如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

EDLPはスーパーの特売チラシを駆逐するか

スーパーで「特売日」がなくなり「毎日安売り」が増えている理由(ダイヤモンド・オンライン)

森山真二:流通ジャーナリスト

 

 「本日特売日!」というのぼりを最近、スーパー店頭などでみかけなくなった。そういえば新聞の折り込みチラシもめっきり減った」という出だしで始まる、最近のスーパーなどの特売状況の変化を分析する記事「スーパーで「特売日」がなくなり「毎日安売り」が増えている理由」が8月21日付けのダイヤモンドオンラインに掲載された。

 

 記事のキモは2点。ひとつは「折り込みチラシ」の効果が減少したこと。新聞の発行部数が大きく減ったうえ、特売情報はスマホでチェックできる、ということ。

 もうひとつが、エブリディ・ロー・プライス(EDLP)という価格戦略だ。毎日が安売り日ということで「特売宣伝用のチラシ」の価値が失われている、という点だ。

 

 スーパーの折り込みチラシについて言えば、地域によって差があるのか私の周囲では「減った」というよりは、家電販売店のチラシが「大きくなった」感が強い。

 食品スーパーのチラシの内容自体、は大きく変わってはいないと思う。中高年世帯が比較的多い地域なので意図的に配布している可能性はあるが。

 

 一方、EDLPを導入したスーパーとしては、米ウォルマート傘下になった当時の西友で、レジカウンターの前に大きな輸入チョコレートを山積みにしていた記憶があるが、成功しているようには見えなかった。実際昨年には西友の身売り観測も報道された。

 

 記事では、国内では食品スーパーのオーケーがEDLPを先行してきたと解説しているが、そのオーケーを上回る勢いでEDLP戦略で攻勢をかけているのが、ドラッグストア大手のコスモス薬品らしい。

 

 ただこのコスモス薬品、公式サイトによれば全国に1004店舗(7月末現在)あるのだが、西日本に店舗は集中していて、関東には3店舗しかもすべてが東京で、江戸川区、渋谷区、中野区にしかない。東京都下に住むものとしては、店舗のイメージはもとより、品ぞろえや安さの実感が湧かないのが実感だ。

 

 記事によれば、ポイントカードの廃止などで徹底してコストを削減、経費率は他のドラッグストアより格段に低い。医薬品を扱うことで薬剤師の配置など人的コストはかかるが、安売りの食品で顧客を呼び込んで、医薬品の購入にもつなげて利益を確保しているようだ。

 私の自宅の大手ドラッグストアではまだ見かけないが、24時間営業や弁当の販売を手掛ける店舗も出始めているようで、「食品は常にスーパー並みかそれ以上に安い」「いざという際に医薬品も買える」「総菜、弁当も充実」となると、スーパーはもちろんコンビニの脅威にもなりえるだろう。

 

 実際にコンビニの店舗数は、日本フランチャイズチェーン協会の統計によれば、今年に入って5万5000店台で足踏みが続いている。最近になってドラッグストアの再編が取りざたされているのは、コンビニが成長期に相次いで合併し、大手3社に集約されていく過程を、追いかけているようにも見える。

 

 コンビニには折り込みチラシというもの自体がないが、ドラッグストアのチラシもあるにはあるが、スーパーとは質量ともに比較にならない。

 ただ、EDLPが今後消費者の間で認知されるようになれば、事情は変わってくる。新聞の発行部数は減少が続き、日本新聞協会によれば2018年には4000万部を割り込んだ。一世帯当たりの購読部数は0.70まで低下している。

 部数減少に歯止めがかからない 状態だけに、折り込みチラシの必要性や価値はさらに薄らいでいく可能性は高そうだ。

「貧困」を語る心意気は買うが、内容は・・・

「貧困」を考えるうえで背けられない客観的事実(東洋経済オンライン)

大西 連 : 認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長

 

「2019年現在、「日本に貧困はない」と言う人はいません」という文章で始まる、現代社会の貧困問題を解説する記事「『貧困』を考えるうえで背けられない客観的事実」が8月21日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 全体を通じた読んだ感想を述べると、貧困の「定義」「歴史」「非正規労働」「女性・子供」というテーマに分かれているのだが、多少なりとも「貧困問題」に関心があって、関連書籍などを読んだ人にとっては物足りない内容だった。

 

 確かに、冒頭の段落の最後には「(貧困の)現在地を共有することを目的」とあるので、おそらく明日以降の記事で深堀されていくと思うのだが、連載の一発目としてはややインパクトが弱いのである。

 

 まず、貧困に「相対的」と「絶対的」があるというのは、まあ多少の常識のある人なら知っている話だがここで解説するのは「現在地の共有」なのでいいとする。

 また「国際比較でも、日本の相対的貧困率の高さはOECD諸国の中で上から数えたほうが早いくらいなのです」とある。

 確かにOECD35加盟国のなかでは上位にはあるが、Webサイト「世界の貧困率 国別ランキング・推移」によれば、主要42か国のなかでは第14位、貧困率では1位の中国(28.8%)の半分程度である。中国の経済力は世界第2位であるにもかかわらずだ。

 米国(17.8%)に比べても低いし、スペイン(15.5%)と同程度だ。貧困率が低いとは言わないが、高いと声を大にして言える数字でもないはずだ。

 

 また、「非正規労働」についても、「1984年には15.3%だった非正規労働者が2018年には37.9%と急増しており、(中略)この中には、主婦のパート労働や学生のアルバイトなどの「家計補助」的な働き方も含まれます」とあるが、パートがバイトが大半を占めているにしても、「高年齢者雇用安定法の改正」によって65歳までの雇用機会の確保が事業主に求められたことで、非正規雇用の高齢者が急増した影響に言及していない。

 

 加えて、この項で年収200万円以下の人が増えたとについて、データの扱いに齟齬がある。

 記事には、「年収200万円以下の人は2013年で1120万人。これは働く人の24.1%、(中略)2000年には18.4%であったことを考えると、この10年間で約6%の上昇」とあるが、「%」どうしを比較するのに%の絶対値を使うのはおかしい。「6」という数字を使うなら「6ポイントの上昇」が正しい表現である。

 

 正確には、18.4%が24.1%に上昇したのだから30.9%上昇とすべきところだ。むしろこちらの数値の方がインパクトがあるのに、単純なミスで低所得者層の増加の大きさを「過小評価」させてしまっている。

 

 貧困問題の重大度をアピールしたいという志は立派だが、もう少し数値データの扱いには配慮した方がいいのではないか。

 

 記事の最後で、「私たちには、この記事で確認したような「数字」だけでなく、実際に「貧困」という状態を生きる人々の生に対する想像力も必要なのです」と述べているが、肝心のデータの扱いが不正確では、説得力に欠けると言われても仕方がないだろう。

 

 とは言え、確かに社会的に大きなテーマではあるので、次回以降に期待したい。

タワマン支持派の苦し紛れの反撃が始まった

 昨年中ごろまでは、都心のマンション、特に湾岸部を中心とするタワーマンションの人気が続いていたが、今年に入ってタワーマンションへの逆風が吹き始めた。

 

 この流れを決定づけたのは、6月に出版された榊 淳司氏の「限界のタワーマンション だろう。

 

 本がタワマンの「不都合な真実」をこれでもかと指摘したことで、これまで「憧れ」「優越感」からタワマンを志向していた層が、冷静になって購入する物件の見直しを考える人が出始めたことは、Amazonの本書の読者レビューからも読み取れる。

 

 ちなみに、私自身タワマンのメリット、デメリットについては、一時29階建てのタワマンの22階に2年ほど賃貸住まいしていた経験があるので、十分に認識している。

 

 私は「限界のタワーマンション」についても、出版と同時に購入、内容を高く評価するレビューを書いたところ、50人以上の「役に立った」投票があり、レビューとしてトップ評価をいただいている。

 

 この本に追随するようにタワマンの暗い未来を解説する記事が各種メディアで見られるようになったが、最新の代表記事は「2022年、タワマンの「大量廃墟化」が始まることをご存じですか」で、8月17日の現代ビジネスに掲載された。

 記事の最後で「建設ピークを迎えた'08年に建てられたタワマンが、15年目になるのは2022年。まさにこれからタワマンの問題は深刻化する。あなたは、それでもまだタワマンを買いますか?」と、結んでいるように、タワマン購入予定者に対して明確に警鐘を鳴らしている。

 

 一方、こうした流れを受けて、タワマンの住人やデベロッパー、販売会社関連の「タワマン支持派もしくは推進派」と思われる人たちからの反論も増えてきた。

 

 その代表例が、WebサイトOTONA LIFE(オトナライフ)である。Webニュースサイト「ビジネスジャーナル」に記事の一部が掲載されることも多いので、そこからリンクしてくる人も多いはずだ。

 まず最初は、7月6日に掲載された「タワーマンションには足場が組めない、修繕費が莫大で足りなくなり資産価値が落ちる?」である。

 記事では費用総額は一戸当たり月額9000円にすぎないとしており、多額ではないと主張している。実際、工事費用は修繕積立金の範囲で収まったようだが、これはあくまで1回目の大規模修繕。

 問題は、配管やエレベーターなど費用が膨れ上がる二回目以降の大規模修繕なのだ。特にエレベーターは個々のタワマン専用の高速仕様になっているうえ、当然ながら30年前に比べて機能も進化しており価格は高い。独自仕様なので同業他社との相見積もりもできない。

 

 これに続くのが、7月30日に掲載された「タワマンに住むと不健康になるという噂は本当?」である。内容はまさに榊氏が著者で指摘した「健康面での被害」に反論している。内容については読者の判断に任せたい。

 

 そしてトドメが、8月18日の「筆者が住んでわかった!タワマンに住むメリットはこんなにあった!」である。記事前半では、高層階なので蚊が出ない、があるのでゴキブリが出ない、ことを評価している。私が住んでいたタワマンにはディスポーザーはなかったので、ゴキブリは生息していた。

 ちなみに生ゴミ以外のリビングのお菓子の残りカスでもゴキブリは生きられると思うのだが。

 

 記事後半では管理組合について言及、「筆者のタワマンでは、管理組合の理事が弁護士、税理士、建築関係者など専門知識が豊富で有能な人材で占められており」としているが、このような人材豊富なタワマンは少数派ではないだろうか。

 

 そもそも最上階と下層階では10倍以上価格が異なるタワマンでは、職業も年収も価値観も全く異なる人たちが住んでおり、「意識高い系」の理事が資産価値維持のための背策を打ち出しても、費用負担に耐えられない世帯も多いはずだ。

 しかもここ数年、湾岸のタワマンを購入した層には投資目的の中国系の外国人が含まれており、彼らを含めた合意形成には相当な時間と手間がかかるだろう。

 

 先の「限界のタワーマンション」では、多額の費用がかかる2回目の大規模修繕ができないタワマンの発生を危惧しているが、大規模修繕は2回では終わらない。その後も15年間隔で実施する必要があり、しかもその費用は増大する一方。

 管理費等が払えず売却、老朽化したタワマンから新築へ引っ越し、戸建てへの住み替えなど、新築当時の人気を維持できるタワマンはほとんどないずだ。

 

 大手デベロッパー出身でマンション事情に詳しいオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏は、その著者で、過疎化した郊外のニュータウンを引き合いに出して、「ニュータウンは横に広がった過疎化だが、タワマンは上に伸びた過疎化になる」という趣旨の指摘をしている。

 

 街としての歴史も、文化もなく、海抜ゼロメートルの埋め立て地に立てられた「タワマン」という名のコンクリートの建造物が、専門家のいうように100年後も価値を維持し、何ら問題を抱えていない住民が集まっているとは、私には到底思えない。

 

「乗り物酔い防止メガネ」もいいが、本業のクルマにもっと注力しては?

有効率95%!「乗り物酔い防止メガネ」のすごさ(東洋経済オンライン)

森口 将之 : モビリティジャーナリスト

 

 

 フランスの自動車メーカー・シトロエンが開発した乗り物酔い防止メガネ「シートロエン」の効果がすごいらしい。

 この「シートロエン」を解説する記事「有効率95%!『乗り物酔い防止メガネ』のすごさ」が8月19日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事によれば、欧州では1年前に発売し1.5万個以上が売れ、日本では今年5月の販売開始と同時に即日完売となったそうだ。

 ちなみに現在は、シトロエンオンラインショップに在庫はあるが、価格は税込みで16,200円と「特殊用途」のメガネとはいえ、「お高い」ようにも感じた。

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シートロエンの外観。現在は通販可能。

 乗り物酔いしない仕組みについては、記事に概要が書かれてるので読んでもらうとして、最も興味を持ったのは、使用開始後10~12分で効果が出たあとは、「シートロエン」を外しても効果が持続する、という点。

 

 製品の画像を見ればわかると思うのだが、デザイン技術を誇りとするフランスならではというか、とにかく見た目のデザインが「奇抜」なのである。

 色は白いし、レンズは4つもある。目立つことは間違いない。このメガネをかけた状態で、長時間他人の前に顔をさらすには、個人的にはすごい抵抗感がある。ただ、記事にあるように10分ちょっとの使用で済むなら大きな問題にはならない。

 

 私自身は乗り物酔いへの耐性が強いので、経験した記憶はほぼないが、家族は車の後部座席に乗っていると、長時間になると大体気分が悪くなる。特にスマホなどを見ていると一発だ。

 

 私自身が効果を体験できそうにないので、家族向けに1つあってもいいかなと思ったが。16,200円は効果があるとしても「高い」と感じる。

 

 ちなみにAmazonでは、似たような製品が1799円から売っていた。

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Amazonで売られているレプリカ

 商品説明を読む限り、「乗り物酔い防止」という仕組み自体は変わらないようなので、個人的には、安いレプリカ品のなかでも比較的レビュー評価の高い商品に絞って、買ってみて、その効用を家族に確認してみたいと思う。

 

 本来、こうした日常的な不都合を解消するグッズを開発するのは、日本の得意分野であったような気もするのだが、フランスの自動車メーカーの商品開発力もなかなかのものだと感じた。

 

 もっとも、それだけの実力があるならもっと本業のシトロエン車の対日輸出にも力を入れれば良いのにとも思う。

 日本自動車輸入組合の2018年度の輸入車新車登録台数速報によれば、シトロエン車の輸入台数は3,655台で第18位。トップのメルセデスベンツ(66,948台)の5%強に過ぎない。

 16,200円のメガネの利益率は悪くないだろうが、肝心のクルマよりもメガネで知名度が上がるという事態を、シトロエンのフランス本社はどう受け止めているのだろうか。

 

大江戸温泉リートの資産運用報告書がけっこう面白い

大江戸温泉リート投資法人(3472)の第六期資産運用報告書

 

 資産運用の一環として私は、株式などに投資をしているのだが、中でも対象銘柄のほぼ半数を占めているのがREITである。

 投資になじみのない方のために簡単に説明すると、REITとは「Real Estate Investment Trust」の略で、訳すと「不動産投資信託」となる。

 

 その仕組みを簡単に言えば、不動産投資に特化した特別会社を上場させて投資を募り、その資金で不動産を購入して、得られる賃貸料や物件の売却益を投資家に分配金という形で還元するというものだ。

 

 不動産投資をするなら「直接物件を購入して大家になればいいのではないか」と考えて、ワンルームマンションやアパート経営に乗り出す人も少なくないようだが、個人的にはオススメしない。

 というのも都内でワンルームを買えば千万単位で、アパート一棟ならさらに多額の資金が必要になる。自宅ではないので銀行からの融資の金利も高い。

 加えて、空き家の可能性、賃借人の不始末、設備の更新などのリスクを考えると、サラリーマンがワンルームの一室を購入するというのは言わば「地雷」を抱えるようなもの。しかもここ数年で物件価格が高騰しているので実質利回りも期待できない。

 

 対してREITは、複数の物件に投資するので分散投資になるうえ、マンションの他に、オフィスやホテル、商業施設など選択肢も多い。最低投資金額も圧倒的に低い。例えばETFとして東証に上場している「iシェアーズ JリートETF( 1476)」なら 2125円で購入できる(8/16現在)。

 

 REIT全体で見れば、利回りは4%を超える銘柄も結構あるので、分配金(いわゆる配当金)狙いの投資としても期待できることも大きなメリットだ。NISA枠で購入すれば配当金に課税もされない。もちろん株式のように市場で取引される金融商品なので価格下落のリスクはあるが。

 

 さて、話がだいぶ横にそれたが、今回のテーマはそのREITで私が投資している銘柄のひとつ「大江戸温泉リート投資法人(3472)」だ。

 

 今週、第六期の資産運用報告書が送付されてきたのだが、これが意外にも結構面白いのだ。

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資産運用報告書の表紙

  他のリートは、総じて報告書に「決算の概要」「投資物件の説明」「今後の投資方針」あたりを、淡々とまさに「報告」しているだけで「まったく興味をそそられない」のだが、大江戸温泉は、内容の充実度が他社とは全然異なる。

 投資対象が「温泉・温浴施設」という個人利用者を対象にしているという側面はあるだろうが、少なくとも「読ませる」内容に注力しているのは間違いない。ちなみに同社の株主に占める個人の割合は98.3%である(5月31時点)。

 

 まず冒頭で、同社執行役員の今西氏と一橋大学准教授の岡本氏「余暇活用」についての対談を掲載。

 岡本准教授が「人が成長する場として余暇が非常に重要である」という学説を紹介、その余暇で最も重要なのは「観想」という概念で、これは大切な仲間や家族と語りあうことで、人生において本当に大切な時間を過ごすこと、と解説している。

 

 一方、今西氏は「大江戸温泉では、アクティブシニアが楽しそうに家族や仲間と交流していて、これが『観想』なのですね」と話を自社のビジネスに振っている。

 

 岡本氏は対談の最後で、「何も生産しない時間の中で、人が人らしい空間や時間を作ることが重要」として、そのための投資を今西氏に提案している。

 

 個人的には、大江戸温泉も巷に多数ある「スーパー銭湯」の宿泊施設の整備版だと思っているので、「観想」を考えて利用している人はほとんどいないと思うが、考え方としては面白いと感じた。

 

 報告書には、他にも「余暇活用のマーケット事情」などのコラムも掲載されているが、報告書の一部にちょっと違和感を覚えた部分があったので最後に指摘しておきたい。

 

 それは「トップメッセージ」として今西氏が業績などについて述べているのだが、相対的に業績が伸び悩んだ2施設について、「対策として個人客の集客強化策を実施していると聞いています」と書かれている部分。

 必要な対策を「聞いています」というのはトップの発言としては如何なものか。対策を「聞く」のではなく「実施して、効果も出ています」というのが投資家向けの発言としては正しいだろう。

 どこか事業への関心が「他人行儀」のように感じられる表現がやや気になった。

 

 とはいえ8月16日時点の分配金予想利回りは5.47%。今西氏も今期、次期共に2300円台を確保できると予想しており(前期は2390円)、当面は十分な利回りは期待できそうだ。

暑さを乗り切るTシャツは「ワークマンPlus」という伏兵もアリ

 お盆と台風10号が過ぎ去り、再び猛暑の時期となった。暑さには結構強い方なのだが、連日35度を超える暑さとなるとさすがにこたえる。

 

 こうも暑いと上の下着は「夏用のTシャツ」というパターンになるのだが、昨年までは「汗が乾きやすく、いつでもサラッと快適」を売り文句にするユニクロの「エアリズム」を定番にしていたのだが、今年の夏は強力なライバルが出現した(と個人的には思っている)。

 

 それは、今話題のワークマン、正確にはカジュアル品の品ぞろえが充実した「ワークマンPlus」である。

 建設作業員など現場向けの作業着では知られていたワークマンが、カジュアル商品を手掛けるようになり、女性を含む各層からその値ごろ感に加え、機能性と耐久性が評価されているらしい。

 

 ちなみに自宅の近くにはワークマンはあるが、Plusはないので、実際にどのような品揃えなのか、機能性Tシャツを比較してみた。

 まずはユニクロのエアリズム。

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 商品の詳細説明で特徴として書かれている中で機能については、

・ドライ、接触冷感、抗菌防臭、消臭など快適機能が満載。

・ストレッチ性があって、風合いが良く、肌に心地よくなじむ。

 の2点。

 ちなみに画像の価格は990円だが、8月17日時点で790円に値下げしている。サイズは、XSから4XLまでの8サイズある(もっともサイズによって在庫切れも)。

 

 一方のワークマンPlusだが、Webサイト自体には商品掲載はなく、Webカタログをダウンロードして見ることになる。

 以下が、機能性Tシャツのメイン商品ページの一部。

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 ユニクロの製品に近いのは、汗の吸収、蒸発機能を謳った左側の980円の方のようだが、右側の499円の商品にも「放熱冷感」を売り文句にしており、実際のところどの程度の差があるのかはよくわからない。

 

 両社の製品を比較して価格以外の大きな違いは、色の選択肢はワークマンPlusの方がカラフルで豊富だが、サイズ面では、ユニクロは全8サイズを揃えているのに対して、ワークマンPlusMから3Lまでの4サイズしかないこと。

 

 という訳で、自動車で最寄りのワークマンPlusまで出向いて、2種類のTシャツを購入してみた。店員さんによれば「Tシャツはサイズがやや小さめなので、普段よりひとつ大きめのサイズがおすすめ」とのこと。私の場合普段XLなので、3Lがちょうどのサイズとなる。

 

 で、実際に着た感触だが、2つとも生地は薄く、汗もすぐに吸い取って身体に張り付くこともなく、大きさな差はなかった。ということで499円の方が相当にお得ということになる。ユニクロ製品と比較しても性能に遜色はなかった。

 

 もっともユニクロが全国に819店 (2019年7月31日現在)を網羅するのに対して、ワークマンPlusは31店舗(Webサイトから)に過ぎないので、身近に店舗がある人は限られるだろう。Webサイトには一応「ワークマンプラスで取扱商品はワークマン店舗でお買い求めいただけます」とはあるが、商品数は限られるはずだ。

 店舗も関連会社のGUを含めて大規模店を全国に展開するユニクロに対して、ワークマンPlusでも一番多い神奈川、福岡で4店舗、東京には3店舗しかない。通販に対応しているとはいえ、現段階では販売力でユニクロのライバルにはならないだろう。

 もっとも、元々が現場向けの作業服がメインのワークマンと、若い世代向けが中心のユニクロは客層が異なるので、比較する意味はあまりないかもしれない。

 

 ただ、今年3月31日の東洋経済オンラインの記事「デカトロンを迎え撃つ『ワークマン』の戦略」によれば、「さらにカジュアル分野の展開を強化する方針だ。ショッピングセンターへのインショップを10店舗、路面新店を35店舗、路面店改装を23店舗、合計68店のWORKMAN Plusを出店する計画」となっており、勢いに陰りは見えない。

 また8月6日にはプレスリリースで「WORKMAN Plus の出店加速で20年3月末に167店へ」と表明している。

 

 また、実用性、耐久性の高い商品ラインナップに加え、原則的に朝7時に店舗を開店するなど、現場作業者の都合に配慮したワークマンの強みに、対抗できるショップがないのも事実。

 作業服という強力な商品群を抱えるワークマンが、その特徴を生かしたカジュアル商品を展開すれば、一定のシェアを確保するのは困難ではないだろう。

 

 ここまでワークマンPlusを評価する内容を書いてきたが、一点だけ僭越ながら個人的な厳しい意見を述べたい。

 それは、店頭の前面に展示しているオリジナル商品の「空調風神服」。これはジャケットの内部にバッテリーとファンを装着して、服の内部に直接風を送って涼しくする、というシロモノなのだが、ジャケットは3900円からあるのだが、肝心のファンシステムが高いのである。

 カタログでは10600円となっているが、店頭では12000円の値札が付いていた。

 ちなみにAmazonでは、似たような商品がジャケット・ファン・バッテリーの組み合わせで6999円からある(8月17日現在)。まあ耐久性や機能面で違いはあるだろうが。

 

 機能的には面白い商品だけに、低価格を標榜するワークマンPlusにおける品揃えとしては、異様な「高価格商品」として気になった。

 

 

銀行の再生は「得意分野」を生かすべき

あおぞら銀「メガでも地銀でもない」戦略のわけ(東洋経済オンライン)

藤原 宏成 : 東洋経済 記者

 

  経営破綻した日本債券信用銀行を前身とする、あおぞら銀行の社長インタビュー「あおぞら銀『メガでも地銀でもない』戦略のわけ」が8月26日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
 
 個人的には、同じ元長信銀で米系ファンドに買収された新生銀行がまず頭に浮かんだ。同行は当初振込手数料の無料化、ATMの24時間営業など新サービスを展開、個人的にも期待感もあって利用していたが、その後のサービスの急低下などでイメージが悪化したので、あおぞら銀行にも、やや警戒感をもっていたのは事実である。
 
 記事を読むと、あおぞら銀行は新生銀行とは異なり、独自のポジションを生かし、得意分野に特化したビジネスを展開、社長が「メガバンクでもないし、地方銀行でもない」言うように、ある意味中途半端な立ち位置を逆に生かす戦略を取っていることが分かる。ちなみに同行の実店舗は本店を入れても20しかないが、全国の主要都市をカバーしている。
 
 その特徴だが、まず50代以上が8割という顧客構成、社長は「もう少し若い世代にアプローチしないと尻すぼみになる」としているが、同行のWebサイトにアクセスすると、真っ先に目に入るのは「Brilliant60s(ブリリアント・シックスティーズ)を、ごいっしょに。」という大きな広告だ。
 
 Webサイトによれば、「アクティブな世代を、あおぞら銀行は、Brilliant60s(ブリリアント・シックスティーズ:“輝ける60代”)と定義し応援していきます」とあり、対象者には期間一年ながら半年複利で年率0.3%という定期預金を設定している。これはメガバンクなどの30倍の水準である。ちなみにインターネット支店の普通預金の金利も年率0.2%で、こちらは200倍だ。
 
 同業他社に比べて極端にサービス内容がいい場合、「何かウラがある」と考えるべきなのは投資の世界では常識なのだが、同行では経費率が他行より低いので、「他の経費を削れば預金に金利を多少上乗せできる」と社長は回答している。
 
 とは言え、30もある有人店舗も維持費用もバカにならないと思うのだが、そこは全店夜8時まで営業、法務、税務の資格を持つ行員を配置して、事業継承や相続といった「込み入った」内容に対応することで、富裕層などの顧客を獲得する構えだ。
 
 記事よれば、GMOグループと組んで「法人向け決済ビジネス」を手掛けたり、いろいろと手は打っているようだ。
 
 将来の大きな課題は、現状の顧客層に固執していては、社長が言うように「もう少し若い世代にアプローチしないと尻すぼみになる」ことだろう。
 現在のターゲット顧客層から預金は集められて、相続対策などで手数料などを稼いだとしても、この層はいずれさらなる高齢化で減少するのは確実だからだ。
 
 ただ、個人的には同行は他の地方銀行に比べれば、優位な立場にあると思っている。というのも20ある店舗のうち、都内に7店舗、千葉、神奈川に各1店舗、名古屋、関西圏に5店舗と大都市圏に13店舗、インターネット支店を含めれば14とほぼ過半数を人口の集中する都市に配置しているためだ。
 
 現在の主要顧客である高齢・富裕層は、いずれ相続で資産を子供世代に譲ることになる。その譲られる子供が働き、生活しているのは大都市圏がほとんどだ。
 ということは、地方に住む親世代から相続で子供が得た資産を、実家のある地方銀行など地元金融機関から、相続人が住む都市圏の銀行に移管される可能性が少なくなる。
 いったん親世代から預かった資産は、そのまま子世代の同行の口座に移るだけのことになる可能性が高い。

 もっとも、現在のような差別化したサービスが維持できていればという条件はあるだろうが。
 
 話はそれるが、この社長、東大法学部を卒業し日本債券信用銀行に入行したプロパーである。インタビューにあるような事業展開を打ち出せる能力をもっと生かす機会が当時の本人にあれば、日債銀も破綻せずに済んだのではないかとも思った。

今の時代に必要なのは「分裂気質」のトップだ

「天才を潰し秀才を重用した」日本型組織の末路(東洋経済オンライン)

茂木 誠 : 駿台予備学校 世界史科講師

 

 仕事の内容によって、必要な資質は異なるがそれは優劣を示すものではない。という趣旨の記事「『天才を潰し秀才を重用した』日本型組織の末路」が815日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事では、前半で「臨機応変に高度な判断を要求される政治家や経営者に向いているのは「分裂気質」であり、反対に、与えられた任務を黙々とこなす官僚、大企業の社員に向いているのは「執着気質」。これは役割分担であり、どちらが優れている、という話ではない」と解説している。

 

 記事後半は、この前提に基づいて日本軍が太平洋戦争で敗戦した原因を解明しているが、それについては記事を読んでいただくとして、ここでは前半部分に焦点を当てたい。

 

そもそも、その時代に即した人物が要職になるかどうかで、その運命が決まるのは、「国家」だけの話ではない。会社経営でも同じである。

 

例えば、ソニーの井出元会長も、雑誌のインタビューによれば、上司への反発が原因で一時は倉庫番のような閑職に追いやられていたそうが、その後ヒラの取締役から14人抜きで社長に昇格、ノートPCVAIOやデジタルコンテンツに舵を切って、業績を回復させた。もっとも、その後業績悪化で退陣したが、それも時代の趨勢というものだろう。

 

また、JAL(日本航空),JDI(ジャパンディスプレイ)のように半官半民による経営責任の押し付け合いで、経営トップが交代しても業績回復ができなかった(困難な)企業も多い。

 

会社経営で、一番多い多いのは、事業を立ち上げた創業者を、2代目が大きく発展させるものの、3代目が放蕩息子で会社に損害を与えるという大王製紙のような例だろうか。現場や社員の苦労を知らないボンボンに競争の厳しい経営トップが務まるはずがないのである。

 

 政治の世界では、過去に自民党の大幹事長金丸信氏が、首相の器として「平時の羽田、乱世の小沢、大乱世の梶山」と言ったそうだが、やはり時代に即した適任者がいるということだろう。

 

 こういう時代となると、会社の経営トップを選ぶ方も責任重大なわけだが、ステークホルダーとして昔はせいぜいメインバンクに幹部人事の事前了解を取っておけば済んだが、今は、外国人を中心とする「モノ言う株主」が増えたことで、利益(配当)拡大への圧力は強まる一方だし、商品や社員のコンプライアンスへの風当たりも強い(広告への抗議やバイトテロなど)。株主代表訴訟のリスクもある。

 また、社内でも「社外取締役の選任」や「指名委員会等設置会社の制度」など重役だけでは物事が決められなくなっている。

 

 現在のように、「貿易摩擦」「技術革新」「働き方改革」など会社を取り巻く経営環境が激変する可能性が高まる中で、必要とされるのは臨機応変に対応できる「分裂気質」タイプの経営者だろう。所与の条件下以外では何の対応もできないトップでは会社は持たない。

 

 ただ、個人的に重要だと思うのは、トップがリーダーシップを発揮するのは良いとしても、その判断が100%常に正しいとは限らない。

 明らかに考え直した方がいいと思われる案件には、堂々と反対意見を言える側近や幹部を置ける度量があるかどうかが重要ではないか。

 

 自分の考えを否定する幹部を近くに置くのは、気持ちのいいものではないが、リスク回避という点では欠かせない視点だと思う。

 

シェアトップ企業への対抗策は、真正面からの勝負を回避

湖池屋が「プレミアムポテチ」路線に走るわけ(東洋経済オンライン)

 常盤 有未 : 東洋経済 記者

 

 圧倒的なシェアを持つ商品を抱える企業に対応するには、まともに「真正面」からやりあっても通用しない。

 

 マーケティングの世界ではよく言われることだが、これを実践して業績を急回復させたストーリー「湖池屋が『プレミアムポテチ」路線に走るわけ』」が8月14日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 概要をまとめると、キリン出身のマーケッターで「生茶」などのヒット商品を手掛けた佐藤社長が、「業績低迷の理由を価格戦争に参入した結果と結論付け、素材と製法に徹底的にこだわった新商品を開発したことで、プレミアム商品として認知された」ということだ。

 

 確かに、ポテトチップと言えばスーパーなどの安売りの目玉商品として、ティッシュペーパー(5箱入り)と並んで陳列されていた記憶があるが、現在は少なくとも「湖池屋」の製品が安売りの対象になっていることはあまり見ない(例外は内容量126gといった大袋)。

 

 湖池屋の商品が変わったと感じたのは、やはり2017年発売の「KOIKEYA PRIDE POTATO」だ。じゃがいもの油揚げという点では同じなのだが、商品名をアルファベットにし、パッケージデザインもおしゃれなお菓子風に変わった。

 発売当時、すぐに購入して味見したが、味と風味にこだわりを感じた記憶がある。サイズも一人で食べきるにはちょうどいいサイズだった。

 

 湖池屋が、ポテトチップ市場で72%という圧倒的なシェアを持つカルビーに対応するには、価格での真正面からの勝負を回避し、記事にあるように「プレミアム化」という高価格路線に切り替えたことが成功要因であることは間違いない。

 

 高シェアを持つ商品に対応する価格戦略としては、「徹底的な低価格での勝負」か「高付加価値化で利益率向上」の2つしかない。

 

 湖池屋は後者で成功したいい例だろう。他ではコンビニの「セブンプレミアム」、カフェの「スターバックス」もそうだろう。

 一方、価格勝負という路線もまだ健在だ。100円ショップは完全に日常生活に組み込まれたし、ドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」も話題を集めている(個人的には品質はいまいちだと感じているが)。

 

 いずれにせよ、売り上げもシェアもじり貧のシェア商品を再生させるには、先の2つの路線を徹底的に追及するしかないだろう。

 ただし、どちらが正解というものではないはずだ。日本の人口、世帯数が減少するなかで、一人暮らしの人たちが少量でも高品質の食品を選択するという見立てもあるだろうし、非正規雇用の拡大で給料・賃金の上昇も見込めないとの判断から、安売り商品を選ぶという考え方もある。

 

 ただ個人的な感想を言えば、いったん価格競争に走ると双方が徹底的に疲弊するまで続く「価格戦略」よりは、オリジナルの優位性を発揮でき、ブランド・価格も維持可能な「品質競争」の方が、中長期的な経営的という観点では優れていると思っている。

女性取締役比率30%は望ましいが、急がずとも・・・

私が見た、企業トップの女性活躍への"及び腰"(東洋経済オンライン)

坂東 眞理子 : 昭和女子大学理事長・総長

 

 世界には「30%クラブ」という女性の取締役比率を30%に増やすことを目標とする民間企業の集まりがあるようだ。

 

 813日付けの東洋経済オンラインに「私が見た、企業トップの女性活躍への"及び腰"」という、日本の30%クラブのアドバイザリーボードの一員である坂東眞理子氏の記事が掲載された。

 

 現在、日本の上場企業の取締役に占める女性の割合は4.1%なので、目標には程遠い感もあるが、英国では2010年の発足当初12.6%だったが2018年に30%を達した。

 

 ちなみに日本では2003年に政府が、あらゆる分野の政策決定に参画する地位の30%を女性にするという方針を決めたが、現状では結果が出ているとは言えない状況だろう。

 

 坂東氏は、「なぜ、なかなか女性管理職が増えないか。長時間労働、性別役割分担の根深さなど、できない理由はたくさんあげられるが、必要なのは変えるための意志である」と指摘している。

 

 これには同意できる部分もあるが、問題となるのはこの「意志」の実際に持つ意味だろう、

 というのも、30%クラブや政府の機関が女性の幹部比率を高めたいという「意志」と、肝心の女性社員で取締役などの幹部になりたいという人の「意志」の度合いにはかなり「格差」があるのではないかと、個人的には思うからだ。

 

 ちなみに私は個人的に地元の市議会の活動に関心があるので、機会があれば一般質問を傍聴しているが、議員の女性比率は約40%と高いが、議会に参加する市幹部の女性比率は4%に過ぎない。

 あまりの格差に市の担当部署に理由を聞いたのだが、「地方公務員法の要請もあり、性別に関係なく適材適所で配置しているが、これまでの事務職の職員は男性職員のほうが多いことから、部長職も男性の方が多いのが実態」という、回答があった。

 

 これは「女性の意志」というよりは「女性職員の人数」の問題ではあるが、対象者が少なければ当然、幹部登用の人数も少なくて当然で、実力不足の女性を「数合わせ」で幹部に引き上げる方が問題だろう。これは一般企業にも当てはまる部分は多いはずだ。

 

 もうひとつはまさに「女性が取締役をどれほど目指しているのか」という問題だ。

 確かに周囲を見れば、積極的にリーダーシップを取って部長、取締役に出世した人はここ10年ぐらいで急増した感はある。当然だが、仕事の実力を見てもまったく男性に引けを取らない。

 少なくとも「女性だから」という理由で出世に影響することはなくなったように見える。30%クラブの掲げる理想も理解できるが、数%に過ぎなかった女性管理職が13%にまで増えた事実はもっと評価されてもいいのではないか。

 

 さらに言えば、男性を含む育児休暇制度や託児施設の拡充など「女性の子育て管理職」への職場の理解も深まっている。13%という数字はまだ上がる可能性が高いだろう。

 

 一方で、実力が十分にありながら管理職になりたがらないという社員も、男性を中心に急速に増えているのも事実だ。ライフ・ワーク・バランスというのだろうが、仕事とプライベートを両立させるために、あえて出世を拒否する世代も少なくないのだ。

 周囲を見ても、激務とストレスで身体を壊しては意味がないと考える男性は意外に多いのである。

 

 以上を踏まえると相対的に見て、女性の管理職登用の機会が増える一方で、男性は「仕事一筋・出世こそ本望」という会社型人間が減っているので、このままでも自然と女性の幹部(取締役を含む)の比率は上昇すると個人的には考えている。

 

 坂東氏が「30%クラブの数値目標」を急ぐ気持ちはわかるが、世の中の流れを見ると「世の中は幹部登用に当たって、男女差をあまり意識しなくなりつつあり、結果として自然に女性の幹部比率は高まる」のではないだろうか。

 

 私の地元の市議会の女性比率(40%)が、市役所幹部職員(4%)の10倍もあるという事実は、市議会議員という役職が、市幹部職員よりもはるかに女性が活躍しやすい職場だということを証明していると思う。