如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

東京都が作成したシニアの生き方ハンドブック「東京50BOOK」

定年本初心者にはオススメ、もちろん無料で配布中

 

 今年もゴールデンウィークが目前に迫ってきた。昨年同様に新型コロナウイルスの影響で、旅行などの休暇計画を見送った方々は多いだろう。緊急事態宣言の発令もあって、東京都の小池知事は「都外への外出は控えるように」と飛びかけているうえ、大規模商業施設は休業中でもあり、せっかくの休暇なのに世の中に盛り上がる機運は皆無だ。

 かく言う私もリモートワークの真っ最中で、平日、休日を問わず外出を楽しむ気分にはどうやってもならない。といってぶつぶつ愚痴っていても仕方がないので、せっかくの休みを使って何をしようかと考えていたのだが、先日野暮用で市役所に行ったら1階のロビーで面白そうな資料を見つけたのでお伝えしたい。

 その資料の名は「東京50―フィフティ・アップ―BOOK」である。タイトルから想像できるように50代以上を対象にしたシニア向けの生き方を書いたガイドブックだ。総ページ208で、厚さは1センチ近いしっかりとした装丁の「本」である。一見すると書店で980円ぐらいで売っていてもおかしくないぐらいの外見だ。もちろん無料で配布している。(PDF版、電子書籍版もダウンロード可能)

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 作成したのは、東京都福祉保健局というお堅い部署。どういう経緯でこの本を発行することになったのかは不明だが、その趣旨は表紙裏にある文章「自分らしいシニアライフ、50歳からデザインしませんか?」という言葉に集約されるだろう。簡単に言えば、都民の高齢化に伴い、退職者などが増える中でシニアの無気力、孤独、孤立などによる様々な問題を回避するためのアイディアをまとめたものだ。

 

 章立ては大きく分けて

   1.これからのライフどうしたい?

   2.夢を実現するために50(歳以上)からできること

   3.未来の私たちはどうなる?

   4.健康長寿のために

   5.安心&元気に暮らしたい

 の5つのパートからなる。

 

 パート1では、チャートにより自分のタイプを「社交派」「独立独歩型」など4つに分類、それぞれのタイプ別に「仕事」「趣味」など4種類の生き方をアドバイスしている。

 パート2では、4種類の生き方の具体的な説明を、パート3では未来の見えるキーワードとして「少子高齢化」などに言及、パート4では健康寿命を延ばすためにできること、パート5ではこれに伴う補足説明などが書かれている。

 

 さて、ここでAmazonの書籍レビューで数多くの「定年シニア本」を扱ってきた者として忌憚ない意見を言わせてもらうと、「物足りなさはあるが、これまでシニア本を読んだことがない人には最初の一冊としてはオススメ」ということになる。

 というのも、多くにシニア本にあるがちな著者の「楽しく明るく生きるべき」的な押し付けがましさがあまり感じられない客観的な内容であることと、本文中や巻末に書かれている行動するにあたっての具体的なアプローチ先が記載されていて、便利で参考になると思うからだ。そして何よりタダだし。

 何かのアンケート結果からの引用だとは思うが、様々な場面でのシニアの体験コメントが多く取り上げられているのも、読者には身近に感じられるのはないだろうか。

 

 コロナ禍で家にいる時間が増えた中高年は多いはず。そのうえ何処への旅行はおろか外出すらままならない状況だけに、このGW休み期間中にちょっと先の話であったしても、シニアとしての生き方を学んでおくことはいずれ役に立つと思う。

 

 個人的には、この本を読んで最低限のシニア世代の生き方を知った後は、正反対の論調となる究極の自己主張型定年本「定年バカ」を読まれることを強くオススメしたい。この両極端の本2冊を読むことで、自分のシニアの生き方に対する立ち位置がある程度見えてくるはずだ。