如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

金銭感覚に欠ける配偶者は「家庭の不幸」という結果しか生まない

過労による異動で収入減の夫を罵倒、39歳自己チュー妻がもたらす不幸(ダイヤモンドオンライン)

横山光昭:家計再生コンサルタント

 

 夫の仕事や健康状態を無視して「住宅購入」という目標しか妻の頭にはない。給与が削減されたにも関わらず、節約、パート勤務などの家計対策に非協力的――こんな危機的な状況にある家計の相談を受けた家計再生コンサルタント横山光昭氏の記事「過労による異動で収入減の夫を罵倒、39歳自己チュー妻がもたらす不幸」が13日付けのダイヤモンドオンラインに掲載された。

 

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 登場する家族は、42歳の会社員の夫と39歳の専業主婦の妻、8歳の子供の3人構成。内閣府の男女共同参画局の調査によれば、共働きの世帯が平成10年以降増え逆転したとはいえ、まだ700万世帯を超える専業主婦世帯が存在する。夫が家計の管理をすべて妻に委ねているというのも、少数派になりつつあるだろうが一定数いるだろう。

 

 この夫婦が相談に訪れた理由は、「住宅購入」という目標があるものの一向に貯蓄ができないなか、夫が過労で倒れて残業の少ない部署に異動となり、月収が42万円から31万円へと激減したこと。

 

 著者の横山氏は、「節約」と「収入増」の両面から各種提案をするが、妻は様々な理由を言ってまったく聞く耳を持たない。夫は収入減という「弱み」があるので、何も言えない状態。

 しかも妻の住宅購入熱は一向に冷めることがないどころか、目星を付けていた8000万円の都内戸建てを何とかして購入できないか考えを巡らせる始末。

 

 まあ、妻がどうにも非現実的な「夢」に取りつかれて、将来の家計に対する冷静な判断ができていないのは明白なのだが、想像するに周囲の家庭が相次いで住宅を購入したり、超金利下で購入可能な物件が増えたことも影響しているのだろう。

 

 ここは客観的に8000万円の物件を購入した場合の住宅ローンシミュレーションを行ってみた。利用者の多いフラット35を手掛ける住宅金融支援機構のWebサイトでは、返済方法について「借入金額」「現在の年収」「毎月の返済額」の3つのポイントからシミュレーションが可能だ。

 

 登場する家庭の場合、借入金額は頭金を1000万円いれたとして借入額は7000万円。これにフラット35で融資率9割以下で最も多い金利である年率1.270%で借入期間35年で計算してみた。

 結果は、毎月の返済額が20万7000円、総返済額は8675万円だ。収入が月31万円なのだから返済比率は66%となる。しかもこの金額には管理費、修繕積立金、固定資産税は含まれていない。これらを計算に組み入れるとざっと見ても毎月の返済額は25万円を超えるはずだ。こうなると返済比率は80%になる。

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  ちなみに住宅・不動産の情報サイトSUUMOによれば、「金融機関の返済比率(返済負担率)の審査基準はおおむね30~35%程度」とのこと。返済比率80%というのがいかに無謀かがわかる。ちなみに夫の年齢は42歳だから35年ローンを組むと返済完了となるのは77歳。今後定年延長などが実施されたとしてもせいぜい70歳まで、しかも減額が必至とされる公的年金収入から毎月20万円を支出するのは不可能だろう。

 仮にこのまま住宅購入をすれば、将来の自己破産もしくは自宅の任意売却は間違いなしの典型的なパターンである。

 

 この家族の抱える問題の原因が、家計の現実を見れない妻にあるのは間違いないのだが、それを放置してきた夫にも責任はある。

 

 記事で著者は、「優しい夫」は悪くはありません、妻も、「自分」だけではなく「家族」を思いやり、みんなが幸せになれるお金の使い方を考えることが必要、だと優しくたしなめているが、このままでは妻の「住宅購入一直線」の思考回路が変わることはないだろう。

 

 私が相談員の立場であったら、まず第一に「給与の管理を夫がして、必要な生活費をその都度夫婦で話し合って、合意できた金額を渡す」ことをアドバイスする。

 収入の範囲内で、分相応の暮らしをしない限り住宅購入はできないことを身をもって感じるしか方法はないだろう。もっとも簡単に合意形成ができるとは思えないが。

 懸念すべきは、おカネが足りなくなってクレジットカードでの支払いを増大させたり、カードローンやキャッシングなどに走る可能性があること。

 クレジットカードについては、妻名義のカードを取り上げるのが一番だが本人が拒否するのであれば、夫が自主的に解約を申し込むしかない。幸い専業主婦世帯なので、世帯主が申し込めば申請は通るはずだ。

 

 あとは最終手段として消費者金融などに駆け込む可能性もあるが、これに対応するには日本賃貸業協会の貸付自粛制度などを利用するしかないだろう。

 

 以上をまとめると、経済観念に乏しく「夢」を見ることしかできない人には、厳しい現実に直面させるしか方法はないと思う。

 相手が納得できなければ、最悪離婚にまで発展する可能性もあるが、多額の借金を抱えて自己破産するのとどちらが良いかは、個々の家庭の判断になるのだろうが。