『週刊東洋経済』編集長が転職しない理由(PRESIDENT Online)
経済誌のWebサイトPRESIDENT Onlineに7月16日付けで「『週刊東洋経済』編集長が転職しない理由」という記事が掲載された。
現在の週刊東洋経済の編集長である山田俊浩氏と書評サイトHONZ代表の成毛眞氏の対談というスタイルなのだが、なにゆえ「東洋経済オンライン」ではないのかという疑問は別として内容は面白い。
山田氏は前職の東洋経済オンラインのPVをそれまでの月3500万から2億まで引き上げた大功労者で、急成長期には他の雑誌に掲載されたインタビューも読んだ記憶がある。この時も「なぜ東洋経済オンラインではないのか」という疑問を持ったが。
記事の内容は、肝心のPVを大きく引き上げた実績や仕組みなどには触れておらず、東洋経済新報社の会社組織の解説(社風や給料など)が主体。
キモはタイトルにもあるが、山田氏が他社からスカウトの引き合いを断って会社にとどまったのは、ひとつの組織で頑張ったことで待遇や環境がよくなったことが主因という内容だ。
まあこれだけだと本人も言うように単なる「結果論」なのだが、山田氏の見解のなかで「なるほど」と感じたのは「(会社を辞めるのに)感情的には動かない方がいい」とうコメント。不本意な人事異動などがあると本人は「大事件」のように感じても、周囲は「それほど大したことだと考えていない」という指摘は、この春異動になって現在の仕事や職場に違和感や不満を感じている人には価値のある指摘だと思う。
記事では成毛氏が最後にまとめているが、会社そのものの調子がいいときは留まった方がよくて、逆に会社や業界の状況が悪化している場合は辞めた方がいい、というのが転職するかどうかの判断の基本だろう。
とはいえ、大した新商品でもないのに、営業マンへの過激なノルマで急成長しているブラックな職場環境の企業も少なくないので、一概に「好業績=やめない方がいい」とはならないが。
まあ、私がその会社を判断する基準としては「仕事場の壁に営業成績の個人別ランキングを張り出している会社は真っ先に回避」すべきだ。
なぜならこれは「人間」を工場の生産ラインの「機械」と同様に扱っている証拠だからだ。つまり「営業成績の悪化=機械の効率低下=さっさと置き換え」という行動をとることが明白なのだ。
昨今の終身雇用制度の崩壊や大企業の大規模リストラなどを背景に巷でもよく言われることだが、「会社」ではなく「個人」で通用するスキルを磨き続けることは、イザという時の「保険」になる可能性は高い。これは自分への自戒も込めてだが。