如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

こだわりのおやじ、「メシ」の持論を語る

定年からの 男メシの作法(SB新書)

東海林さだお

 

 タイトルは「定年からの男メシ」だが、内容は「中年以降の一人メシ」といった方が近い。その意味では昨年10月に出版された「ひとりメシの極意 (朝日新書)」とほぼ同じ方向性の本である。

 

 巻末に引用した「初出単行本一覧」の記載があり、そのほとんどが朝日新聞社からの出版本なので当然ではあるのだが、さすがに被っている項目はないと思う(多分)。

 

 先に出た「ひとりメシ」との違いを出すためにタイトルを「定年からの」としたようだが、内容は「中高年の男性に少しでもメシの時間を楽しんでもらおう」という点で同じで、なぜ二冊目が朝日新書ではなくSB新書なのかはよく分からない。

 

 個人的に本書で面白かったのは「再びがんばれ! デパートの大食堂」(p33)。
 私が小学生の頃にはデパートの最上階には必ずあって、家族で買い物の際には「お子様ランチ」が無類の楽しみだったが、現在大食堂はほぼ絶命したらしい。


 当時の食券制度やメイド姿のウエイトレスさんの話などには「言われてみればそうだったよなあ」という懐かしさを感じた。ちなみに私個人には、若いウエイトレスさんがテーブルで食券を片手でパチンと切り取る姿がすごくカッコよかった、という記憶が鮮明に残っている。

 

 最近たまたま日本橋三越に行く機会があったので、食堂(大食堂ではなく特別食堂というらしい)の近くまで行ったことがあるのだが、入り口で2人のおばさんが待ち構えていて、一度中に入ったら注文せずには出てこれない雰囲気を醸し出していたうえ、料理も結構な値段がしたので素通りしてしまった。


 あとでメニューを調べたら「お子様ランチ」は2160円だった。気になる人は検索してもらうといいが、写真を見る限りお値段分の価値はなさそうにも見える。まあ価格のかなりの部分を食材以外が占めているためだろうが。

 

 繰り返しになるが、「ひとりメシの極意」が気に入った読者なら、本書も楽しめると思う。