如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

まずは「一点突破」で旗を揚げよ!

 

自分マーケティング―― 一点突破で「その他大勢」から抜け出す

川上 徹也

2018年12月3日

 コピーライターで「ストーリーブランディング」を得意とする著者が、会社での「その他大勢から抜け出す」
ことを目標に執筆した「自らを周囲にアピールする」ためのテクニック本である。

 タイトルに「自分マーケティング」とあるが、この分野でよく話になる「セルフブランディング」との違い
を序章で解説している。

 簡単に言えば、マーケティングは「相手にアピールする」もので、ブランディングは「相手からイメージし
てもらう」ものなのだが、私も含めてこの2つをきっちり区別していない人は意外に多いかもしれない。

 で、実際にどのようにマーケティングするかなのだが、著者の主張を一言で言えば、「一点突破で旗を揚げ、
その一点で周囲に認知してもらう」(p6)に集約される。

 具体的な手法は、第3章に書かれているが、まずは「自分の強み」を洗い出して、9つある戦術‘(狭い分野
でナンバー1になるなど)で突破するというものだ。

 この9つの戦術だが著者が「カッコいい方法ではなく泥臭い」(p104)と書いているように「あっ!と驚
たり」「その手があったか!」といった意外性のある内容ではない。ただ天才ではない私を含めた普通の人
が「その他大勢」から抜け出すには、「こうした地道なことを積み重ねるしかない」(同)のが事実だろう。
 
 ただ、本書を読んで感じたのは、提案する手法を「机上のイメージ」として抽象的に展開するのではなく、
「現実の成功例」を具体的に紹介しているということだ。

 全4章に渡って、実際の自分マーケティングの成功例が、有名人や個人事業主などジャンルを問わず幅広く
取り上げているのは、これから取り組む者にとっては参考にしやすいはずだ。

 最終的な目標が、相手側からアプローチされる「ブランディング」であるにしても、まずは相手ヘの「マー
ケティング」から始めるのが、一見回り道に見えても正解のはず。

 個人的には戦術2の「自分が興味あることにどっぷりハマる」というのが取っ掛かりやすいのでは、と思
った。