30歳までに1000万貯めた人が語る「貯蓄5鉄則」(東洋経済オンライン)
松崎 のり子 : 消費経済ジャーナリスト
老後資金2000万円問題が世間を騒がすなか、7月9日の東洋経済オンラインに「30歳までに1000万貯めた人が語る『貯蓄5鉄則』」という記事が掲載された。
記事のテーマが「2000万円足りないこと」を問題視しているのではなく、「どうやって1000万円を貯めるか」になっている点は、問題提起に留まらず、解決策を提案している点で評価できる。
記事中に「立派なのは金額だけではない。そこに至る道程で、貯蓄習慣というか貯蓄思想というか、そういうものが備わることに価値がある」と指摘しているのも正論だ。
ただし、タイトル「貯蓄5鉄則」は内容とは異なる。書かれているのは「貯蓄NG5鉄則」なのだ。それはともかく、その5大NGについて一言述べたい。
>>NGその1 ボーナスを給与口座に入れっぱなしにする
これは正解。給料と別口座にすることで引き出すのに手間がかかるので、自然に貯まるようになる。会社によってはボーナスの振り込みを別口座にできるので活用すべき。
>>NGその3 老後資金を最優先で貯める
最優先は悪手だが、若いころから積立NISAやIdecoなどで税制優遇のある積立投資クセをつけるのは悪くない。要は程度の問題で月額2万円なら年間24万円、4年で約100万円になる(元本ベース)。
>>NGその4 資産形成のためには投資するべきだと考える
これは微妙。記事中に「3%リターンだと月額3万4000円、貯蓄なら5万5555円で劇的な大差はない」しているが、2万円強は若者にとって「大差」である。投資も無理のない範囲でするべきでこれも程度問題かと。
>>NGその5 何があっても貯蓄に手をつけない
これには同意。生活費をカード払いならまだしもキャッシングなどで賄う一方で、積立貯蓄を続けるのは借入金利が受取利息を上回るので本末転倒。カード払いが常習化している家計ならまずは支出の見直しが最優先だ。
これは記事には直接関係ないのだが、著者の肩書「消費経済ジャーナリスト」というのがよくわからない。公的資格である「消費生活アドバイザー」でも「ファイナンシャルプランナー」でもない訳で、確かに資格を持っているから100%安心できるものではないが、この「自称肩書」がどの程度信頼度があるのだろうか。