如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

小型ミニバンはシエンタよりもフリードがオススメ

11月のモデルチェンジで安全装備はさらに差が拡大か

 

 最近、小型ミニバンの双璧トヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」に関する記事を立て続けに見た。シエンタは昨年9月にマイナーチェンジをして、2列シートの「FUNBASE」が追加、安全装備が機能追加された。一方のフリードは2016年のフルモデルチェンジ以来性能に関わる変更はない。

 

 ということで、この時期に両車のオススメないしは紹介記事が出る理由がよくわからないのだが、個人的には今乗っているミニバンがやや大きいので、次の車検でどちらかに乗り換える予定なので、両車の動向には関心を寄せている。

 

 まずは715日付けでビジネスジャーナルに掲載された「トヨタのミニバン「シエンタ」は今が買い時!価格割安&燃費良い小回り利く!」という記事。

 内容はシエンタをほぼ絶賛するというもの。どういう意図があるのかわからないが、執筆者の渡辺陽一郎氏には「ユーザー目線に立った解説」を評価していただけに、ちょっと違和感があった。

 記事の最後ではフリードとの比較にも若干触れているが、気になったのはシエンタには「今後2,3年は大きな変更はない。購入を先延ばしにする必要はなく今が買い時」としていること。

 確かに昨年の仕様変更で安全装備に昼間の歩行者検知機能が追加になったとはいえ、フリードにはある時速30㎞以上で適切な車間距離を保つためACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉機能がない。一時停止などの標識認識機能もだ。

 逆にシエンタが安全装備関係で優れているのはオートマチックハイビームぐらいだ。

 

 クルマ情報誌ベストカーの最新号の「遠藤徹の地獄耳スクープ」に書かれているが、フリードは11月にマイナーチェンジして安全装備を改良する予定だそうだ。おそらく軽のNBoxには装備されている「後方誤発進抑制機能」「オートマチックハイビーム」が追加されるだろう。しかも最近流行りのSUVテイスト車も設定されるらしい。トヨタは現行のままで競合力を維持できるのだろうか。

 

 もうひとつ指摘したいのが、荷室の床面地上高について。渡辺氏はシエンタは505mmと低いとしているが、2列シートのフリード+はわずか335mmである。大きくて重い荷物を載せることが多い荷室で地上高170mmの差は大きい。

 

 もうひとつの記事は、同じく17日付けのWebの「くるまのニュース」で、タイトルは「国産ミニバン買うならどっち?トヨタ『シエンタ』とホンダ『フリード』の違いとは」だ。

 こちらでは、室内長はフリードが3045mm(シエンタは2535mm)と余裕がある一方で、3列目のシートの快適性はシエンタの方が自然だとしている。

 一方、燃費ではハイブリッド車をJC08モードで比較(フリードには新基準WLTCモードの記載がない)し、シエンタ優位と軍配を上げている。

 もっともこちらも安全性能については、「同党の先進安全パッケージを標準装備している」と記載、先に述べたような両車の性能に違いがあることに触れていない点で不十分だ。

 記事では、両車はスペックやパッケージでは優劣がつけづらく、実際の使い勝手や乗り心地が最終的な決め手になる、としてどちらにも軍配を上げていない。

 

 以上の2つの記事を読んだ結論としては、11月のフリードのモデルチェンジを見てから判断しても遅くない、ということだ。

 加えて言えば、同じクラスのホンダ・フィットは今秋にフルモデルチェンジするのが確実視されている。最大の注目点はハイブリッドの仕様がこれまでの1モーターのi-DCDから2モーターのi-MMDになること。i-MMDは低速域はモーターだけで走り、高速域ではエンジンだけで走行するので燃費が格段によくなる。

 フィットとフリードは兄弟車のようなものなので、フィットに搭載された最新機能はフリードにも搭載されるだろう。フリードの次回のフルモデルチェンジ(2020年の見込み)まで待つというのが現時点ではもっとも「正解」かもしれない。

 

 ただシエンタの安全装備には同情すべき点もある。それはひとつ上のクラスのミニバンになるヴォクシー、ノアなどにもACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉機能、標識認識機能はいまだに搭載されていないのだ。

 商品戦略的にも、下位のモデルに先に先進機能を装備するという選択肢はトヨタにはないだろう。安全装備では相対的に不利な現時点でも販売台数ではフリードに勝っている訳で、あえて上位ミニバンを不利な設定にする必要性はない。

 

 とはいえ今年、来年とフリードの攻勢を受けて、シエンタが販売を維持できるかも不透明だ。

 折しも、自動ブレーキについては、「国際欧州経済委員会(ECE)が2019212日、日本や欧州連合(EU)など40カ国・地域で「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」の導入を義務付ける規則の原案に合意したと発表しました。自動ブレーキの義務化については、2020年はじめに運用開始予定となっています」と伝えられるように、装備の標準化と機能向上はもはや不可欠とも言える状況になっている。

 

 トヨタも、ミニバンを含めて安全装備の拡充については、グループ企業を含めて全社的に計画を前倒しにするのは避けられないはずだ。