如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

ネット通販はヨドバシとAmazonで事足りる。税別価格表示の他社は論外

 いまだに税別表示を続ける家電量販店の愚策

 

 私はネット通販をけっこう頻繁に利用するのだが、定番のAmazon(プライム会員)に加え、ヨドバシカメラの運営するヨドバシ.comを使うことが多い。というかこの2社で大抵のことは事足りる。

 5月3日付けで雑誌プレジデントのネット版PRESIDENT Onlineに、「ペン1本でも無料で運ぶヨドバシの不思議」という面白い記事が出ていたので紹介したい。

 

 内容を要約すると、ネット通販を早い時期に始めたヨドバシカメラは、蓄積したノウハウ、自社配送網の整備などで競合他社よりも優位に立っている、ということだ。

 

 Amazonが書籍の通販から始めたのに対して、ヨドバシは家電から始まったという違いはあるが、現在はどちらも日用品や医薬品の販売も始めている。オリジナルブランドの存在もあって品ぞろえではまだAmazonが優位だが、PRESIDENT Onlineの記事にあるように、配送料が購入金額にかかわらず無料という点ではヨドバシに軍配が上がる。

 

 ただ、本文中に「ヨドバシを昔から利用している優良顧客は、(中略)競合他社と価格を比較しながら買うこともほとんどしないのではないだろうか」とあるが、これには異論がある。

 家電製品を例にとると、ネット通販歴15年以上の私の行動パターンは、とりあえず対象商品の最安値を「価格.com」で確認し、大差がなければAmazonかヨドバシで購入、というものだ。

 

 ちなみに家電に限らないのかもしれないが、この2社の価格は常に相手を意識して変動しているように見える。ヨドバシとAmazonのポイントを加味するとほぼ同じ価格というものが少なくない。つまり両社は価格でも激しいつばぜり合いをしており、それは顧客の行動パターンを意識しているからだろう。

 

 話は変わるが、私がヨドバシとAmazonを優先的に利用するのには大きな理由がある。

 それはどちらも消費税込みの価格表示を行っているという事実だ。ちなみに他の家電量販店のネット店を見ると、ヤマダ電機は税別、税込みの併記だが、文字自体は税別価格の方が大きい。ビックカメラに至っては税別表示のみである。

 そもそも消費税の価格表示については、消費税法第六十三条で「事業者は(中略)当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない」と定められており、税込み表示が大原則なのである。

 とはいえ税率の変更による店の負担も大きいので、2021年3月までは特例として「税別表示」も認めるというだけの話なのだ。

 

 個人的には、この消費税の表示に対するショップの姿勢は、顧客優先か自社優先かというスタンスの違いを反映したものだと思っている。

 商品を購入する消費者にとっては「要するにいくら払えばいいの?」が最大の関心事であり、これが明確にわかる「税込価格」の方が圧倒的に便利なのだ。

 

 「税抜価格」を採用しているショップは、手間の問題もあるだろうが、それよりは「(見かけ上)1円でも他店より安く表示して客の関心を惹きたい」という浅はかな意図が見え隠れしている。

 顧客もバカではないので、自分で税額を計算してその結果を他店と比べる手間を考えたら、最初から「税込価格」の店で買うという流れになるのは確実なのだ。外税方式の販売店はそろそろいい加減に顧客を見下した表記を改めた方がいい。このままでは顧客にまったく相手にされなくなる。

 

 ちなみにAmazonとネット通販で双璧とされている楽天も、過去には「税別価格」ばかりだったが、最近は「税込価格」も増えており、まともな顧客志向に路線を変更しているようだ。

 

 いずれにせよ、「税込価格表示」「配送料無料」という2大戦略を看板に顧客志向を強めるヨドバシ.comの快進撃は今後も続くことは間違いないだろう。