コメント機能を休止の原因を深読みしてみた
恥ずかしながら今週になって気が付いたのだが、東洋経済オンラインが2月29日までで「コメントサービス」を休止すると2月12日に発表した。
この「コメントサービス」は同サイトに掲載された記事に対して、思うことをコメントすることができるというもの。注目されたり話題となった記事には数十件のコメントが付くことも多く、私自身少なくとも200回以上はコメントしてきたので、サービス休止は残念ではある。
このサービスは2016年に始まったのだが、当初は自由に誰でも投稿者名を「No Name」として匿名で発言できた仕様だったが、昨年機能制限が強化され、投稿者が登録した「名称」でしか投稿できなくなった。私自身は「如月五月ブログ」という名前を使っている。
まあ、それまではそれこそ「感情的なワンフレーズ」の投稿も珍しくなかったので、ある意味「正常化」のための効果的な規制だったと今でも認識している。
その後はだいぶ投稿内容も落ち着いてきたように思えていたのだが、昨年の規制から一年も経たずに「休止」というのには、かなり驚いた。どのような事情があったのか不明だが、気になるのは発表資料にある「読者の皆様に快適な利用環境を提供するため」という文言。この言葉から推測するに、「快適でない利用環境」が存在したことが読み取れる。
東洋経済に休止の理由について問い合わせても「発表資料の通りです」という回答しか得られないのは確実なので、ここは200回以上のコメントを投稿し、他者のコメントもほぼすべて読み、自分のブログのネタとして100回以上引用してきた者として、独自の視点でサービス休止に至った事情を推測してみたい。
まず考えられるのが、コメントの管理に想定以上の負荷がかかり、それに見合った効果が得られなかったということ。
登録制になったことで悪質や不要なコメントは減っただろうが、記事に無関係だったり事実誤認によるコメントや二重投稿などのチェックはAI化されたはずだが、最終的な判断は人間になっていたはず。
私自身、何件かのコメント(内容はごく真っ当なモノ)が投稿しても弾かれてしまうので理由を聞いたことがあるが、回答は「コメント本文の『縦に並んだ文字列』が排除対象のキーワードになっていたと説明を受けたことがある。この作業を含めておそらく現場のコメント管理の実務はかなりの負担だっただろう。
次に考えられるのが、広告主及びその関係者からのクレーム。私自身は記事の内容に応じて是々非々でコメントするのだが、これらのなかで私を含めたコメント投稿者の指摘(内容が妥当かどうかは別にして)が、広告主の怒りにつながり、東洋経済社内の編集部門と広告部門で揉めた可能性がある。
事実に基づいた辛辣なコメントは読者にとっては有益だと思うし、東洋経済オンラインの間接的な評価とページビューの増加に貢献するはずだが、広告主にしてみれば当然ながら「面白くない」はず。
これは個人的な感想だが、昨年来の傾向として堀江貴文氏やディビッド・アトキンソン氏など有名人の最新の著作紹介を兼ねたインタビュー記事が増えたように感じていた。
本人の生の声を読める点で個人的には面白かったのだが、コメント欄を見ると、賛否両論とはいえ著者の考え方自体を否定するようなコメントもあり、広告部門を経由した出版関係者からの「反響」には編集部も対応に苦労したとは思う。どちらも著名人だけに「存在自体が気に入らない」的なコメントも見受けられた。
一方、ライバル誌の動向を見ると、ダイヤモンドオンラインはコメント機能自体が存在しない。というよりもトップページにある面白そうな記事はすべて有料会員向けになっているので、編集方針として不特定多数によるコメント機能のメリットを感じていないのだろう。
プレジデントオンラインは一昔前の東洋経済オンラインと同じように「No Name」でも投稿は可能だが、コメント数を見る限り「活況」とは言えない。しかも利用規約には、その他の制限事項として「プレジデントオンラインはコメント投稿サービスの提供を予告なく中止することがあります」とあるので、こちらも状況次第でサービス休止の可能性はある。
東洋経済もビジネスである以上、コメントサービスのメリット・デメリットを総合的に判断した結果、休止という決定をしたはずだ。
コメントを積極的に投稿、参考にしてきた者にとっては残念ではあるが、私自身は投稿者名に「如月五月ブログ」を使ってきただけに、あくまでブログへの誘導手段のひとつとして利用してきたという側面もある。
個人のブログでの記事の引用については、引き続き事後報告さえすれば特に変更はないようなので、その意味では影響はそう大きくはない。現時点では他のWebサイトのコメント機能を利用する予定もない。
最後に手前味噌になるが、私のコメントで最も反響と評価が大きかったのは昨年10月の記事「武蔵小杉をあざ笑う人々に映る深刻な社会分断」で、評価するが1190、評価しないが280で、今でもコメントの最上段に掲載されている。誤字が多いので恥ずかしいのだが、内容自体は結構核心を突いたものではないかと自負している。