300万人男余りでも女性が婚活で苦労する背景(東洋経済オンライン)
荒川 和久 : ソロもんラボ・リーダー、独身研究家
もともと結婚願望は女性の方が強い、というのは昔から言われていたように思うが、具体的なデータで検証、婚活市場では男性が大量に余っていても、女性が苦労している現状を解説する記事「300万人男余りでも女性が婚活で苦労する背景」が7月25日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
記事は大きく分けて2つで構成され、前半は女性が苦労しているデータとして、結婚意欲という点では20歳から39歳までの年齢ではすべて女性の方が結婚意欲が高く、この意欲の違いを34歳までの未婚男女の人口差に当てはめると男女差は約9万人、20代に限れば25万人の「女余り」となると解説している。
とまあ、ここまでは納得のいく内容ではあるのだが、後半を読んでやや気分が悪くなった。
というのは、記事では2018年の内閣府の「少子化社会対策に関する意識調査」が引用されているのだが、ここで女性の希望する相手の年収の希望は全体の72%が400万円以上を希望する一方で、未婚男性の実際の年収分布は81%が400万円未満なのである。
ちなみに、同じビジネスマンを対象とする雑誌プレジデントのWeb版PRESIDENT Onlineの7月24日でも「婚活女性の6割が"最低700万"という理由」という、これまた相手に非現実的な高い年収を希望する記事が掲載されている。
ここで個人的に言いたいのは、女性は自分の年収を棚に上げて相手に生活資金の補完を依存するという身勝手さである。ちなみに記事にはないが内閣府の同調査によれば、女性の年収分布で最も多いのは100万円未満の30.3%で、300万円以下は合計で73.3%に達する(P66)。
家事手伝いや非正規雇用などで女性の年収水準が引き下げられているのは想像できるが、自分の収入の足りない分をそのまま結婚相手に要求するのでは、押し付けらる男性はたまったものではない。「稼ぐ」だけの昔と違って、現在は「家事」「育児」もこなして当たり前の結婚に魅力を感じないのは理解できる。
記事では、女性が相手の対象年齢を50代に引き上げても女余りは逆に拡大すると分析し、結婚意欲の薄い未婚男性にターゲットを絞って、彼らをどうやったら動かせるかの「お膳立て」を考えるほうが得策、と提案している。
はっきり言って、この結論は「未婚男性」をバカにしているとしか思えない。「お膳立て」が何を意味するのか不明だが、そもそも年収という基本スペックが弱いのだから、未婚男性の結婚意欲を高めようとするなら、それ相応の他のスペック向上努力(容姿、性格、教養など)が不可欠だろう。
そしてこうした努力を惜しまない女性は、そもそも年収100万円レベルに安住しているはずがない。言い方は悪いが結局のところ結婚願望が強い女性が結婚できないのは「大いなる勘違いと分不相応の高望み」ということに集約されるのだ。
このような勘違い女性と結婚して得られるメリットは男性にはほとんどない。むしろ生活水準が低下するデメリットは必至だろう。
ちなみに内閣府の調査では、「どのような状況になれば結婚すると思いますか」という設問に対して、男性の回答では「経済的に余裕ができること」が 46.7%とトップで女性と比べて有意に高くなっている(p41)。(ただし対象は結婚意向のある人なのであくまで参考)
結婚願望のある女性の喫緊の課題は、収入の向上を第一に基本スペックの向上であり、そして無意味な高望みを諦めることである。