如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

邦画「老後の資金がありません!」が予想以上に面白かった

主役の天海さんよりよりも草笛さんの演技力がスゴイ

 

 私は映画館ではほとんど映画を見ないのだが、先日気になる邦画「老後の資金がありません!」が上映されたので、久々に大きなスクリーンで楽しんだ。

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 原作は小説らしいのだが読んではいない。私自身定年が目前に迫っているという事もあって、直接関係するテーマだったということが映画館に行った大きな理由だ。ちょっと話題となっているとも聞いていたので、念のため事前にネットで予約してから行ったのだったが、平日とはいえ観客は20人弱と予想以上に少なかった。ただ念のために断っておくと、映画自体は「笑い」あり「涙」ありで、観てよかったと感じさせる内容である。

 

 一応簡単に内容を紹介すると、子供二人の50代夫婦台夫婦が経験する、おカネを巡って起きる様々な想定外の出来事をコメディタッチで描いたもので、主演は主婦役の天海祐希さんと、その旦那の松重豊さん。なのだが、全編に渡って登場して、凄い存在感を放っているのが天海さんの義理の母親役の草笛光子さんだ。

 

 内容は映画のタイトルから想像できるように、老後のおカネに関係したトラブルやアクシデントを、どうやって夫婦やその関係者が乗り越えていくのか、ということで間違いはないのだが、この映画のテーマはその「問題解決の方法」ではなく、問題に直面した「人間の行動」である。

 

 まあ、解決方法を取り上げるのであれば、巷に数あるノウハウ本を読めばいいだけの話で、映画としてはこのような展開にならなければ「ちっとも面白くない」内容になるだけに、それは納得できた。しかも展開されるテーマが、代々続く和菓子屋を営んでいた義父親の立派な葬式、娘の突然のヘヴィメタル男との結婚、二重のオレオレ詐欺など現実に何となく想像できる設定であるうえ、ついには主役の夫婦そろって失業という笑えない状態にまで追い込められるのだが、これらが結構リアリティがあるのだ。

 

 そして、この映画の本当の主役は義理の母親役の草笛光子さんだ。草笛さんは80歳という設定なのだが、実年齢は88歳である。先述したように映画の冒頭から出演し、セリフもとても多いし、ちょっとしたアクションもあるし、お得意の歌唱力まで披露している。とてもではないが88歳とは思えない。主役の天海さんも良い演技力を見せてくれるのだが、草笛さんの存在感には足元にも及ばない感じ。主演男優の松重さんに至っては、さらに影が薄い。

 草笛さんと言えば、私には高校時代に日本テレビ系列で放映されたドラマ「熱中時代」の校長先生(船越英二さん)の奥様役の印象が大きいのだが、あれから40年近くが経っているのに、当時とまったく女優としてのイメージが変わっていないのもスゴイと思う。いったい何をどうしたらこんな役者が務まるのだろうか。

 

 話を戻すと、映画自体は良くできているし、配役もばっちりだと思う。基本的に「笑える」展開が多いのだが、自身の生前葬のシーンで草笛さんが挨拶する場面では「グッ」とくるものがあった。そう遠くない時期にDVD化されると思うので、映画館まで行く時間がない方は是非自宅で視聴されることをオススメする。