如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

東京、「都市封鎖」は不可避の様相に――買い溜めは回避すべきも長期戦を覚悟

医師会理事の「緊急事態」発言は観測気球の可能性

 

 本日から新年度入りであるが、新型コロナウイルスの影響で入社式などが中止となるなど例年とは様変わりの状況となっている。 

 

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 感染に対する「治療法」「治療薬」が現時点では見当たらないことから、国民がウイルスに対して疑心暗鬼となったことで、買い占めが当初のマスク、消毒用アルコールに加えて、トイレットペーパーやティッシュなどの日用品に波及、スーパーの店頭では米、レトルト食品なども品不足になっている。

 

 こうした社会的不安の高まりの影響からか、ネット上で「政府が4月1日に緊急事態宣言を発表、2日から首都封鎖を行う」との真偽不明のニュースが流れていることに対して、菅官房長官は30日午後の会見で「そうした事実はない。明確に否定しておく」としているし、同日には小池東京都知事も午後の記者会見で「(そういった事実は)関知していない」と否定した。

 

 ちなみに我が家にも親しい友人から先のフェイクニュースに関するメールが30日に届いていた。内容を紹介するのもバカらしいのだが、文面に「官邸から情報提供を受けた在京のテレビ局のプロデューサーによると」とあり、いかにも信憑性を高めたいという「意図」が見え見えだったのが笑えた。

 もっとも、社会不安が高まるとこのような根拠のないデマが発生することはどうしても避けられないので、メール等を受け取るのは避けられないにしても、他者に転送するような間抜けな行動は慎んで頂きたい。

 

 こうしたなか、31日の東京都の新規患者数は78人と過去最大となった。累計感染者数でも都道府県別でトップ、2位の大阪の2倍だ。

 

 

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            31日付け日本経済新聞電子版より引用

 

 国内全体の感染者数も31日時点で2160人と3000人の大台に達するのは確実で、4000人、5000人規模も視野に入れるべきだろう。感染者がいない県は「岩手」「山形」「島根」「鳥取」の4県だけだ。

 

 また、30日には、日本医師会の緊急記者会見で、医師会の常任理事で、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーでもある釜萢敏氏が「(専門家会議の)メンバーの中では、もう緊急事態を宣言したほうが良いのではないか、という意見でほとんど一致している」と発言したと、同日の東洋経済オンラインで伝えている。

 

 私は医療の専門家でもないし、ウイルス感染に詳しい訳でもないが、ここまでの状況を見ると、政府の緊急事態宣言は「時間の問題」のような気がする。

 

 感染者数がこれまでとは段違いのスピードで増える中、政府も本心では「いつ正式発表するか」のタイミングをうかがっているのではないだろうか。

 もちろん事前に発表の時期を漏らすのは混乱を招くため絶対に避けたいので、現時点では官房長官や都知事もあのように全面否定するしかないという立場は理解できる。

 

 思い返せば、東京オリンピックの延期問題の際も政府や関係者は最後まで「予定通りの開催」にこだわっていた。が、欧米で感染が急拡大し、海外の選手団などが相次いで参加を見送り、世論も「延期も止むなし」という機運が高まった時点で政府は正式に延期を発表した。

 この過程で、一部の現役のオリンピック委員会の理事が「1年か2年の延期」に触れたことが話題を呼び、JOCの森委員長などが火消しに躍起になったが、この理事の発言が世論の流れに一石を投じたのは確かだろう。 

 こう考えると、さきの医師会の常任理事の発言も世論やマスコミの反応を見るためのアドバルーン的な要素が強く、「都市封鎖も仕方がない」と受け止めるような雰囲気が整うのを、政府が待っている状態だと思われる。

 

 ここからは個人的な何ら根拠もない推論だが、緊急事態宣言発表の条件として、 

 (1)全国の感染者数が3000人を突破し

 (2)東京都の1日の新規感染者数が100人を超え

 (3)感染が47都道府県すべてに波及する

 の3点を達成した時点がひとつのタイミングになると思う。

 

 仮に発令された場合、国民・市民は再び食料品や日用品の買い溜めのような愚かな行為に走らないことを祈りたい。

 一部では自宅に籠ることで「コロナうつ」といった症状も出ているようだが、今回の感染症は、アフリカや南米などへのさらなる波及や、治療薬の開発次第で予想外の長期戦なる可能性もある。

 幸い早期のうつ症状なら、運動や睡眠のほか効き目の弱い投薬で収まることも多いそうだから、早めの対応を心がけたい。