つまらなさ気絶レベル!「酔った上司」の自慢話(東洋経済オンライン)
サラリーマンの悲哀を、イラストを使って分かりやすく説明する画家・漫画家「じゅえき太郎」氏の第二弾の記事「つまらなさ気絶レベル!『酔った上司』の自慢話」が9月27日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
前回「悲哀!連休気分をぶち壊す『上司からの電話』」では、休日の過ごし方や上司からの仕事の電話に悩まされるエピソードだったが、今回のテーマは「飲み会」。このキーワードだけで大体内容は想像できるのだが、4ページ目を除く全ページに掲載された4コマ漫画が実にリアリティがあって面白い。
過去のすべての東洋経済オンラインの記事を読んだ訳ではないが、ビジネス経済誌のWeb版でここまでイラスト(漫画)を大きく扱った記事はないのではなかろうか。
他のビジネス誌系Webと比較してやや軟派な記事が多い東洋経済オンラインにおいても、異色の記事だと思うが、個人的にはこういう風潮の記事もアクセントになって面白いと思う。
さて、今回のテーマ「飲み会」で、取り上げているのは3つ。
一つ目は「無礼講」。記事では、「この世に『無礼講』という言葉は存在しません」との言葉で始まっているが、これはサラリーマンの世界では30年以上前から存在している慣例だが、いまだに存在するのはともかく、まだ勘違いしている社員がいることには驚いた。
そもそもこの無礼講。表面上は「宴会の席では多少の無礼は許される」という意味だが、これを言葉通りに受け止める思考回路が理解できない。無礼講というのは宴会が始まる前に上司が発言する言葉だが、その真意は「酒の席で日ごろ聞けない社員の本音を引き出す」ことであり、また「酒に飲まれる人間かどうかを見極める」機会として捉えることにある。
そもそも「パワハラ」だ「セクハラ」だと騒がれるこのご時世に、言葉通りの「無礼講」が通用するという認識が甘すぎる。
一方、この段落で感じたのは「作者の会社への対応の変化」。前回は、休日に上司からかかって電話に対して、「着信を無視しても『なんの電話だったんだろう』『なんかやっちゃったかな』という不安が休日の邪魔をします」という弱気な姿勢だったが、今回は「そもそも飲み会には行きたくない、という人は正直に断りましょう。無理して飲み会に参加する必要はありません」と毅然とした態度を推奨している。
本人の仕事に対する考え方が変化したのか不明だが、仕事とプライベートを切り分ける姿勢は重要だ。
2つ目は「上司の自慢話」。これも私自身経験があるが、最初は参考になると思って聞いているのだが、まず間違いなく飲み会のたびに同じ話を聞かされることになる。要するに他に聞いてくれる人がいないから部下に自慢する訳だが、こういう上司に限って日頃仕事で目立った実績を上げられないので、過去の栄光(自己評価だが)にすがっていることが多い。
まあ、自慢話をする上司も同じようにさらに上の上司から自慢話を聞かされてきたであろうから、同情の余地がないわけではないが、付き合わされる側の立場も考えてほしいものである。
3つ目が「定時退社直前に仕事の要請」。これも要領の悪い上司にありがちな事象である。そもそも仕事を請け負った段階で、どの程度の作業量で、部下の手伝いが必要かどうかを把握すべきなのだが、段取りの悪さもあって結局時間切れで「部下に頼む」という迷惑な事態を引き起こしている。しかも救いようがないのは、本人にはその自覚がないことだ。
以上、3つの「上司との飲み会あるある話」だったが、回避する方法として有効なのは「事前対策」である。
基本的にこの手の上司は「自分の都合」でしか行動しない。「部下への配慮」という思考は持ち合わせていないものと心得るべきである。
したがって、1つ目と2つ目のケースでは、「今日は学生時代の友人と会うので」とか「家族や親戚と大事な話があるので」などと言っておけば、まず強引には誘ってこない。特に家族関係を持ち出せば、飲み会に誘うことで問題がこじれたときに恨みを買う可能性を恐れて、引っ込むことが多い。ただしあまり多用するとバレるのでケースバイケースで。
3については、就業時間内できれば早い時間帯に「今日は以前から約束していた大事な用事がありますので定時で帰ります」と宣言しておくのが有効だ。小細工としては、夕方近くになったら「仕事を早く切り上げたいオーラ」を振りまいておくとさらに効果的だ。
以上、以前に比べれば無理に飲み会に誘く上司は減ったと思うが、記事からはまだ生息していることが分かる。繰り返すようだが、有効なのは先手を打つ「事前対策」である。