如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

空き家の売却方法に変化 個人間売買が増加

創造的!「空き家」巡る奇想天外ビジネスの実態(東洋経済オンライン)

中川 寛子 : 東京情報堂代表

 

 平成30年の総務省「住宅・土地統計調査」によると、空き家は849万9000戸、総住宅数に占める空き家率は13.6%と過去最高を更新した。7件に1件は空き家なのである。

 

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 よく知られるように全国の空き家問題は愁眉の課題となっている訳だが、これらの空き家をビジネスとして生かしている事例を紹介する記事「創造的!『空き家』巡る奇想天外ビジネスの実態」が12月5日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 著者は東京情報堂代表の中川寛子氏。リクルート社の住宅情報誌などの編集を外部スタッフとして担当、その後All Aboutの住宅ガイドとしてネットデビューし、現在の住宅関連情報を各種メディアで扱う事業を手掛けているようだ。

 

 記事の内容を簡単にまとめれば、「売れないと思われている不動産にも工夫次第で買い手はいる」ということを紹介する内容と言えるだろう。

 

 これまでにも東洋経済オンラインでは、「空き家」ビジネスを取り上げてきたが、本記事の特徴はその紹介事例が多いことである。具体的には、

  1. 売りたい人、買いたい人が直接やりとりをする掲示板「家いちば
  2. 100均という価格設定で話題になったのが空き家ゲートウェイ
  3. 温泉付き1円別荘を売る会社として有名になったのが横浜市にある不動産会社リライト
  4. 参加型クラウドファンディング「ハロー!リノベーション
  5. 2017年に創設された小規模不動産特定共同事業者登録(平成29年に改正)

 と5つもの事例が紹介されている。

 

 もちろんページ数の制約はあるので、各内容について詳細までは書かれていないが、ビジネスの概要は理解できる。

 

 どの事例にも共通するのは、世間一般からの常識では買い手が付かず、不動産屋からも仲介を断れるような物件を手掛けていること。

 1の「家いちば」では、買い手と売り手が相対で交渉、間に不動産業者が入らないことで、売買が成立しやすくするという特徴がある。これは2の空き家ゲートウェイも同じ仕組みだ。

 

 宅地建物取引業法により、不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料には上限額があり、取引額200万円以下の場合、報酬は取引額の5%以内。また、低廉な空き家等の売買などで通常と比べて現地調査などの費用が発生する場合は、上記の上限額と現地調査などの費用を合計した額(ただし、上限は18万円+消費税)まで、となっている(全日本不動産協会)。

 

 これは不動産会社にとっては「おいしい物件」ではない。彼らの手掛ける仕事の手間は物件価格による違いはなく、価格が大きいほど「旨味」は大きい。不動産会社の店頭で物件選びを体験された方はお分かりだろうが、より高い物件を勧めてくるのはそういう理由からだ。

 

 もちろん物件の調査や契約書の作成、不動産の移転登記など、不動産屋まかせだった各種事務作業はすべて自分で手配する手間は生じるが、これでも売り手には「塩漬け」になっている物件が売れる可能性が出てくるし、買い手は自分の目で物件を調べて価格交渉も売り手と直接できるというメリットがある。

 あくまで現在の不動産会社の成功報酬も取引額の5%以内と「上限」が定められているだけで、値引き交渉は可能ではあるが、現実には厳しいだろう。売買の当事者が自由に価格を決められる魅力は大きい

 

 このように言う私自身、空き家ではないが現在の東京郊外の自宅を「個人間売買」で購入したという経歴を持つ。

 ちなみに私は不動産とはまったく関係のない仕事をしているサラリーマンだが、趣味で取った「宅建士」の資格を持っている。

 そのため不動産業者の仕事の実態を知っており、「その手数料と仕事ぶりが見合っていない」というのが自分で取引した最大の要因だが、この個人間取引で「仲介手数料200万円程度」を節約して購入することができた。

 不動産登記については私は安全性を考慮して司法書士に依頼したが、やろうと思えば自分で移転登記することも可能だろう。実際に法務局には「無料の登記相談所」が設けられていて、登記書類の書き方を手取り足取り教えてくれる。契約書も雛型は容易に入手できる。

 

 現在は、買い手が付かない「空き家」が対象になっているが、この流れが買い手が付きそうな「空き家」にまで進めば、「個人間取引」が増加する可能性は少なくないように思う。