ポイント還元には予算の上限がある
政府が9月からスタートするマイナポイントだが、還元率25%のポイントを受け取るにはマイナンバーカードによる事前登録が必要で、しかもポイントを取得できる人数には上限があることをご存じだろうか。
もともとこのマイナポイント制度は、今年6月までのキャッシュレス還元と東京五輪による景気下支えをサポートする意味で設けられたもので、キャッシュレスで支払いをすると、支払額の25%がポイントとして受け取れるというもの。ただし、ポイントの上限額は1人あたり5000ポイントだから、最大で2万円分の買い物が対象になる。
特別定額給付金(1人10万円)のオンライン申請で突然脚光を浴びたマイナンバーカードだが、慌てて申請したり、パスワードの再設定などで自治体の窓口が「3密」状態になるという事態も招いたものの、特別定額給付金は郵送でも申請可能で、すでにかなりの世帯に給付金は行き渡ったようだ。
今回のテーマは「マイナポイント」である。こちらは景気の下支え効果も意図しているが、マイナンバーカードの普及を目指していることは間違いない。なぜなら仕組みとして、マイナンバーカードを使って、「マイキーID」というIDを取得しないとマイナポイントは受け取れないのである。
しかもこのマイナポイントの付与にあたって政府が20年度予算でポイント原資として計上した金額は2000億円。4000万人の利用を想定しているが、25%という高い「還元率」に惹かれて申請する人は意外と多いのではないだろうか。
注意点はこのマイナポイントを受け取りにあたって2点ある。一つ目は「マイキーID」の取得によってポイント獲得の権利を得られるが、これにはマイナンバーカードを読み取る機材、具体的には適合したスマホか、ICカードリーダを接続したPCが必要ということ。
もうひとつは「マイキーID」の取得は先着順で、総務省のマイナポイント事務局のWebサイトには小さな文字で「マイナポイントの予約者数が予算の上限に達した場合には、マイナポイントの予約を締め切る可能性があります」とされている点だ。
一覧リストによれば、スマホの場合iPhoneだと7以降、アンドロイドだと適合機種はかなり限定される。私の場合、スマホは保有していないのでPCに接続したICカードリーダを購入して対応せざる得なかった。4月以降は特別給付金の申請用に機材が品薄状態にあったが、現在はほぼ解消している。有名メーカー品でなければAmazonで1000円台から購入可能だ。
さて、ICカードリーダーを無事購入して一安心となる訳ではない。Windows10であれば接続すれば自動認識する機種が多いようなのだが、私の場合はPCを再起動させないと認識されなかった。
さらに、パソコンに専用の「マイキーID作成・登録準備ソフト」をインストールする必要がある。この際のパソコンの動作環境に「Internet Explorer11」が指定されていることもパソコン初心者の混乱を招きかねない。現在のブラウザの主流はGoogleChromeかEdgeだからだ。
また、カードをセットする際にICカードリーダーに「裏向き」に入れるというのも意外な盲点だろう。
あとは、発行されたマイキーIDを印刷するか、メモしておけばよい。
ここまで来れば、マイキーIDが発行されたので25%のポイント還元の権利は確保できたはずだ。あとは7月以降に、各マイキーIDと利用するキャッシュレス決済を「紐づけ」すれば、9月からの利用でポイント取得が可能になる。
キャッシュレス決済の都度ポイントを貯めていくのも手だが、ポイント還元の予算の上限が決められていることを考えると、上限の2万円(還元は5000円)を電子マネーとして一度にチャージしてしまったほうが気軽で安心な気はする。
いずれにせよポイント取得の権利を確保する「マイキーID」の取得までは、早めに対応した方がいいだろう。