今の職場でなぜか「結果が出ない人」が陥る盲点(東洋経済オンライン)
このブログでは、原則として東洋経済オンラインなどの記事を題材にして、個人的な見解を書くということを基本にしているのだが、今回は数ある東洋経済オンラインの記事でも、見出しと内容の組み合わせが「しっくりこない」代表のような記事を見つけたので、あえて取り上げたい。
記事は12月10日に「今の職場でなぜか『結果が出ない人』が陥る盲点」というタイトルの記事。
このタイトルから読者が想像するのは、仕事で結果を出せない人の原因と対策だと思うのだが、その内容はかなり「没個性的」というか「常識的」というか、何とも、新鮮味や説得力に欠けるのである。
著者は、クリエイティブディレクターという肩書の熊野森人氏。デザイン、芸術系の学校で学んだ後、独立し、京都の大学で講師も務めているようだ。
記事前半は、仕事に「向いている」「向いていない」の判断基準を以下の3つに分類している。
- 周りの人の判断
- 周りの人との比較による自己判断
- 周りの予測との比較
の3点だ。
そしてこれらは「他人が褒めているか」「自分で褒めているか」に分類されていて、「まずは今の環境でほかの人を褒めてみる」ことで、職場を「褒める文化」に変えていくことができる、としている。
ことわざにある「情けは人の為ならず」の「情け」を「褒める」に変えたもので、ブーメラン効果で、人を褒めれば自分に返ってくるということだろう。
著者の言いたいことは分からないでもないが、東洋経済オンラインの読者の主力は、中堅以上のビジネスパーソンでることを考えると、この内容は読者には「稚拙」というか「貧弱」でしかない。
「何かを得たければ、まずは先に与えることでうまくいく可能性は格段に上がります」という解説も、「いまさら何を言っているのか」というのが大多数の反応ではないか。
記事の後半のテーマは「空気」。
「あまりにも合わせすぎると、それは没個性となってしまいます」、「自分の情報を出していったほうが、いいコミュニケーションがとりやすくなるものです」としているが、これも「いまさら感」が強い。
著者は自分を掘り下げることによって、「なぜ好きなのかを自身で納得して発信できるようになると、人にもその好きを共有しやすくなり、相手もあなたの好きを認め、応援してくれるなんてことにもつながります」と書いているが、どうにも発想が「お花畑」に感じるのだ。
キモは3ページ目の半分以上を占めている「自分を掘り下げるためのステップ」なのだが、これも読んでみると、「当たり前のことを当たり前に書いている」だけなのだ。
記事の最後は「人を巻き込むコミュニケーションにチャレンジしてみてください」で終わっているが、これは巷でよくある「自己啓発セミナー」の掛け声とほぼ同じである。
繰り返すようだが、本記事のタイトルは「今の職場でなぜか『結果が出ない人』が陥る盲点」である。以上の内容からどこかに「盲点」を感じられるだろうか。
東洋経済オンライの記事は、大部分は参考になることが多いのだが、本記事に限れば「掲載に値するまでの水準」に達している内容とは思えない。
まあ、編集サイドにも「何かとしがらみ」があって、掲載せざるを得ない状況にあるのかもしれないが、今回ほど「この記事を読むなら、別の記事を読めばよかった」と思ったことはなかった。
ならば、今回のようなブログを書くのは「もっと時間のムダではないか」と問われれば、返答のしようないのだが。