生き残れるビジネスマンになる21の思考実験
北村 良子
2018年12月27日
パズル作家という異色の肩書を持つ著者が、ビジネスマン向けに「思考実験」という切り口で書いた本で
ある。
取り上げる思考実験の例題には、「囚人のジレンマ」のように有名な内容も含まれるが、パズル作家だけに
取り上げる思考実験の例題には、「囚人のジレンマ」のように有名な内容も含まれるが、パズル作家だけに
問題提起とその解説が解妙な語り口と噛み合ってとても読みやすく、面白いと感じた。
一日に1章を15分で読めば全7章を一週間で読めるとのメッセージが裏表紙にあるがが、特に読みにくい表
現などはないので、1冊を読むのに1時間もあれば十分だろう。
ただし、この本の面白さはあくまで「一般常識への問いかけ」としてであり、著者が意図している「ビジネ
ただし、この本の面白さはあくまで「一般常識への問いかけ」としてであり、著者が意図している「ビジネ
ス向けに役立つ思考のヒント」(p191)になるかと言えば、そこは微妙だろう。
これまでの著作のタイトルを見ると「思考力」「発想力」「地頭力」などのキーワードが目立つが、具体的
これまでの著作のタイトルを見ると「思考力」「発想力」「地頭力」などのキーワードが目立つが、具体的
な経歴の記載がないので確証はないものの、おそらく著者にはビジネスの実践経験(いわゆる会社勤め)の経
験はないと思われる。
会社組織での実経験がないから「内容がいまひとつ」などと偉そうなことを言うつもりは毛頭ないが、ビジ
ネスの現場でキリキリ揉まれる人々にとっては、おそらく本書は「具体的なアドバイスになっていない」とい
った感想を持つのではなかろうか。一言で言えば「ツッコミ不足」なのである。
タイトルにある「生き残れるビジネスマンになる」というのは、ちょっと誇大表現だろう。直接的には生き
残りのノウハウは書かれていない。
逆に言えば、生真面目なビジネスの視点はとりあえず脇に置いて、パズルを解くような「頭の体操」を欲し
逆に言えば、生真面目なビジネスの視点はとりあえず脇に置いて、パズルを解くような「頭の体操」を欲し
ている人には気軽に読める内容だと思う。
おそらく著者の狙いもそこにあるのだとは思うが。