如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

感染症と熱中症、マスクの着用に求められる自己判断

厚労省はパンフで「熱中症を防ぐためにマスクをはずしましょう」

 

 昨日17日、ほぼ1か月ぶりに会社に出社した。コロナ禍による感染症対策とお盆休みが重なったためで、電車に乗ることが久しぶりの経験となった。

 

 私の場合、超時間差通勤で以前から6時頃には出社しているので満員電車とは無縁なのだが、帰りの電車はいつも通りの混み具合だった。もっともオフィスは普段の半分以下の人数しかいなかったが。

 

 ただ、7月までの街角の風景で変わったと思ったのが「マスクをしない人が散見されるようになった」こと。それまでは公共の場でマスクをしない人は恐ろしいほどの非難の目を浴びていたし、自粛ポリスと言う名の糾弾者までいたようだが、歩道を歩いていてもマスクをしていない人は確実に増えていると思う。

 

 この背景には2つの要因があるのではないかと個人的には考えている。

 一つ目は、依然として多数の新規感染者が報告されているが、国民がこの感染者数の連日の報道に慣れてしまったことで「マスク疲れ」を起こしている可能性。もうひとつは「熱中症対策」で、3密の状態でなければ「自己判断でマスクを外す」ような機運が高まってきたことだ。

 

 実際に、厚生労働省はWebサイトでマスク着用により、熱中症のリスクが高まりますとして、「熱中症を防ぐためにマスクをはずしましょう」というパンフレットを掲載している。

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 このパンフレットは6月に作成されたものだが、私の個人的な感覚では国民に普及し始めたのは、7月後半に入ってからではないだろうか。暑さが本格化してきたことでマスクの息苦しさに耐え切れない人が増えたためだろう。

 

 最近のマスメディアでは、猛暑日が増えたとか、各地で過去最高気温となった報道が目立つが、意外にも熱中症で救急搬送される人員は昨年の同じ時期に比べて半分程度に収まっている(下図参照)。もっとも昨年の猛暑が異常だったのかもしれないが。

 

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 とは言え、今週以降も猛暑日は多そうなので油断は禁物だが。

 

 個人的には、誰もが問答無用でマスクを着用させられる時期はとりあえず過ぎたように思う。私の場合は、外出時にはマスクを目立つように胸ポケットに入れているか、あごに掛けていつでも着用できるように周囲にアピールしているので、最近は非難の目で見られることは減った(気がする)。

 

 また、ジョギングや自転車で移動中にマスクを着用している人を見かけるが、こうした行為は呼吸を困難にし、かつ熱中症のリスクを高めるようなもので「百害あって一利なし」だ。運動は健康のためであって、体調を崩すのでは本末転倒である。

 

 今回のコロナ禍では何よりも、個々の判断でマスクの着用を決められるようになったという「意識の変化」の意義が大きいと思う。一時期は50枚で5000円以上した不織布マスクも今では1000円以下も珍しくない。しかも国内メーカーが本格生産に乗り出しており、外国製を中心とする乱造品・粗悪品は市場から駆逐されるだろう。繰り返し使えるマスクが普及し、デザイン面でもファッションの一部になってきたこともマスクへの抵抗感を弱める観点からも良いことだ。

 

 今後注意すべきは新規感染者数がさらに増加し、重傷者、死者が増えてきた場合、以前のように全員が感染回避のためにマスクを着用する機運が高まるかどうかだろう。

 マスクを「したい・したくない」ではなく「すべきか、必要ないか」という本来の判断基準に個々が戻せるかどうか、日本人の社会通念上の良識が問われるのはこれからとなりそうだ。