如月五月の「今注目すべき本・情報を早読みしたい!」

書籍や商品など今注目したいコンテンツを簡潔に解説

ちょっとした気遣いで人間関係はもっと良好になる

一緒にいて楽しい人 疲れる人: 仕事もプライベートも、好かれる人はここが違う!

本郷 陽二

 人間関係を良くすることについて書かれた本は多いし、それなりに読まれているようだが、本書も2014年に出版された同名の本の文庫化であり、売れるとの「読み」が出版社にあるのだろう。

 本書の要点を個人的にまとめると、「無理のない範囲で相手に配慮した行動を心がけよう」ということになる。

 

 ここでポイントのひとつは「無理のない」ということ。
 例えば、会話に端々に「私なら・・」を割り込ませる人には合わせる方もうんざりするので「無視する」(p29)。噂話など関わりたくない話をされたら「興味がないという態度を示す」(p98)など。また、メールの着信音を聞いて相手に「出なくていいの?」と気を遣いすぎるのも居心地を悪くする(p149)としている。

 要するに「自然体で」ということなのだが、ありきたりの「言葉」だけでなく、本書のように具体的な「行動」でアドバイスなのは参考になると思う。
 
 もうひとつのポイントは「相手に配慮」という点。
 これは良く言われる内容ではあるのだが、「~でいい」ではなく「~がいい」という(p14)、相手の発言に対して「でも・・・」で返さない(p16)などだ。
 こういう言葉は「何気に使ってしまいがち」なだけに、自分も今一度注意したいと思う。

 一方で、「時には、相手の顔色をうかがわない」(p144)という手法も紹介している。これは、顔色をうかがう人ほど「嫌われたらどうしよう」という不安があるためだが、著者は「自分が思っているほど、相手は他人のことをみていない」と解説、「相手の顔色をうかがうのは、結果として自分が得をする時だけでいい」と割り切ることを勧めている。

 

 まあ「顔色をうかがう」のと「配慮する」のは似て非なるものであろうが、この判断基準は結構迷うことが多いと思う。どちらも「相手の感情に寄り添おう」という視点では同じだからだ。
 会社で言えば上司に対しては「顔色」を見てしまうことが多いような気もするが、これも上司の性格や仕事の進め方にもよるだろうし、現実にはケースバイケースで対応するしかないといったところだろうか。

 

 気になった点もひとつ。
 著者は「対面で言うべきことをメールでしか伝えられない人は、コミュニケーション能力不足、つまり相手の気持ちを考えない自己中心タイプが多い」(p67)としている。

 これは大枠では正しいと思うが、問題になるのは「相手が自分の言ったことや聞いたことに責任を負わないタイプ」の場合だ。
 つまり都合が悪くなると「そんなこと言った(聞いた)記憶がない」などととぼける人が意外に多いのである。こういう無責任な人間を相手に仕事を進めるには、会話や伝えた事を文書にしてメールし、記録に残すしか対応手段はない。ついでに言えば「cc」で関係者にも送っておけば間違いない。

 厳密には「メールでしか」という著書の記述とは異なるが、メールならではの使い道があるということは認識しておいた方がいいと思う。

 

 以上、まとめると取り立てて目新しい人間関係改善手法が紹介されているわけではないが、具体例を踏まえたわかりやすい内容ではあると思う。

 

 もともと端から見て人間関係に問題を抱えておても本人が自覚していなければこういった本を読まないだろうし、人間関係に悩みがなければなおさらだろう。
 その意味では、対人関係で特に大きな問題はないけれど、もう少しうまくやれたらいいんでけど、というふうに感じている人には参考になる部分も多いと思う。

高血圧の主因は「塩分、肥満、ストレス」だが、要は「塩分」

ズボラでもラクラク! 薬に頼らず血圧がみるみる下がる!: 血管を鍛える最強の方法

板倉 弘重

 

 本書のタイトル「薬に頼らず・・・」は確かに内容と一致してるが、その大半となるページ数の40%強は食事、特に塩分の摂取量の削減に関する内容である。


 また「ズボラ」で食事のコントロール可能かどうかは個人差があるだろうが、やはり血圧を下げたいという意志を持ち続けるぐらいの覚悟は必要だろう。

 

 高血圧が「塩分の影響によるもの」という話はよく聞くが、では「何故そうなのか」という疑問を特に抱いていなかった。
 本書では、塩分の摂取で血中濃度が高くなり、これを下げるために血液の水分量が増加し、血液量が増えることで血圧が高まるという「仕組み」が理解できたのは勉強になった。

 

 具体的な塩分の過剰摂取回避と排出に役立つ食品については本書を読んでいただくとして、私が最近始めた塩分摂取回避法を紹介したい。
 それは「調味料を使わない」である。

 具体的には、今まで何ら気も遣わずに無意識に使っていた「醤油」「ソース」の類を止めることだ。

 これは調味料を止めてみて初めて気が付いたのだが、刺身でもとんかつでも調味料がないことで、逆に素材の味が引き立ってくるのである。

 これは私の味覚の問題なのだろうが、刺身に醤油をつけていた時には「刺身本来」の味というよりは「塩味のする魚」の味という感覚だったのだが、これが大きく変わった。最初は物足りなさがあるのだが、すぐに慣れてしまう。

 調味料を使わないことで、塩分の摂取は確実に減るので、一石二鳥でなないだろうか。もっとも血圧低下の効果を確認するにはしばらく時間がかかりそうだが。

 

 あと、本書で参考になったのは「脈圧」というキーワード。

 これは「上の血圧」から「下の血圧」を引いた数値なのだが、この「脈圧が大きいほど脳や心臓の発作を起こしやすい」(p180)そうだ。具体的には脈圧が60を超えると死亡率が高まるという。

 

 高血圧対策の本は多いが、本書は食事中心の内容とはいえ、具体例や説明が豊富で、文章もわかりやすいと思う。

 健康診断で高血圧と言われたが薬は飲みたくない、という人にはお勧めしたい。

「意見」は聞くが「結論」は譲らない政治家の本音

実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた

橋下徹

 

 本書のキモは2つ。組織のトップに立つ者の物事の進め方の要点とその実績、そしてもはや著者のライフワークとの言うべき大阪都構想の狙いだ。

 

 一つ目のトップの在り方だが、橋下氏のやり方のポイントは2つ。一つ目は自身の政策に反対する者の意見を徹底的に聞く、そのうえで最後は自分が決断し従ってもらい、責任は自分が取るという姿勢だ。

 もうひとつは、政策を実現するには構想となるイメージの「ビジョン」と、組織が担う現実の「実行プラン」の両方が不可欠、ということだ。

 

 大阪都構想について言えば、その考え方の基本に始まり、前回の住民投票までどのように戦略を実行してきたかが時系列で分かるように解説されていて、改めて理解が深まった。

 個人的には、二重行政は無駄も多いし、国家としても都市機能が過度に東京に一極集中するのは、地震などの災害リスクなどを踏まえると望ましいとは思えないので、大阪にもさらなる経済的な発展をして欲しいと思う。

 

 また、今春の大阪の市長、市議選、知事選などで維新の会が躍進し、これまで反対していた公明党が態度を変化させ、都構想の実現に向けた住民投票の機運が高まったこの時期に本書が出版されたことの意味も大きいだろう。

 橋下氏によれば、本人が知事、市長だった頃に比べて、内向きだった役人の意識改革が急激に進んでおり、彼ら地方公務員の前向きな仕事ぶりが住民に評価されれば、本書のその流れに一役買って住民投票も可決するような気はする。あくまで外野の見方だが。

 

 政策実現の手法については、「理想」と「現実」の調和というか整合性を取るという意味でも効果が大きいと思う。
 トップのイメージだけで実現性を考慮しない政策にはあまり意味がないだろうし、役人が考える政策では既存の枠組みから外れるような画期的なアイディアは生まれないからだ。

 この点から橋下氏は、コンサルタントの大前研一氏を「物事を実行するプロセスをわかっていない」と酷評している。

 この指摘は理解できるが、全国各地の役所がそもそもコンサルタントに意見を求める時点で、内部からは出てこない発想による提言を期待しているはずで、その意味では提言に実現性への配慮が足りないのは当たり前の話。
 役所はこの前提のもとにコンサルから出てきたアイディアを取捨選択して、政策の「材料のひとつ」にする程度の位置づけで良いのではないだろうか。

 

 発言が何かと注目を集め、意見の相違がケンカのように受け止められることも多い著者だが、本人曰く「自分から喧嘩を仕掛けたことは一度もない」(p21)そうだ。
 本人が誤解を受けているとすれば、おそらく正しいと思うことを包み隠さず話し、情報は基本的にすべてオープン、信頼関係の根底には「仕事をやりとげた」という共感、という振る舞いが、既存の政治家とは大きくスタンスが異なることに違和感を感じる人が多いためだろう。

 

 政治家は、有権者への人気取りだけでなく、政策の実現という観点で評価されるべきという著者の考え方とその実行力は、「正論だけど現実には・・・」という反応をしがちな少なくない政治家には耳の痛い内容だろう。

丸山穂高議員の行くべきところは「国会」ではなく「断酒会」だ!

 最近、選挙に連戦連勝で勢いが戻ってきた維新の会に思わぬ逆風が吹いている。

 言うまでもなく丸山穂高国会議員の「北方領土を取り返すには戦争うんぬん」という発言だ。

 発言内容はお粗末そのもので、批判する気も萎えるのだが、維新の会の松井代表は北海道まで謝罪に向かうようで、「除名」も妥当な処分だとは思う。

 ただ、議員辞職勧告に関する動きを受けて丸山議員が「知っている議員のスキャンダルを暴露する」といわば「逆ギレ」もいう反撃に出たのに対して、自民党の一部がこの脅迫に怯えて議員辞職勧告決議に及び腰になっているという報道を聞いて、なんとも情けなくなった。

 酔った勢いで暴言を吐くのがまず馬鹿らしい行動だし、追及されて逆ギレするのはもはや駄々をこねる子供レベル、その子供の駄々に押されて腰が引けている自民党という構図を見ると、これが国民を代表する国会議員なのかと考え込んでしまう。

 丸山議員についていえば、以前にも酒で問題を起こしているようで当時は「断酒宣言」までしたそうだが、結局その約束は守れなかった訳だ。これらの経緯を見る限り丸山議員はアルコール依存症の可能性がある。

 私の周囲にもアルコール依存症もしくは過去に依存症だった人はいるが、彼らに共通しているのは「依存症を自ら積極的に認めることはまずない」ということだ。

 24時間365日アルコールから離れられなくなるなど、自分を自分でコントロールできない状態になってはじめて、治療を受けざるを得ないことを認識するそうだ。

 治療には「アルコール依存症専門の医療機関」「アルコールを飲むと気分が悪くなる抗酒剤」「依存症患者の集まり断酒会」の3つが欠かせないと言われている。

 依存症が疑われる丸山議員がこれから向かうべきは、「国会」ではなく「断酒会」ではなかろうか。

 アルコールと切れない限り、また同じような問題を起こすことは火を見るよりも明らか。彼を支えてきた後援者たちは今後立ち直ってまともな大人として議員活動を望むなら、本気で本人を説得すべきだろう。

こだわりのおやじ、「メシ」の持論を語る

定年からの 男メシの作法

東海林さだお

 

 タイトルは「定年からの男メシ」だが、内容は「中年以降の一人メシ」といった方が近い。その意味では昨年10月に出版された「ひとりメシの極意 (朝日新書)」とほぼ同じ方向性の本である。

 

 巻末に引用した「初出単行本一覧」の記載があり、そのほとんどが朝日新聞社からの出版本なので当然ではあるのだが、さすがに被っている項目はないと思う(多分)。

 

 先に出た「ひとりメシ」との違いを出すためにタイトルを「定年からの」としたようだが、内容は「中高年の男性に少しでもメシの時間を楽しんでもらおう」という点で同じで、なぜ二冊目が朝日新書ではなくSB新書なのかはよく分からない。

 

 個人的に本書で面白かったのは「再びがんばれ! デパートの大食堂」(p33)。
 私が小学生の頃にはデパートの最上階には必ずあって、家族で買い物の際には「お子様ランチ」が無類の楽しみだったが、現在大食堂はほぼ絶命したらしい。


 当時の食券制度やメイド姿のウエイトレスさんの話などには「言われてみればそうだったよなあ」という懐かしさを感じた。ちなみに私個人には、若いウエイトレスさんがテーブルで食券を片手でパチンと切り取る姿がすごくカッコよかった、という記憶が鮮明に残っている。

 

 最近たまたま日本橋三越に行く機会があったので、食堂(大食堂ではなく特別食堂というらしい)の近くまで行ったことがあるのだが、入り口で2人のおばさんが待ち構えていて、一度中に入ったら注文せずには出てこれない雰囲気を醸し出していたうえ、料理も結構な値段がしたので素通りしてしまった。


 あとでメニューを調べたら「お子様ランチ」は2160円だった。気になる人は検索してもらうといいが、写真を見る限りお値段分の価値はなさそうにも見える。まあ価格のかなりの部分を食材以外が占めているためだろうが。

 

 繰り返しになるが、「ひとりメシの極意」が気に入った読者なら、本書も楽しめると思う。

ネット通販はヨドバシとAmazonで事足りる。税別価格表示の他社は論外

 いまだに税別表示を続ける家電量販店の愚策

 

 私はネット通販をけっこう頻繁に利用するのだが、定番のAmazon(プライム会員)に加え、ヨドバシカメラの運営するヨドバシ.comを使うことが多い。というかこの2社で大抵のことは事足りる。

 5月3日付けで雑誌プレジデントのネット版PRESIDENT Onlineに、「ペン1本でも無料で運ぶヨドバシの不思議」という面白い記事が出ていたので紹介したい。

 

 内容を要約すると、ネット通販を早い時期に始めたヨドバシカメラは、蓄積したノウハウ、自社配送網の整備などで競合他社よりも優位に立っている、ということだ。

 

 Amazonが書籍の通販から始めたのに対して、ヨドバシは家電から始まったという違いはあるが、現在はどちらも日用品や医薬品の販売も始めている。オリジナルブランドの存在もあって品ぞろえではまだAmazonが優位だが、PRESIDENT Onlineの記事にあるように、配送料が購入金額にかかわらず無料という点ではヨドバシに軍配が上がる。

 

 ただ、本文中に「ヨドバシを昔から利用している優良顧客は、(中略)競合他社と価格を比較しながら買うこともほとんどしないのではないだろうか」とあるが、これには異論がある。

 家電製品を例にとると、ネット通販歴15年以上の私の行動パターンは、とりあえず対象商品の最安値を「価格.com」で確認し、大差がなければAmazonかヨドバシで購入、というものだ。

 

 ちなみに家電に限らないのかもしれないが、この2社の価格は常に相手を意識して変動しているように見える。ヨドバシとAmazonのポイントを加味するとほぼ同じ価格というものが少なくない。つまり両社は価格でも激しいつばぜり合いをしており、それは顧客の行動パターンを意識しているからだろう。

 

 話は変わるが、私がヨドバシとAmazonを優先的に利用するのには大きな理由がある。

 それはどちらも消費税込みの価格表示を行っているという事実だ。ちなみに他の家電量販店のネット店を見ると、ヤマダ電機は税別、税込みの併記だが、文字自体は税別価格の方が大きい。ビックカメラに至っては税別表示のみである。

 そもそも消費税の価格表示については、消費税法第六十三条で「事業者は(中略)当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない」と定められており、税込み表示が大原則なのである。

 とはいえ税率の変更による店の負担も大きいので、2021年3月までは特例として「税別表示」も認めるというだけの話なのだ。

 

 個人的には、この消費税の表示に対するショップの姿勢は、顧客優先か自社優先かというスタンスの違いを反映したものだと思っている。

 商品を購入する消費者にとっては「要するにいくら払えばいいの?」が最大の関心事であり、これが明確にわかる「税込価格」の方が圧倒的に便利なのだ。

 

 「税抜価格」を採用しているショップは、手間の問題もあるだろうが、それよりは「(見かけ上)1円でも他店より安く表示して客の関心を惹きたい」という浅はかな意図が見え隠れしている。

 顧客もバカではないので、自分で税額を計算してその結果を他店と比べる手間を考えたら、最初から「税込価格」の店で買うという流れになるのは確実なのだ。外税方式の販売店はそろそろいい加減に顧客を見下した表記を改めた方がいい。このままでは顧客にまったく相手にされなくなる。

 

 ちなみにAmazonとネット通販で双璧とされている楽天も、過去には「税別価格」ばかりだったが、最近は「税込価格」も増えており、まともな顧客志向に路線を変更しているようだ。

 

 いずれにせよ、「税込価格表示」「配送料無料」という2大戦略を看板に顧客志向を強めるヨドバシ.comの快進撃は今後も続くことは間違いないだろう。

 

人生訓メモの集大成、その価値判断は読者に委ねられた

不惑の老後

曽野綾子

 

 これはもう「書籍」というよりは、著者の人生訓メモの「寄せ集め」もしくは「集大成」と言った方が適切だろう。

 何しろ、項目として立っている見出しが207もあり、出典一覧も67冊に上る。便宜上、全六章に章立てしているものの、その中身は細切れのメッセージがほとんどである。


 具体例を引き合いに出すと、文章が何と1行しかないという項目すらあり、2行、3行の項目も少なくない。

 しかも各章に含まれる項目は順不同で、時系列順でもないし、何ら特別な関連性を見い出せない。文体も基本的に「である」調で占められているものの、「です・ます」調も混在している。

 

 出版社と著者がどのような意図でこの本を出版したのか、その真意は「まえがき」にも書かれていない(ちなみに「あとがき」はない)。
 というか、あえて数多くの著作から多彩なメッセージを引用し、散りばめることで、本書に対する解釈や意味づけを「読者に委ねている」としか考えられない仕掛けだ。


 従って読者は、自らの価値観と読解力が試されていることになる。解釈の手掛かりになるのは、タイトルにある「老後」と「不惑」の2つのキーワードだが、各項目を繋げては見たものの、その結果に「どれ程の意味があるのかは評価が難しい」というのが正直な感想だ。


 こういったスタイルを取る本が過去にどの程度出版されて、どのような評価を受けているかは知らない。ただ「仕掛け」としては面白いのかも知れないが、お手軽な材料だけ素のままで提供して、あとは「焼くなり煮るなり読者のご自由にどうぞ」というのは、いささか度が過ぎているような気もする。


 まあ本書をどう受け止めて、どう生かすかは個人差があるだろうが、同時期に出版された「人生の醍醐味 (扶桑社新書)」が、比較的読み応えのある内容だけに、本書との構成や意図の違いの大きさにやや戸惑っている。

 

「弱者」の立場を知る著者が語る「正論」

人生の醍醐味

曽野 綾子

 読後の感想を一言で言えば、共感できる内容は多くとても参考になったが、タイトルや本書の帯に書かれた多数のコピーは「著者の伝えたい事とはあまり関係がない」だ。


 まず著者の主張について。
 本書を通じて著者が伝えたい事を集約すると「世界的に見てかなり恵まれた環境にあることを日本人は認識する必要がある。その上で自身の考え方や行動が正しいか常に意識すべき」といったところだろうか。
 
 この考え方の背景には、戦後の貧しい時代を体験し、発展途上国を中心に120カ国を貧困問題の調査で訪問したという経験がある。
 民族間の内戦により100日間で100万人が虐殺されたアフリカ・ルワンダの墓場で感じた強烈な「死臭」を、日本の若者に体験させれば「『自分は生まれながらの平和主義者だ』などという軽薄な信念も少しは揺らぐだろう」(p196)という主張には説得力がある。


 こうした原体験をもとに、著者は日本の現状を批判する「正論」を語るわけだが、その矛先は中国を擁護する左派マスコミ、必要以上に疑惑追及に傾注する野党、道義心を失った企業など多岐に渡る。


 特にマスコミに対して「(政府の)悪口を書いていればそれで充分批判的でいられるように思う浅はかな傾向は、書き手に力のない証拠」(p90)という指摘は強烈だ。


 また、急増する老人の介護環境整備が追い付かない現状を懸念し、「当節『平和』を口にする人は、デモに行く時間に、まず自分の身近の人たちの面倒を見るべき」(p143)と“身内の平和”を優先しろ、と批判している。


 個人的な考えを言えば、以上のすべての要因は「物事を多面的に捉え、自分の頭で考える人が減った」からだと思っている。


 人の欠点を論うことに終始し、マスコミの主張を鵜呑みにし、マニュアルに従って仕事をしていれば、これ以上「楽」な生き方はないだろう。一方、目の前にある現実の「背景」「意味」に思いが行かない人は、人間としての成長は見込めない。


 世間では、単純な事務作業などはAI(人工知能)に置き換わるという話題で持ちきりだが、これは同じ作業を任せるのに機械の方が安上がり、というコスト面だけの理由だけではない。成長の見込めない人間は「技術的に進化し続けるAI未満のレベル」でしか仕事ができないからだ。


 ここまで著者の主張とそれに対する個人的な見解を述べたが、以下は本書のタイトルなど外観的な側面について一言。 


 まずタイトルだが、著者が「まえがき」で書いているように、編集部主導で決まったもので本人は「人生の醍醐味など味わったことはない」としている。これを読んだ時点で本書への期待度が低下する読者も多いのではないだろうか。


 また表紙の中央、帯の最も大きい字で書かれた「『人生の成功者』になる秘訣」というのも、本書を読むと「えっ、そんなことなの」というのが実感だ。まあ、意表を突かれたという驚きは多少あったが。
 この秘訣で成功者になれると納得するには、まだ私が若輩すぎるという事情もあるのかもしれないが。
 
 以上をまとめると、本書はタイトルと帯に惹かれて読むとやや期待はずれかもしれないが、書かれている内容は、戦争、貧困を体験した年長者からの貴重な人生アドバイスだ。


 ただ私が懸念しているのは、この本を読む人は従来から自分の頭で考えることができる人が大半で、著者が読んでほしいと思っている人々にはおそらく「読書」という習慣がないということだ。


 かくして貴重な著者のメッセージが生かされない可能性が高いのは残念だが、現在の日本は人口も経済も下り坂の入り口にあるなかで、これに加えて日本人の精神的な衰退傾向も避けられないとなれば、日本の未来に明るい希望を持つことはかなり難しいと言わざるを得ない。

イヤホンは「話しかけ防止」に効果あり

 小学館『NEWS ポストセブン』が運営する動画ニュースサービス『News MagVi』で興味深いコンテンツがあったので紹介したい。

【動画】イヤホンは「話しかけないで」の意思表示なのか|NEWSポストセブン

 

 30秒程度の短い動画なのだが、要約すると「他人から話しかけられたくないときにイヤホンをかけていると、効果が大きい」ということ。

 動画では触れていないがこの行為について、「他人との壁を露骨に作り過ぎている」とか「見ていて拒絶されているようで不快」といった反論が出てくるのは容易に想像できる。

 

 個人的な意見を言えば時と場合によるが、この「イヤホンによる話しかけ防止策」には基本的に賛成である。

 私は勤務先の事情もあって、駅とオフィスの間を歩く際に外国人女性のマッサージ勧誘と思われる声掛けをされることが多かったのだが、ある日たまたま携帯音楽プレイヤーを聞きながら歩いていたら、誰からも声を掛けられなかった。

 向こうにすれば、勧誘しても相手にされそうにないので話し掛けの意欲が削がれるのだろう。以来、音楽を聴いていなくてもイヤホンを装着しているが、声を掛けられたことは一度もない。

 

 客引きという行為では「声掛け」と「断り」という無用、無駄な行為とそれに伴う手間と時間を考えれば、声を掛ける側・かけられる側の双方にとってイヤホンのメリットは大きいはずだ。

 

 他人がイヤホンに「壁」や「拒絶」を感じるというのは、おそらくまだ「意思表示」の方法として社会に認知されていないからで、一般社会に普及し始めれば一部のメガネやアクセサリーのように「ファッション」のひとつになると思う。

 

  まあ、コミュニケーションが不可欠な職場などでイヤホン(音楽を聴いていなくても)をするのは自己中心的過ぎるし、仕事に差し障りもあるだろうが。

 それでも職場によっては「声掛け」が、気持ちを集中して取り組んでいる人を、特に急ぎの用事でもないのに、自分の都合だけで無意識に声を掛けて中断させるという、いわば「不作法」とも言える行為であることを意識させる効果はイヤホンに十分期待できる。

 

 ただイヤホンを掛ける側が注意すべきは「音漏れ」。最近のイヤホンは「カナル型」といって耳栓のように耳に入れ込むタイプが主流なので音漏れは以前よりも減ってはいるが、それでも大音量で聞けば音は洩れる。

 イヤホンをして静かに音楽を聴いているのであれば構わないが、音漏れは他人への迷惑に直結する。自分も含めて音量には注意したい。 

【連休企画】大型連休期間中に自宅の地震対策を確認しよう!

確認したい地震対策のチェックポイント20

【連休企画】

 今月27日から5月6日まで10連休という人も多いと思いますが、旅行客の集中などで内外の観光スポットは、「混む」「待つ」「高い」が嫌いな私にとって「非常に苦手」な場所となります。

 

 これを回避するため当然ながら「旅行」「観光」などはしないのですが、今回の10連休は自宅でのんびりするには長すぎるのも確か。

 そこで我が家では、これを機会に「地震対策」状況を確認、必要に応じて見直すことにしました。


 過去に買い集めた防災グッズや飲食料はあるにはあるのですが、具体的に何がどこにあるのかは誰も把握していない状況。
 これでは「いざ地震!」となっても、必要なモノがすぐに使えない状態です。水や食料などは消費期限が来ているかもしれないし。
 
 ということで、以下に今回の防災対策再確認プランの対象となった事項を20個ほどピックアップしてみました。

【危険回避】
① ヘルメット・・・自宅の外で落下物によるケガをしないため人数分
② 軍手・・・・・・窓ガラスの破片などが飛び散る可能性があるので人数分
③ ガムテープ・・・割れた窓ガラスの一時的な補修やゴム袋の結索などで使用、10本
④ 照明・・・・・・夜間停電の際にLEDランタンを人数分+α
⑤ ラジオ・・・・・災害放送の受信用に予備と合わせて3つ
⑥ 電池・・・・・・照明、ラジオなどに使用、単一を100本、単三を50本

 

【飲料・食料】
⑦ 水・・・・・・・断水に備えて2Lペットボトル6本入りの箱を20箱
⑧ 食料・・・・・・カロリーメイト、レトルト食品を多数(賞味期限切れを確認)
⑨ カセットコンロ・ガス供給停止時に必要、レトルト食品の調理にも
⑩ ガスボンベ・・・カセットコンロ用に30本程度
⑪ 紙皿、紙コップ・陶磁器は割れて使えないかもしれないので各100個
⑫ ラップ・・・・・紙コップ、紙皿の再利用のため。ラップで包めば汚れない。20本

 

【トイレ】
⑬ 簡易トイレ・・・下水道が使えない場合、洋式トイレにセットして使う。100回分
⑭ ポリ袋・・・・・排泄物やゴミなどの処理に必須、サイズ大を100枚
⑮ トイレットペーパー・・普段の備蓄も含めて多めに確保

 

【その他】
⑯ 現金・・・・・・ATMの非稼働対応。1万円札はおつり対応不可の可能性があるの で、1000円札を100枚、10万円分(1束)を銀行窓口で調達
⑰ ガソリン・・・・出かける予定はないが、前回の東日本大震災では供給停止が長い期間続いたので連休前に満タンに
⑱ モバイル用バッテリー・・ガラケー、スマホやタブレットの充電用。20000mahクラスを5台
⑲ カセットコンロを使用する暖房器具・・冬場電気・ガスが停止した際に暖をとるのに必要、2台
⑳ 履き慣れたスニーカー・・外に出る際に、道路の破損や落下物などを避けて歩くため、人数分

 

 まあ、ざっと思いついたのはこのぐらいですが、家屋が倒壊したら多分命もないので、その時は諦めるとして、電気・ガス・上下水道が2週間止まっても自宅で過ごせるだけの物資を確保しておく予定です。

 あと細かいことですが、避難所への行き方や自治体の給水車の配置などについても確認しておきます。銀行は給料日の25日と連休直前の26日はすごい混雑が予想されるので、週前半に現金を確保したほうがよさそうです。

 ※ちなみに私は現金をみずほ銀行の窓口で調達しましたが、自分の口座から引き出したのに手数料324円を取られました。新札にこだわりがなければATMで1万円を10回、両替機能を使って毎回1000円札10枚で引き出せば手数料はかかりません)

 

 東日本大震災では、上記の備品のうち「単一電池」と「ガソリン」の品不足が続いた記憶があります。特に照明用などに多用する電池は多めに確保したほうがいいかと思います。

 最近の国内メーカー品は10年保管できるものも多いので、多めにあって困ることはないかと。ちなみに100円ショップの電池は保存期間や耐久性を考えると避けたいところ。1本あたりの価格はメーカー品とそんなに変わりません。安心料込と考えれば安いものです。


 私のお薦め品は「パナソニック エボルタNEO」。Amazonでも扱っていますが一回当たり3セットまでしか買えないうえ、家電量販店の方が安いこともあるので、比較して購入することを勧めます。