如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

台風19号、事前準備は進んだがやはり「犠牲者」は避けられない

 この記事を書いている12日午前5時30分現在、東京では「猛烈」な雨と風が襲い掛かっている。

 11日には気象庁の報道担当者がテレビの会見で、「(犠牲者1200人を出した)昭和33年の狩野川台風並みの規模」の可能性を指摘したこともあって、マスコミを通じて、全国各地で過去にない規模の災害に向けた取り組みが事前に行われたことは良かったと思う。

 ただ、こうした「計画的な準備」にも関わらず、それなりの「犠牲者」は出るのだろう。まだ「台風が猛威を振るうのはこれから」という12日朝の段階で、不謹慎かもしれないが、これは避けられないと思う。

 

 東京に住んでいる者として気になるのは「多摩など丘陵地区での土砂崩れ」と「都心特に江東地区の水害」の2つだ。気象庁は13日午前0時までの24時間予想雨量は、関東甲信で600mmと想している。

 過去にない規模の雨量によって、通常なら被害は考えられないような地形の「丘」や「崖」が崩れ落ちた場合、その被害は甚大だ。特に多摩地区は「多摩ニュータウン」などの傾斜地での大規模住宅開発もあり、影響が懸念される。

 

 もう一方の江東地区(江東5区とも言う)では、最大の問題は、大潮の時期に暴風雨に襲われることで「沿岸部が高潮の被害を免れない」こと。最大では10m規模の高潮になるとの観測もあり、タワーマンションの地下が浸水すれば、エレベーターを稼働させるモーターや給水用のポンプなどの電源部は被害で稼働できないはずだ。

 地震の際と同じように、高層マンションは「陸の孤島」になりかねない。

 また、都心部では雨量の処理能力は一時間当たり50mm程度とされている。24時間続いた雨の総量が500mmを大きく上回る規模の雨は、この処理能力を大きく超えている。増水した河川からという「外部」からと、雨水の処理能力オーバーという「内部」からの浸水のダブルパンチで、被害は過去にない規模になる可能性もある。

 

 住民の台風への警戒感から各家庭が「事前準備」を進めたのは評価できるが、今回の台風は家庭や行政が対応できる規模を大きく超える規模の「災害」をもたらすだろう。

 

 台風が過ぎ去った後に明らかになる被害規模ができるだけ小さいことを望みたいが、冷静に考えれば少なからぬ犠牲者は覚悟した方がいいだろう。

 被害が出る前から言うべきことではないのかもしれないが、残念ではあるがこれは「避けられない」事実になると思う