如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

金融機関から「勧誘」されたら、まず「詐欺」だと疑った方がいい

お金を増やしたい人が絶対にやってはダメな事(東洋経済オンライン)

山中 伸枝 : ファイナンシャルプランナー(CFP®)

 

 定年を迎えて退職金2000万円をうけとった65歳の男性が、銀行の勧誘に乗っかって金融商品を購入、あっという間に500万円を溶かしてしまった―――。という高齢者が引っ掛かりやすい金融機関の「詐欺的な売り込み」の被害をレポートする記事「お金を増やしたい人が絶対にやってはダメな事」が8月25日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 この手の退職金を狙った金融機関のあくどい手口は、でにかなり知られた存在になっているはずなのだが、いまだに被害は続いているようだ。

 

 具体的な経緯は記事を読んで頂くとして、要約すると、大学の後輩として近づいた支店長のセールストークに乗せられて、言われるがままにお決まりの「高金利の短期定期預金」と「高手数料の投資信託」を買わされて、投資信託が暴落、多大な損失を被る。

 怒りの収まらない本人は、文句の電話を掛けるが、支店長は人事異動ですでに他店に転勤済というオチだ。

 

 ちなみに、この手の詐欺的な勧誘に引っかかるのは、大企業の管理職経験者でプライドが高いわりに、資産運用、金融商品への知識に乏しいという傾向がある。接客に長けた銀行員の「よいしょ」に乗せられやすい。要は「いいカモ」なのだ。

 

 話は若干それるが、この手の詐欺的な勧誘には「お決まりの小道具」があって、それは「支店長が直々に対応」「支店の豪華な応接室か支店長室」「提供される高級そうな緑茶」の3点セットだ。

 

 結論から言えば、このケースを含む金融機関の詐欺的な行為を避ける防衛策はたったひとつだ。それは「金融機関が勧める商品は絶対に買わないこと」。

 

 そもそも黙っていても売れる「良質な金融商品」は売り込む必要がない。売れない商品だから営業マンがノルマで売らされるのである。そんな商品が顧客のためにならないことは自明の理だろう。

 

 今回の相談者は、被害後にまともな著名でかつ良心的なFPに相談したので良かったが、よくあるのは、「今回はたまたま担当の営業マンに恵まれなかった」と自分の運の悪さを理由にして、さらに別の金融機関から質の悪い商品をつかまされるという一種の「追いはぎ」に引っかかる高齢者が多いことだ。

 

 とは言え、いきなりの数千万円という大金を手に入れて、「どうしよう」と狼狽する気持ちは理解できなくもない。 

 また超低金利という現状に加え、最近の金融庁の報告書で「老後資金2000万円不足」問題が誤って世の中に広まったこともあり、「何か資産運用しなくては」と焦るのは仕方のない側面はある。

 

 しかし大切な老後資金だからこそ、まず心を落ち着かせて、自分のおカネに関するライフプランを慎重に考えることが重要なのだ。

 高齢者向けに自宅のリフォームの必要性や、子供や孫への住宅・教育等の資金援助、介護が必要になった際の施設への入所費用など、必要となる資金は不足する可能性は小さくない。

 だからこそ、投資経験がなかったり、経験が浅くて投資に自信がない場合は無理に「資産運用」する必要はないのだ。

 「増やすこと」よりも「減らさない」ことを重視すべきなのである。

 

 具体的には、退職者専用の高い金利で引き付ける特別な定期預金ではなく、「普通の定期預金」もしくは「個人向け10年変動国債」を勧める。利息は少ないが元本が減ることはない。

 ちなみに、個人向け10年変動国債は、財務省が「個人向け販売を強化したい」との思惑から、証券会社で購入すると金額に応じてキャッシュバックがある場合がある。これはおまけがついてくる優良金融商品として、「例外中の例外」である。

 

 他の方法としては、あおぞら銀行は「高齢者向け定期預金」に年率0.3%というメガバンクの30倍の金利を、インターネット支店なら普通預金でも年率0.2%という同200倍の利息を提供している。また、インターネット専門の住信SBIネット銀行の一種の普通預金(SBIハイブリッド預金)も金利は0.01%と高い。

 これらの預金には預入額などの多少の条件はあるが、先の銀行のような「投資信託」と抱き合わせ販売という「見かけだけのの高金利」で顧客を集めている訳ではない。一考の価値はあるだろう。ただし、今後いつまでも高金利を維持してくれるとは限らないないが。

 

 最後に金融商品や資産運用の知識に乏しい人にひとつだけ覚えてほしいことがある。それは「金融機関のセールスマン、セールスレディから声を掛けられたから詐欺の勧誘だと思え」ということだ。

 

 もちろん真面目な行員もいるだろうが、こういう前提で対応した方が損失を被る可能性は格段に低くなる。

 

 さらに言えば、投資で資産を増やそうと思うならば、自腹を切って投資に関する本を読んで勉強することだ。身銭を払えば真剣になるし、真剣になればまともな投資手法も身に付く。

 大金持ちでもないのに、なんの苦労もしないで資産を増やそうという考えそのものが「甘い」という事実に気づくべきだ。いい年をした大人なのだから。

調味料を止めたら、三か月で血圧がぐんと下がった!

 本ブログの525日に、「高血圧の主因は『塩分、肥満、ストレス』だが、要は『塩分』」というタイトルで書評を書いた。

 

 対象の本は「ズボラでもラクラク! 薬に頼らず血圧がみるみる下がる!: 血管を鍛える最強の方法(知的生きかた文庫)」なのだが、その書評で、本にはない私自身が考えた高血圧対処法として、「調味料を一切摂取しない」という手法を紹介した。

 

 それから3カ月が経って、いまだに調味料は一切摂取していないのだが。血圧の明らかな低下効果があったので報告したい。

 

 対処法を公開した直後の527()時点での血圧は、上が174mmHg、下が121mmHg、脈拍は85だったのが、約三か月後の昨日823()の計測では、上が133mmHg、下が105mmHg、脈拍は74となっていた。

 

 上の血圧は41下がって率にすれば23.5%の低下、下の血圧は16下がって同12%%の低下となった。脈拍も約13%下がっている。

 

 この3カ月の間、生活面で変化があったのは「調味料を止めた」ということだけ。食べるものは回数、分量、内容などまったく変えていないし、運動も相変わらず何もしていない。本当に変えたのは「調味料」を使わないことだけなのである

 

 つまり「調味料を摂取しない」だけで、わずか三カ月で血圧は上が20%以上、下も10%以上下がったのだ。もともと素人の勝手な思いつきで始めた訳だが、事前にかかりつけの内科医の先生には相談して、「まあ試してみてもいいのでは」との了解は得ていたが、正直ここまで効果があるとは想像していなかった。

 

 日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019 によれば、上は120未満、下は80未満が「正常血圧」なので、まだ下げる必要はあるのだが、だいぶ目標に近づいた。

 

 日本高血圧学会のWebサイトでは「減塩」を勧めているが、可能であれば「調味料不摂取」の方が、実践した者としては効果は大きいような気はする。

 

 確かに、醤油やソースなどを止めると、刺身やとんかつなどを食べる際に何となく味に「物足りなさ」を感じるのだが、しばらく続けていると、刺身なら魚本来の持つ旨味や、肉に含まれる肉汁の感覚が分かるようになるのだ。

 

 今までは、私自身の味覚音痴という側面もあるのだろうが、何の疑問も持たずに調味料を使っていたので、刺身は「醤油味の生魚」、とんかつは「ソース味の肉の揚げ物」としか認識していなかったのだが、この認識は大きく変わった。

 

 という訳で、調味料の不摂取には効果があったという結論なのだが、当然ながら個人差はある訳で、「どうしても調味料がないと食べた気がしない」、「味が薄くて物足りない」という人も少なくないと思う。

 

 ただ、病院に行って降圧剤をもらって飲むには手間もコストもかかる。運動を始めるにも時間も体力も限りがあるという人は一度試してみてはどうだろうか。

 「調味料の不摂取」には、時間もおカネもかからない。「自分には向いてない」と思ったら止めて、元の食生活に戻せばばいいだけの話である。「うまくいったら儲けもの」ぐらいの期待値で十分だと思う。ちなみに普段のオカズやお菓子、飲料の類にも、多少なりとも「塩分」は含まれているので、調味料を止めても完全な「断塩」にはならない。

 

 もっとも私は医師でも医療関係者でもないので、あくまで自分が実践した結果を伝えているだけで、その効果を他人に無理やり勧めている訳ではない。何かあっても責任は取れないので、「調味料不摂取」を実践するなら、あくまで個人の判断でお願いします。

この逆風下、韓国からの観光客は大歓迎すべきなのに・・・

韓国人歓迎イベントに批判 道知事「交流は必要。感情的でなく」 新千歳など2空港(デジタル毎日)

 

 昨年来の韓国の反日的な行動には、私自身「怒り」から「諦め」そして今は、「笑い」の対象になっていたのだが、ここにきて笑ってもいられない事態が起きているようなので、ブログで紹介したい。

 

 822日付けの毎日新聞のオンライン版デジタル毎日に「韓国人歓迎イベントに批判 道知事『交流は必要。感情的でなく』 新千歳など2空港」という記事が掲載された。

 

 記事では、北海道を音連れる韓国人観光客を歓迎するイベントを空港で実施したところ、道内外から「韓国人観光客は誘致する必要がない」「なぜ韓国人を歓迎するのか」などと批判する意見が相次いだ、ことを紹介している。

 

 まず、真っ先に言いたいのは「韓国」と「韓国人」を区別するべきだということ。

 国家としての韓国は、大統領の指示のもと一丸となって日本に対抗する意図を明確にしており、昨年の自衛隊機へのレーダー照射問題以来、日本への敵意は終始一貫している。

 815日の光復節での大統領演説では、対日批判のトーンが若干落ちたが、22日夜、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことで、状況はさらに悪化した。二国間の関係は「友好国」から「敵対国」に180度変化したと言っていい。

 

 とは言え、これは「国家間レベル」の話。民間レベルでも「日本製品の不買運動などが盛り上がっている」と韓国メディアは伝えているが、その様子を撮影しているカメラ、ビデオカメラは日本製。その矛盾に気づいたカメラマンはメーカーのロゴをテープを張って隠しているらしい。何とも情けない話だ。

 

 世論調査機関リアルメーターの17日発表した内容では、世論調査では「今後参加意思を示した回答者は10人のうち7人に達する66.0%となった。今後参加しないという回答者は28.0%だった。」という。

 また、韓国の航空会社の日本便も減少が止まらない。日本政府観光局(JNTO)が21日発表した7月の訪日外国人客数は、全体では増加したが、韓国からの旅行者は前年同月比7.6%減の56万人だった。

 

 以上の数値を踏まえて、韓国国民は「日本への怒りで満ち溢れている」のような報道が多いが、私に言わせれば、30%近い人は不買運動に参加せず、日本への観光客も1桁%の減少に留まっているという見方の方をすべきだと思う。

 

 しかも、こうした逆風下のなかでも、日本に好意を持つ韓国人は日本の観光に来てくれるのである。おそらく自国では、日本旅行など「怖くて周囲に言えない」「強く反対される」人が多いにも関わらずだ。

 

 「韓国人」という人として見れば、親日的な感情を持つ人は少なくないのだ。周りの批判的な雰囲気を押し切ってまで日本に来てくれる韓国人を、「よくぞこの時期に日本に来てくれました」と歓迎するのは、評価こそすれ批判する理由はどこにもない。

 

 日本人も、「韓国人」として一括りに考えるのではなく、個々の性格や価値観を判断したうえで対応すべきなのだ。「韓国人だから」という理由だけで、批判、反発の対象にするのは「自分の頭で考える」というスキルがないに等しい。これでは、様々な反日行為を感情むき出しで行う一部の韓国人と変わりない知的レベルである。

 

 個人的には、このように日本と韓国の関係の重要性を理解し、日本に友好的な立場であっても、現状の雰囲気では韓国で発言も活動もできない状況に置かれている「財界人」「政治家」「軍関係者」も少なくないと考えている。

 

 日本としては、個人的にこうした親日派の人々を支援すると同時に、政府、自治体レベルでも、反日感情でいきり立つ人々に見つからないような形で資金面、情報面などからの積極的に援助をすべきではないか。

 

 中長期的な観点から見れば、韓国内に親日派を増やす政策を着実に実行した方が、日韓双方にとって幸福な未来を築けると思う。

EDLPはスーパーの特売チラシを駆逐するか

スーパーで「特売日」がなくなり「毎日安売り」が増えている理由(ダイヤモンド・オンライン)

森山真二:流通ジャーナリスト

 

 「本日特売日!」というのぼりを最近、スーパー店頭などでみかけなくなった。そういえば新聞の折り込みチラシもめっきり減った」という出だしで始まる、最近のスーパーなどの特売状況の変化を分析する記事「スーパーで「特売日」がなくなり「毎日安売り」が増えている理由」が8月21日付けのダイヤモンドオンラインに掲載された。

 

 記事のキモは2点。ひとつは「折り込みチラシ」の効果が減少したこと。新聞の発行部数が大きく減ったうえ、特売情報はスマホでチェックできる、ということ。

 もうひとつが、エブリディ・ロー・プライス(EDLP)という価格戦略だ。毎日が安売り日ということで「特売宣伝用のチラシ」の価値が失われている、という点だ。

 

 スーパーの折り込みチラシについて言えば、地域によって差があるのか私の周囲では「減った」というよりは、家電販売店のチラシが「大きくなった」感が強い。

 食品スーパーのチラシの内容自体、は大きく変わってはいないと思う。中高年世帯が比較的多い地域なので意図的に配布している可能性はあるが。

 

 一方、EDLPを導入したスーパーとしては、米ウォルマート傘下になった当時の西友で、レジカウンターの前に大きな輸入チョコレートを山積みにしていた記憶があるが、成功しているようには見えなかった。実際昨年には西友の身売り観測も報道された。

 

 記事では、国内では食品スーパーのオーケーがEDLPを先行してきたと解説しているが、そのオーケーを上回る勢いでEDLP戦略で攻勢をかけているのが、ドラッグストア大手のコスモス薬品らしい。

 

 ただこのコスモス薬品、公式サイトによれば全国に1004店舗(7月末現在)あるのだが、西日本に店舗は集中していて、関東には3店舗しかもすべてが東京で、江戸川区、渋谷区、中野区にしかない。東京都下に住むものとしては、店舗のイメージはもとより、品ぞろえや安さの実感が湧かないのが実感だ。

 

 記事によれば、ポイントカードの廃止などで徹底してコストを削減、経費率は他のドラッグストアより格段に低い。医薬品を扱うことで薬剤師の配置など人的コストはかかるが、安売りの食品で顧客を呼び込んで、医薬品の購入にもつなげて利益を確保しているようだ。

 私の自宅の大手ドラッグストアではまだ見かけないが、24時間営業や弁当の販売を手掛ける店舗も出始めているようで、「食品は常にスーパー並みかそれ以上に安い」「いざという際に医薬品も買える」「総菜、弁当も充実」となると、スーパーはもちろんコンビニの脅威にもなりえるだろう。

 

 実際にコンビニの店舗数は、日本フランチャイズチェーン協会の統計によれば、今年に入って5万5000店台で足踏みが続いている。最近になってドラッグストアの再編が取りざたされているのは、コンビニが成長期に相次いで合併し、大手3社に集約されていく過程を、追いかけているようにも見える。

 

 コンビニには折り込みチラシというもの自体がないが、ドラッグストアのチラシもあるにはあるが、スーパーとは質量ともに比較にならない。

 ただ、EDLPが今後消費者の間で認知されるようになれば、事情は変わってくる。新聞の発行部数は減少が続き、日本新聞協会によれば2018年には4000万部を割り込んだ。一世帯当たりの購読部数は0.70まで低下している。

 部数減少に歯止めがかからない 状態だけに、折り込みチラシの必要性や価値はさらに薄らいでいく可能性は高そうだ。

「貧困」を語る心意気は買うが、内容は・・・

「貧困」を考えるうえで背けられない客観的事実(東洋経済オンライン)

大西 連 : 認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長

 

「2019年現在、「日本に貧困はない」と言う人はいません」という文章で始まる、現代社会の貧困問題を解説する記事「『貧困』を考えるうえで背けられない客観的事実」が8月21日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 全体を通じた読んだ感想を述べると、貧困の「定義」「歴史」「非正規労働」「女性・子供」というテーマに分かれているのだが、多少なりとも「貧困問題」に関心があって、関連書籍などを読んだ人にとっては物足りない内容だった。

 

 確かに、冒頭の段落の最後には「(貧困の)現在地を共有することを目的」とあるので、おそらく明日以降の記事で深堀されていくと思うのだが、連載の一発目としてはややインパクトが弱いのである。

 

 まず、貧困に「相対的」と「絶対的」があるというのは、まあ多少の常識のある人なら知っている話だがここで解説するのは「現在地の共有」なのでいいとする。

 また「国際比較でも、日本の相対的貧困率の高さはOECD諸国の中で上から数えたほうが早いくらいなのです」とある。

 確かにOECD35加盟国のなかでは上位にはあるが、Webサイト「世界の貧困率 国別ランキング・推移」によれば、主要42か国のなかでは第14位、貧困率では1位の中国(28.8%)の半分程度である。中国の経済力は世界第2位であるにもかかわらずだ。

 米国(17.8%)に比べても低いし、スペイン(15.5%)と同程度だ。貧困率が低いとは言わないが、高いと声を大にして言える数字でもないはずだ。

 

 また、「非正規労働」についても、「1984年には15.3%だった非正規労働者が2018年には37.9%と急増しており、(中略)この中には、主婦のパート労働や学生のアルバイトなどの「家計補助」的な働き方も含まれます」とあるが、パートがバイトが大半を占めているにしても、「高年齢者雇用安定法の改正」によって65歳までの雇用機会の確保が事業主に求められたことで、非正規雇用の高齢者が急増した影響に言及していない。

 

 加えて、この項で年収200万円以下の人が増えたとについて、データの扱いに齟齬がある。

 記事には、「年収200万円以下の人は2013年で1120万人。これは働く人の24.1%、(中略)2000年には18.4%であったことを考えると、この10年間で約6%の上昇」とあるが、「%」どうしを比較するのに%の絶対値を使うのはおかしい。「6」という数字を使うなら「6ポイントの上昇」が正しい表現である。

 

 正確には、18.4%が24.1%に上昇したのだから30.9%上昇とすべきところだ。むしろこちらの数値の方がインパクトがあるのに、単純なミスで低所得者層の増加の大きさを「過小評価」させてしまっている。

 

 貧困問題の重大度をアピールしたいという志は立派だが、もう少し数値データの扱いには配慮した方がいいのではないか。

 

 記事の最後で、「私たちには、この記事で確認したような「数字」だけでなく、実際に「貧困」という状態を生きる人々の生に対する想像力も必要なのです」と述べているが、肝心のデータの扱いが不正確では、説得力に欠けると言われても仕方がないだろう。

 

 とは言え、確かに社会的に大きなテーマではあるので、次回以降に期待したい。

タワマン支持派の苦し紛れの反撃が始まった

 昨年中ごろまでは、都心のマンション、特に湾岸部を中心とするタワーマンションの人気が続いていたが、今年に入ってタワーマンションへの逆風が吹き始めた。

 

 この流れを決定づけたのは、6月に出版された榊 淳司氏の「限界のタワーマンション だろう。

 

 本がタワマンの「不都合な真実」をこれでもかと指摘したことで、これまで「憧れ」「優越感」からタワマンを志向していた層が、冷静になって購入する物件の見直しを考える人が出始めたことは、Amazonの本書の読者レビューからも読み取れる。

 

 ちなみに、私自身タワマンのメリット、デメリットについては、一時29階建てのタワマンの22階に2年ほど賃貸住まいしていた経験があるので、十分に認識している。

 

 私は「限界のタワーマンション」についても、出版と同時に購入、内容を高く評価するレビューを書いたところ、50人以上の「役に立った」投票があり、レビューとしてトップ評価をいただいている。

 

 この本に追随するようにタワマンの暗い未来を解説する記事が各種メディアで見られるようになったが、最新の代表記事は「2022年、タワマンの「大量廃墟化」が始まることをご存じですか」で、8月17日の現代ビジネスに掲載された。

 記事の最後で「建設ピークを迎えた'08年に建てられたタワマンが、15年目になるのは2022年。まさにこれからタワマンの問題は深刻化する。あなたは、それでもまだタワマンを買いますか?」と、結んでいるように、タワマン購入予定者に対して明確に警鐘を鳴らしている。

 

 一方、こうした流れを受けて、タワマンの住人やデベロッパー、販売会社関連の「タワマン支持派もしくは推進派」と思われる人たちからの反論も増えてきた。

 

 その代表例が、WebサイトOTONA LIFE(オトナライフ)である。Webニュースサイト「ビジネスジャーナル」に記事の一部が掲載されることも多いので、そこからリンクしてくる人も多いはずだ。

 まず最初は、7月6日に掲載された「タワーマンションには足場が組めない、修繕費が莫大で足りなくなり資産価値が落ちる?」である。

 記事では費用総額は一戸当たり月額9000円にすぎないとしており、多額ではないと主張している。実際、工事費用は修繕積立金の範囲で収まったようだが、これはあくまで1回目の大規模修繕。

 問題は、配管やエレベーターなど費用が膨れ上がる二回目以降の大規模修繕なのだ。特にエレベーターは個々のタワマン専用の高速仕様になっているうえ、当然ながら30年前に比べて機能も進化しており価格は高い。独自仕様なので同業他社との相見積もりもできない。

 

 これに続くのが、7月30日に掲載された「タワマンに住むと不健康になるという噂は本当?」である。内容はまさに榊氏が著者で指摘した「健康面での被害」に反論している。内容については読者の判断に任せたい。

 

 そしてトドメが、8月18日の「筆者が住んでわかった!タワマンに住むメリットはこんなにあった!」である。記事前半では、高層階なので蚊が出ない、があるのでゴキブリが出ない、ことを評価している。私が住んでいたタワマンにはディスポーザーはなかったので、ゴキブリは生息していた。

 ちなみに生ゴミ以外のリビングのお菓子の残りカスでもゴキブリは生きられると思うのだが。

 

 記事後半では管理組合について言及、「筆者のタワマンでは、管理組合の理事が弁護士、税理士、建築関係者など専門知識が豊富で有能な人材で占められており」としているが、このような人材豊富なタワマンは少数派ではないだろうか。

 

 そもそも最上階と下層階では10倍以上価格が異なるタワマンでは、職業も年収も価値観も全く異なる人たちが住んでおり、「意識高い系」の理事が資産価値維持のための背策を打ち出しても、費用負担に耐えられない世帯も多いはずだ。

 しかもここ数年、湾岸のタワマンを購入した層には投資目的の中国系の外国人が含まれており、彼らを含めた合意形成には相当な時間と手間がかかるだろう。

 

 先の「限界のタワーマンション」では、多額の費用がかかる2回目の大規模修繕ができないタワマンの発生を危惧しているが、大規模修繕は2回では終わらない。その後も15年間隔で実施する必要があり、しかもその費用は増大する一方。

 管理費等が払えず売却、老朽化したタワマンから新築へ引っ越し、戸建てへの住み替えなど、新築当時の人気を維持できるタワマンはほとんどないずだ。

 

 大手デベロッパー出身でマンション事情に詳しいオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏は、その著者で、過疎化した郊外のニュータウンを引き合いに出して、「ニュータウンは横に広がった過疎化だが、タワマンは上に伸びた過疎化になる」という趣旨の指摘をしている。

 

 街としての歴史も、文化もなく、海抜ゼロメートルの埋め立て地に立てられた「タワマン」という名のコンクリートの建造物が、専門家のいうように100年後も価値を維持し、何ら問題を抱えていない住民が集まっているとは、私には到底思えない。

 

「乗り物酔い防止メガネ」もいいが、本業のクルマにもっと注力しては?

有効率95%!「乗り物酔い防止メガネ」のすごさ(東洋経済オンライン)

森口 将之 : モビリティジャーナリスト

 

 

 フランスの自動車メーカー・シトロエンが開発した乗り物酔い防止メガネ「シートロエン」の効果がすごいらしい。

 この「シートロエン」を解説する記事「有効率95%!『乗り物酔い防止メガネ』のすごさ」が8月19日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事によれば、欧州では1年前に発売し1.5万個以上が売れ、日本では今年5月の販売開始と同時に即日完売となったそうだ。

 ちなみに現在は、シトロエンオンラインショップに在庫はあるが、価格は税込みで16,200円と「特殊用途」のメガネとはいえ、「お高い」ようにも感じた。

f:id:kisaragisatsuki:20190819060813p:plain

シートロエンの外観。現在は通販可能。

 乗り物酔いしない仕組みについては、記事に概要が書かれてるので読んでもらうとして、最も興味を持ったのは、使用開始後10~12分で効果が出たあとは、「シートロエン」を外しても効果が持続する、という点。

 

 製品の画像を見ればわかると思うのだが、デザイン技術を誇りとするフランスならではというか、とにかく見た目のデザインが「奇抜」なのである。

 色は白いし、レンズは4つもある。目立つことは間違いない。このメガネをかけた状態で、長時間他人の前に顔をさらすには、個人的にはすごい抵抗感がある。ただ、記事にあるように10分ちょっとの使用で済むなら大きな問題にはならない。

 

 私自身は乗り物酔いへの耐性が強いので、経験した記憶はほぼないが、家族は車の後部座席に乗っていると、長時間になると大体気分が悪くなる。特にスマホなどを見ていると一発だ。

 

 私自身が効果を体験できそうにないので、家族向けに1つあってもいいかなと思ったが。16,200円は効果があるとしても「高い」と感じる。

 

 ちなみにAmazonでは、似たような製品が1799円から売っていた。

f:id:kisaragisatsuki:20190819061208j:plain

Amazonで売られているレプリカ

 商品説明を読む限り、「乗り物酔い防止」という仕組み自体は変わらないようなので、個人的には、安いレプリカ品のなかでも比較的レビュー評価の高い商品に絞って、買ってみて、その効用を家族に確認してみたいと思う。

 

 本来、こうした日常的な不都合を解消するグッズを開発するのは、日本の得意分野であったような気もするのだが、フランスの自動車メーカーの商品開発力もなかなかのものだと感じた。

 

 もっとも、それだけの実力があるならもっと本業のシトロエン車の対日輸出にも力を入れれば良いのにとも思う。

 日本自動車輸入組合の2018年度の輸入車新車登録台数速報によれば、シトロエン車の輸入台数は3,655台で第18位。トップのメルセデスベンツ(66,948台)の5%強に過ぎない。

 16,200円のメガネの利益率は悪くないだろうが、肝心のクルマよりもメガネで知名度が上がるという事態を、シトロエンのフランス本社はどう受け止めているのだろうか。

 

大江戸温泉リートの資産運用報告書がけっこう面白い

大江戸温泉リート投資法人(3472)の第六期資産運用報告書

 

 資産運用の一環として私は、株式などに投資をしているのだが、中でも対象銘柄のほぼ半数を占めているのがREITである。

 投資になじみのない方のために簡単に説明すると、REITとは「Real Estate Investment Trust」の略で、訳すと「不動産投資信託」となる。

 

 その仕組みを簡単に言えば、不動産投資に特化した特別会社を上場させて投資を募り、その資金で不動産を購入して、得られる賃貸料や物件の売却益を投資家に分配金という形で還元するというものだ。

 

 不動産投資をするなら「直接物件を購入して大家になればいいのではないか」と考えて、ワンルームマンションやアパート経営に乗り出す人も少なくないようだが、個人的にはオススメしない。

 というのも都内でワンルームを買えば千万単位で、アパート一棟ならさらに多額の資金が必要になる。自宅ではないので銀行からの融資の金利も高い。

 加えて、空き家の可能性、賃借人の不始末、設備の更新などのリスクを考えると、サラリーマンがワンルームの一室を購入するというのは言わば「地雷」を抱えるようなもの。しかもここ数年で物件価格が高騰しているので実質利回りも期待できない。

 

 対してREITは、複数の物件に投資するので分散投資になるうえ、マンションの他に、オフィスやホテル、商業施設など選択肢も多い。最低投資金額も圧倒的に低い。例えばETFとして東証に上場している「iシェアーズ JリートETF( 1476)」なら 2125円で購入できる(8/16現在)。

 

 REIT全体で見れば、利回りは4%を超える銘柄も結構あるので、分配金(いわゆる配当金)狙いの投資としても期待できることも大きなメリットだ。NISA枠で購入すれば配当金に課税もされない。もちろん株式のように市場で取引される金融商品なので価格下落のリスクはあるが。

 

 さて、話がだいぶ横にそれたが、今回のテーマはそのREITで私が投資している銘柄のひとつ「大江戸温泉リート投資法人(3472)」だ。

 

 今週、第六期の資産運用報告書が送付されてきたのだが、これが意外にも結構面白いのだ。

f:id:kisaragisatsuki:20190818063222p:plain

資産運用報告書の表紙

  他のリートは、総じて報告書に「決算の概要」「投資物件の説明」「今後の投資方針」あたりを、淡々とまさに「報告」しているだけで「まったく興味をそそられない」のだが、大江戸温泉は、内容の充実度が他社とは全然異なる。

 投資対象が「温泉・温浴施設」という個人利用者を対象にしているという側面はあるだろうが、少なくとも「読ませる」内容に注力しているのは間違いない。ちなみに同社の株主に占める個人の割合は98.3%である(5月31時点)。

 

 まず冒頭で、同社執行役員の今西氏と一橋大学准教授の岡本氏「余暇活用」についての対談を掲載。

 岡本准教授が「人が成長する場として余暇が非常に重要である」という学説を紹介、その余暇で最も重要なのは「観想」という概念で、これは大切な仲間や家族と語りあうことで、人生において本当に大切な時間を過ごすこと、と解説している。

 

 一方、今西氏は「大江戸温泉では、アクティブシニアが楽しそうに家族や仲間と交流していて、これが『観想』なのですね」と話を自社のビジネスに振っている。

 

 岡本氏は対談の最後で、「何も生産しない時間の中で、人が人らしい空間や時間を作ることが重要」として、そのための投資を今西氏に提案している。

 

 個人的には、大江戸温泉も巷に多数ある「スーパー銭湯」の宿泊施設の整備版だと思っているので、「観想」を考えて利用している人はほとんどいないと思うが、考え方としては面白いと感じた。

 

 報告書には、他にも「余暇活用のマーケット事情」などのコラムも掲載されているが、報告書の一部にちょっと違和感を覚えた部分があったので最後に指摘しておきたい。

 

 それは「トップメッセージ」として今西氏が業績などについて述べているのだが、相対的に業績が伸び悩んだ2施設について、「対策として個人客の集客強化策を実施していると聞いています」と書かれている部分。

 必要な対策を「聞いています」というのはトップの発言としては如何なものか。対策を「聞く」のではなく「実施して、効果も出ています」というのが投資家向けの発言としては正しいだろう。

 どこか事業への関心が「他人行儀」のように感じられる表現がやや気になった。

 

 とはいえ8月16日時点の分配金予想利回りは5.47%。今西氏も今期、次期共に2300円台を確保できると予想しており(前期は2390円)、当面は十分な利回りは期待できそうだ。

暑さを乗り切るTシャツは「ワークマンPlus」という伏兵もアリ

 お盆と台風10号が過ぎ去り、再び猛暑の時期となった。暑さには結構強い方なのだが、連日35度を超える暑さとなるとさすがにこたえる。

 

 こうも暑いと上の下着は「夏用のTシャツ」というパターンになるのだが、昨年までは「汗が乾きやすく、いつでもサラッと快適」を売り文句にするユニクロの「エアリズム」を定番にしていたのだが、今年の夏は強力なライバルが出現した(と個人的には思っている)。

 

 それは、今話題のワークマン、正確にはカジュアル品の品ぞろえが充実した「ワークマンPlus」である。

 建設作業員など現場向けの作業着では知られていたワークマンが、カジュアル商品を手掛けるようになり、女性を含む各層からその値ごろ感に加え、機能性と耐久性が評価されているらしい。

 

 ちなみに自宅の近くにはワークマンはあるが、Plusはないので、実際にどのような品揃えなのか、機能性Tシャツを比較してみた。

 まずはユニクロのエアリズム。

f:id:kisaragisatsuki:20190817040358j:plain

 商品の詳細説明で特徴として書かれている中で機能については、

・ドライ、接触冷感、抗菌防臭、消臭など快適機能が満載。

・ストレッチ性があって、風合いが良く、肌に心地よくなじむ。

 の2点。

 ちなみに画像の価格は990円だが、8月17日時点で790円に値下げしている。サイズは、XSから4XLまでの8サイズある(もっともサイズによって在庫切れも)。

 

 一方のワークマンPlusだが、Webサイト自体には商品掲載はなく、Webカタログをダウンロードして見ることになる。

 以下が、機能性Tシャツのメイン商品ページの一部。

f:id:kisaragisatsuki:20190817040427j:plain

 ユニクロの製品に近いのは、汗の吸収、蒸発機能を謳った左側の980円の方のようだが、右側の499円の商品にも「放熱冷感」を売り文句にしており、実際のところどの程度の差があるのかはよくわからない。

 

 両社の製品を比較して価格以外の大きな違いは、色の選択肢はワークマンPlusの方がカラフルで豊富だが、サイズ面では、ユニクロは全8サイズを揃えているのに対して、ワークマンPlusMから3Lまでの4サイズしかないこと。

 

 という訳で、自動車で最寄りのワークマンPlusまで出向いて、2種類のTシャツを購入してみた。店員さんによれば「Tシャツはサイズがやや小さめなので、普段よりひとつ大きめのサイズがおすすめ」とのこと。私の場合普段XLなので、3Lがちょうどのサイズとなる。

 

 で、実際に着た感触だが、2つとも生地は薄く、汗もすぐに吸い取って身体に張り付くこともなく、大きさな差はなかった。ということで499円の方が相当にお得ということになる。ユニクロ製品と比較しても性能に遜色はなかった。

 

 もっともユニクロが全国に819店 (2019年7月31日現在)を網羅するのに対して、ワークマンPlusは31店舗(Webサイトから)に過ぎないので、身近に店舗がある人は限られるだろう。Webサイトには一応「ワークマンプラスで取扱商品はワークマン店舗でお買い求めいただけます」とはあるが、商品数は限られるはずだ。

 店舗も関連会社のGUを含めて大規模店を全国に展開するユニクロに対して、ワークマンPlusでも一番多い神奈川、福岡で4店舗、東京には3店舗しかない。通販に対応しているとはいえ、現段階では販売力でユニクロのライバルにはならないだろう。

 もっとも、元々が現場向けの作業服がメインのワークマンと、若い世代向けが中心のユニクロは客層が異なるので、比較する意味はあまりないかもしれない。

 

 ただ、今年3月31日の東洋経済オンラインの記事「デカトロンを迎え撃つ『ワークマン』の戦略」によれば、「さらにカジュアル分野の展開を強化する方針だ。ショッピングセンターへのインショップを10店舗、路面新店を35店舗、路面店改装を23店舗、合計68店のWORKMAN Plusを出店する計画」となっており、勢いに陰りは見えない。

 また8月6日にはプレスリリースで「WORKMAN Plus の出店加速で20年3月末に167店へ」と表明している。

 

 また、実用性、耐久性の高い商品ラインナップに加え、原則的に朝7時に店舗を開店するなど、現場作業者の都合に配慮したワークマンの強みに、対抗できるショップがないのも事実。

 作業服という強力な商品群を抱えるワークマンが、その特徴を生かしたカジュアル商品を展開すれば、一定のシェアを確保するのは困難ではないだろう。

 

 ここまでワークマンPlusを評価する内容を書いてきたが、一点だけ僭越ながら個人的な厳しい意見を述べたい。

 それは、店頭の前面に展示しているオリジナル商品の「空調風神服」。これはジャケットの内部にバッテリーとファンを装着して、服の内部に直接風を送って涼しくする、というシロモノなのだが、ジャケットは3900円からあるのだが、肝心のファンシステムが高いのである。

 カタログでは10600円となっているが、店頭では12000円の値札が付いていた。

 ちなみにAmazonでは、似たような商品がジャケット・ファン・バッテリーの組み合わせで6999円からある(8月17日現在)。まあ耐久性や機能面で違いはあるだろうが。

 

 機能的には面白い商品だけに、低価格を標榜するワークマンPlusにおける品揃えとしては、異様な「高価格商品」として気になった。

 

 

銀行の再生は「得意分野」を生かすべき

あおぞら銀「メガでも地銀でもない」戦略のわけ(東洋経済オンライン)

藤原 宏成 : 東洋経済 記者

 

  経営破綻した日本債券信用銀行を前身とする、あおぞら銀行の社長インタビュー「あおぞら銀『メガでも地銀でもない』戦略のわけ」が8月26日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
 
 個人的には、同じ元長信銀で米系ファンドに買収された新生銀行がまず頭に浮かんだ。同行は当初振込手数料の無料化、ATMの24時間営業など新サービスを展開、個人的にも期待感もあって利用していたが、その後のサービスの急低下などでイメージが悪化したので、あおぞら銀行にも、やや警戒感をもっていたのは事実である。
 
 記事を読むと、あおぞら銀行は新生銀行とは異なり、独自のポジションを生かし、得意分野に特化したビジネスを展開、社長が「メガバンクでもないし、地方銀行でもない」言うように、ある意味中途半端な立ち位置を逆に生かす戦略を取っていることが分かる。ちなみに同行の実店舗は本店を入れても20しかないが、全国の主要都市をカバーしている。
 
 その特徴だが、まず50代以上が8割という顧客構成、社長は「もう少し若い世代にアプローチしないと尻すぼみになる」としているが、同行のWebサイトにアクセスすると、真っ先に目に入るのは「Brilliant60s(ブリリアント・シックスティーズ)を、ごいっしょに。」という大きな広告だ。
 
 Webサイトによれば、「アクティブな世代を、あおぞら銀行は、Brilliant60s(ブリリアント・シックスティーズ:“輝ける60代”)と定義し応援していきます」とあり、対象者には期間一年ながら半年複利で年率0.3%という定期預金を設定している。これはメガバンクなどの30倍の水準である。ちなみにインターネット支店の普通預金の金利も年率0.2%で、こちらは200倍だ。
 
 同業他社に比べて極端にサービス内容がいい場合、「何かウラがある」と考えるべきなのは投資の世界では常識なのだが、同行では経費率が他行より低いので、「他の経費を削れば預金に金利を多少上乗せできる」と社長は回答している。
 
 とは言え、30もある有人店舗も維持費用もバカにならないと思うのだが、そこは全店夜8時まで営業、法務、税務の資格を持つ行員を配置して、事業継承や相続といった「込み入った」内容に対応することで、富裕層などの顧客を獲得する構えだ。
 
 記事よれば、GMOグループと組んで「法人向け決済ビジネス」を手掛けたり、いろいろと手は打っているようだ。
 
 将来の大きな課題は、現状の顧客層に固執していては、社長が言うように「もう少し若い世代にアプローチしないと尻すぼみになる」ことだろう。
 現在のターゲット顧客層から預金は集められて、相続対策などで手数料などを稼いだとしても、この層はいずれさらなる高齢化で減少するのは確実だからだ。
 
 ただ、個人的には同行は他の地方銀行に比べれば、優位な立場にあると思っている。というのも20ある店舗のうち、都内に7店舗、千葉、神奈川に各1店舗、名古屋、関西圏に5店舗と大都市圏に13店舗、インターネット支店を含めれば14とほぼ過半数を人口の集中する都市に配置しているためだ。
 
 現在の主要顧客である高齢・富裕層は、いずれ相続で資産を子供世代に譲ることになる。その譲られる子供が働き、生活しているのは大都市圏がほとんどだ。
 ということは、地方に住む親世代から相続で子供が得た資産を、実家のある地方銀行など地元金融機関から、相続人が住む都市圏の銀行に移管される可能性が少なくなる。
 いったん親世代から預かった資産は、そのまま子世代の同行の口座に移るだけのことになる可能性が高い。

 もっとも、現在のような差別化したサービスが維持できていればという条件はあるだろうが。
 
 話はそれるが、この社長、東大法学部を卒業し日本債券信用銀行に入行したプロパーである。インタビューにあるような事業展開を打ち出せる能力をもっと生かす機会が当時の本人にあれば、日債銀も破綻せずに済んだのではないかとも思った。