如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

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12月購入の4Kテレビ、早くも生産中止――「4Kテレビ難民」発生?

昨年10月の発売からわずか5カ月で

 

 昨年末に待望の4K液晶テレビを購入したことを12月30日のブログ「ようやく4Kテレビを購入――地デジの画質アップが想像以上」で書いたが、私の購入したパナソニックのGX855シリーズの一部の機種がすでに生産中止になっていた。

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 パナソニックのWebサイトで生産中止のマーク「」が確認できるのは、65型と55型の2機種で、49型と43型はまだ生産・販売が続いている模様だが、肝心の液晶パネルの調達先は同一の可能性が高いため、早晩この2機種も生産中止になる可能性が高い。もっとも、ヨドバシカメラでは43型はすでに販売終了扱いとなっている。

 

 ここ1年のパナソニックの4K液晶テレビの動きは非常に激しい。昨年1月に発売されたGX850シリーズは9月に生産中止となり、同月に後継機種(GX855)を発表、10月に発売を開始した。

 売れ行きがトップだったGX850がわずか8カ月の寿命というのも異例ではあったが、このモデルチェンジには、同グレードの他社製品が4K放送を受信するチューナーを2つ備えていたのに対して、パナソニックが1つしかなく競争力を維持するためという明確な「狙い」があった。

 

 ところが今回の生産中止は前回に相当するような「あえて生産中止」にする理由が見当たらないのである。昨年10月のモデルチェンジによって他社に機能的には遜色ないどころか、リモコンに音声操作機能を搭載したり、Amazonのアレクサ機能に対応するなど、優位な部分もある。

 ちなみに購入前はあまり期待していなかった音声操作機能だが、実際に使ってみると想像以上にレスポンスはいい。特にYouTubuで動画を検索する際には、一文字づつボタン操作で入力するよりははるかに効率的だ。もはや手入力は考えられない。

 

 しかも今回の生産中止は昨年のモデルチェンジからたったの5カ月足らずである。前回の8カ月(1月発売・9月生産中止)よりも3か月も短いうえに、後継機種の発表も現時点ではない。3月から4月にかけては新年度入りの新生活などで最も家電製品が売れる時期にもかかわらずである。

 

 ここから先は個人的な想像になるが、パナソニックを含めて国内テレビメーカーは液晶パネルを中国を中心とする海外からの輸入に依存しており、昨今のコロナウイルスの混乱で工場の生産が止まり、液晶パネルの供給が困難になったことが影響しているのではないか。

 

 65型と55型が先行して生産中止になったのは、このサイズのテレビ購入者は「液晶」よりも「有機EL」を選択する傾向があるため、元々の生産台数を抑えていた可能性もある。実際にパナソニックの55型で比較するとヨドバシカメラでは、液晶(GX855)が20万8020円(税込み)に対して、有機EL(GZ1000)は24万3580円と3万数千円しか価格差がない。これでは画質を比較すれば有機ELを選択するのが当然だろう。

 

 先のヨドバシカメラでは49型の販売終了も近い模様で、現時点で在庫はあるものの価格は14万6300円と今年に入って底値圏の価格となっている。購入を予定している人は急いだほうがいいだろう。画質や機能は不満がないレベルであることは間違いないと個人的には思う。特に地上波放送の画質アップには驚くはずだ。もっともリモコンの大きさや操作性は他社とだいぶ異なるので実機で確認した方がいいだろう。

 

 懸念しているのは、本当に中国の生産工場が機能停止し、今後も液晶パネルの供給が停滞するとなると、顧客が4Kテレビを購入しようとしても、店頭に「モノがない」という状態になりかねないことだ。

 国内メーカーがほぼすべて液晶パネルを海外から輸入している状況から考えて、パナソニック以外にも充てはまるのではないだろうか。特に有機ELパネルは全生産を韓国のLG社に依存しているだけに、問題が起きれば一気に表面化する。

 

 先行きに不透明感が強まっているが、予定通り東京五輪が開催されるとなれば、これから夏に向けて4Kテレビへのニーズが拡大するのは確実。このままだと欲しくても買えない「4Kテレビ難民」が大量に発生、社会問題化する可能性もある。

 

 もっとも生産中止の原因が他にあって、パナソニックが早晩新しいモデルを発表して、オリンピック需要に応えるような対応をすることも十分に考えられる。国内では依然高いブランド力を持つだけに、こちらの可能性の方が高いかもしれない。

 

 個人的には、手持ちのテレビが寿命を迎えていて買い替えが必要なら、今のうちに購入しておいてもいいのではないかと思う。最近のマスク騒動のように疫病や人命に関するような深刻な問題ではないだろうが、いざ買おうとしたら「モノがない」というのはストレスになるのは確実だろう。

  4月に入って「4Kテレビ難民」のような言葉が流行らないことを願っている。