「財政健全度」全国トップ400自治体ランキング(東洋経済オンライン)
東洋経済『都市データパック』編集部
これから新居を構えようと考えている人にとっては、駅からの距離や通勤時間の短さ、もしくは託児所の有無などを優先的に考える人が多いようだが、実は住むことになる自治体の現状、特に財政力というのは大きな要因だ。
というのも、自治体の財政が厳しければ社会福祉や公共施設の充実に使える予算は少なく、子育て世代や高齢者にとって切実な問題になるからだ。
ちなみに私の住む自治体では予算の半分以上を社会福祉(民生費)が占めている。
こうした自治体の財政力に注目した自治体のランキングの記事「『財政健全度』全国トップ400自治体ランキング」が7月30日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
前回、同様のランキング記事「本当に就職に強い大学」ランキングトップ150」について、「ビジネス誌のランキング、コンマ数パーセントの違いに意味はあるのか」という内容をブログで書いたが、今回もランキングの仕様自体は同じである。
まあ客観的な数値データを使って機械的に計算するのだから仕方がないのだが、それでも今回のランキングを見ると、都市部の偏差値では58台以下に各10市以上が軒並みランク入り、しかも丁寧にも小数点以下3位まで掲載している。計算結果の数値と自治体のランク評価は必ずしも一致しないと思うのだが。
ただ評価できるのは、冒頭のランキングの解説を上位2市に限定していて、先の就職率ランキングのように「こじつけ」のようなランク順位の解説をしていないこと。
あくまで素材を提供し、判断は読者にまかせるという姿勢は評価していいと思う。
とはいえ、このランキングを見てその「傾向」をすぐに把握できる人は少ないはずだ。
個人的な感想を言えば、都道府県別のランク入りした「市」の数と、その都道府県の市の総数に占める割合などがあれば、より状況を理解しやすかったと思う。
加えて言えば、上位200位だけではなく、下位200位も掲載してほしかった。ちなみに東洋経済が販売している「都市データパック」には全市町村の下位ランキングも掲載されているようだ。
データをあまり公開すると売り上げに影響するのを危惧しているのだろうが、住宅購入予定者にとっては「マイナス情報」も貴重なデータである。
次回のランキングでは東洋経済新報社の「良心」に期待したい。