことも多いのではないか。

 つまり、メールだと相手の「表情や仕草」などがわからないので「文面」だけで判断され、違和感を持つ人が出てくるのだと思う。

 要するに「話し言葉」と「書き言葉」を使い分ければいいという話だ。

 

 2の「おわかりいただけましたか」は私自身は、使ったことも受け取ったこともない言葉だ。現実にもそう多くは使われていないと思うのだが。

 これは個人的な感想を言えば、ビジネスメールであっても「アウト」だろう。なぜならこの言葉には「この「程度の内容は理解して当然なのだが」というある意味、自分が「格下」に見られていると受け止められる可能性が高いからだ。別の言い方をすれば「無礼」なのだ。

 

 実際に、ビジネスの現場でもこの表現を使うのは「かなり威圧的な感情」が含まれているケースが多いはずだ。もちろんその意図を意識して使っているなら構わないのだが。

 

 3の「できるだけ早くお願いします」はメールでありがちな表現。記事にもあるが、「相手が忙しい人だと期限を切ることを躊躇してしまい、『できるだけ』や『なるべく』といったやんわりとした表現を使用」してしまいがちだからだ。

 

 ただし、これはビジネスの現場では逆効果である。特に忙しい人ほど仕事の優先順位を決めたがるので、曖昧な表現では「後回し」にされかねない。丁寧な表現を使いながらも「期限を決める」のが正解である。

 

 以上の3点に共通するのは、「相手の立場に配慮すれば地雷を踏むことはない」ということだ。

 繰り返しになるが、「会話と文書の違い」「上下関係」「無用な遠慮」である。

 

 実際の現場でも、悪気があってこれらの言葉を使っている人はいないだろう。普段の会話の延長線でメールとして文書にするから地雷を踏むのだ。

 

 これらの対応策として自分が実践していることを紹介すると、メールを出す前に誤字脱字を再確認するのと同時に、「このメールを自分が受け取ったらどう感じるか」を想定してみることだ。

 ちょっとでも「違和感」があったら、それは相手にとっては「嫌悪感」になる可能性がある。

 

 「話し言葉」と「書き言葉」の使い分けには、自分も含めて十分注意したい。