如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

実に面白い「婚活アプリ」の実践法――グラフの表記には課題も

年末年始に「婚活」市場が盛り上がる背景事情(東洋経済オンライン)

桜井 まり恵 : 恋愛・婚活アドバイザー

 

 結婚相手を探す「婚活スタイル」が、昔の「お見合い」から、職場などでの「自由恋愛」を経て、「婚活パーティー」「婚活アプリ」に移りつつあるという話は、耳にしたことがあるが、12月28日の東洋経済オンラインに「年末年始に『婚活』市場が盛り上がる背景事情」というタイトルの記事が掲載された。

   

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 記事では前半で、「12月から各婚活サービスの会員数は増加し、1月まで増加傾向は続きます」と年末年始に盛り上がる事情を解説、結婚相談所の会員数の推移と、マッチング率の推移のグラフを表示して、その傾向を「目に見える形」で表現している。

 ちなみにマッチング率というのは、婚活アプリで「いいね!」を送った相手に「ありがとう」を返信した状態のことで、「いわば婚活の最初の1歩」だそうだ。

 

 確かにグラフを見ると、会員数もマッチング率も大きく伸びているように見えるのだが、このグラフについては一言注文がある

 それは「縦軸」の目盛りの数値がないこと。例えば「会員数の推移」だが、グラフからは2.5倍以上に増加しているように見えるが、実数値は127%となっている。

              

 この違いは、縦軸の目盛りを記載しないために、縦軸の下限を「ゼロ」とするか「一定の固定値」にするかでグラフの印象が大きく変わってくるのことに起因する。これは次の「マッチング率」の推移」のグラフにも当てはまる。

              

 ビジネスの現場でも、データの変化を強調するために縦軸を「工夫」することはあるが、その前提条件に「目盛りを明記する」のは必須条件だ。記事にあるようなグラフの使い方では、読者に誤解を与えかねない。

 

 話を元に戻すと記事後半では、婚活が年末年始に盛り上がる要因として「時間の余裕」を挙げている。

 確かにまとまった休日を取れて、帰省して旧友にあったり、親戚一同が集うこととなれば、「結婚」がテーマになる可能性はある。親しかった友人が地元の知り合いと結婚して、本人の醸し出す雰囲気に「伴侶、子供を持つ家庭」を感じるとなれば、自分の結婚への意識も変わることは十分に考えられる。

 

 また、スマホでSNSが当たり前の世代にはデジタルな「婚活アプリ」がへの親和性が高いことも影響しているだろう。

 50代の私にとって意外だったのは、婚活アプリでは「複数人と同時のやり取りが可能な場合が多い」という実情。

 個人的には「同時並行」で結婚話を進めるのは違和感があるが、よく考えてみれば実際に会う前に「チャット」や「メール」でのやり取りをするのは、お互いの「人となり」の一部を知るには手軽だし、双方確認のうえで実際に合えば、会話もスムースに始まるのは当然かもしれない。時代は変わったものである(何とも年寄りくさい表現だが)。

 

 記事では具体例として、「実際に婚活サービスを使うときの“コツ”」を4つ紹介している。

 具体的には、相手を探す段階では、

  1. 「いいね!」をためらわない
  2. プロフィール作成で手を抜かない

 マッチング後では、

  1. 初回は昼間のカフェで1時間のデートを
  2. うまくいかない場合、切り替えの気持ちも大切に

 の4点だ。

 個人的な感想を言えば、マッチングまでは「積極的に」、マッチング後は「冷静に」といった感じだろうか。

 

 著者は最後に「婚活は、何よりも自分で行動を起こさないと始まりません」としている。

 婚活サービスが多様化し、婚活へのハードルが下がった状況で、結婚への意志が多少でもあるなら、「婚活アプル」は検討すべきひとつの手段ではあるだろう。もっとも、私自身が婚活アプリを利用したことがないので、説得力に欠けるのは十分に自覚しているが。

 

 しかも今年の年末年始は、30日の月曜日を休めばサラリーマンには9連休の人も多いはず。婚活アプリを利用するしないに関わらず、自分の結婚観を見直すいい機会ではあるはずだ。