如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

サラリーマンの不動産投資、いい加減現実に向き会うべき

またぞろ融資書類改ざん「投資用不動産」の受難(東洋経済オンライン)

一井 純 : 東洋経済 記者

 

 ワンルームマンションなど投資用の不動産をサラリーマンがローンで購入する人はいまだに多いようだ。将来の年金支給額などへの不安がその背景の一因なのだろうが。

 

          

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 こうしたなか、投資用不動産に関する融資書類の改ざんが再び露呈したことを伝える記事「またぞろ融資書類改ざん『投資用不動産』の受難」が12月13日付けの東洋経済オンラインに掲載掲載された。

 

 要約すると、東証1部上場のマンション開発業者「コーセーアールイー」の子会社が、顧客にマンションを販売する際、銀行へ提出する源泉徴収票等の収入を証明する書類や、中古物件の入居者から受領する賃料に関する書類を書き換えた疑いがある(同社発表の資料)。らしい。

 

 記事によれば、土地とセットのアパート融資は金融庁の監視が厳しくなったが、マンションの区分所有には監視の目が届かず、金融機関もアパートからマンションへと不動案収支の軸足を移していたらしい。

 

 融資に関係した金融機関は2行だが、どこかは不明。ただ不動産融資に関する書類改ざんでは、最近ではスルガ銀行西武信用金庫などが行政処分を受けており、この2行も書類改ざんにまったく無関係かどうかは不明だ。

 

 今回の記事や報道などを受けてまず思うのは、「どうして安易に不動産投資に大金をつぎ込むのか」という疑問だ。

 

 想像するに、先に述べたような老後の生活資金を補填などを想定している人のほか、純粋に賃貸料収入で副収入を得ようとする人も多いだろう。

 

 書店に行けば、「サラリーマンが大家さんになる」という趣旨の本も多く出版され、マンション投資の無料セミナーも頻繁に開催されている。富裕層ではない我が家にも投資勧誘の電話がかかってくるぐたいだから業界自体は活況なのかもしれない。

 ただ、不動産投資をすればバラ色の将来が待っているかのような期待を抱かせている感は否めない。

 

 問題の本質をずばり一言で言えば、「普通のサラリーマンがフルローンで新築ワンルームマンションを買って収益を上げ続けることは現状ではほぼ不可能」という現実に気付くべきだ、ということだ。

 

 別の言い方をすれば、マンション一室を投資向けに購入するというのは「時限爆弾を抱えるようなものだということ。

 具体的な危険要因を挙げれば、

1.新築時は入居者があっても築年数が経てば魅力は減るので空き家の可能性が高まる

2.空き家になると賃料を下げざるを得ないので収入は減る

3.賃料を下げると入居者の質が落ちるので賃料未収などトラブルの可能性が高まる

4.当然部屋の扱いも粗雑になるので設備などリフォームの費用がかさむ、

5.長期のローンを変動金利で組む場合、金利はさらに下がる可能性はほぼゼロだが上がる可能性は十分ある。しかも金利は投資用なので自宅居住用より高い

6.建築後30年近く経ったマンションにどれほどの資産価値があるのか不明

 

 などザッと考えただけでこれだけの不安要素がある。

 

 6.の資産価値については「都心3区などの優良物件を購入すれば問題ない」という意見もあるが、現在の不動産市況では普通のサラリーマンが買える価格水準ではないはずだ。

 ちなみに不動産経済研究所の10月度「首都圏マンション市場動向」によれば、東京都区部の平均分譲価格は7002万円。これには足立区や墨田区なども含まれるから、人気の都心3区の平均価格は8000万円以上だろう。

 

 誤解を招くようだと困るので確認しておくが、私は「不動産投資」を否定しているのではない。個別物件に多額の資金を集中する投資手法を問題視しているのだ。

 実際に、私は不動産投資信託(REIT)を通じて、間接的に不動産投資を数百万円規模で実践している。

 

 REITであれば、数万円から投資可能で、物件も自動的に分散投資となり、物件管理の手間もかからない。総じて流動性もあるので換金したいときにいつでも現金化できる。

 しかも実際に物件を選別・投資するのは一応不動産のプロなので、素人よりは物件を見る目はあるはずだ(と信じたい)。

 最も関心のある利回りも、3%以上の銘柄は多数ある。ただしREIT相場は今年に入って20%近く上昇しているので、ここからの新規投資には慎重というのが現在の私のスタンスだ。

 

 ということで、普通のサラリーマンが不動産投資をするなら、REITから始めることを勧める。

 東証は不動産証券化協会と組んで、毎年Jリートフェアを実施(今年は11月29,30の2日間だった)しているし、日本経済新聞は毎月Jリートセミナーを開催している。ちなみにどちらも参加費用はかからない。

  まずは、投資信託協会のWebサイトの「そもそもREITとは?」からはじめてはどうだろうか。