如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

資産価値ランキング100、JR中央線はたった1駅!

無料住宅情報誌「SUUMO」2019.8.6号

 

 ここ数年、不動産購入の際の専門家たちのアドバイスとして「将来の資産価値が上がる、もしくは下落しにくい物件」を勧める傾向が強いと感じている。

 

 近い将来を見ても、人口・世帯数の減少、新築物件の供給過多、生産緑地法の影響(延長はされたが)、など不動産価格の下落要因には事欠かないのが実情。

 また、夫婦共稼ぎが一般化し、通勤の利便性重視から「都心」かつ「駅近」の物件に人気が集中、「郊外」の物件は敬遠されているようだ。特に今年に入ってからは郊外物件の供給減少は著しい。少しでも資産価値を維持したい気持ちは理解できる。

 

 ただ価格的には最高値圏にあるマンション価格を受けて、新規マンションの供給は手控えられており、手元にある無料の住宅情報誌「SUUMO新築マンション」の2019年8月6日号の東京市部・神奈川北西版の最新号では、紹介物件数は全部で12件しかないうえ、そのうち半分の6物件はすでに竣工済。これから販売予定とされる竣工前物件は6つしかない。物件の選択肢は極めて狭まっている印象だ。

 

 こうしたなか、将来の資産価値を見る上で参考にするための「資産価値ランキング100」が、特集記事として掲載された。

 

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SUUMO最新号

 確かに購入予定者にとっては関心の高い要因だし、物件価格も高値圏にあるのでタイミングのいい記事だとは思う。ランク上位を見ると、原宿(1位)、半蔵門(4位)、麻布十番(6位)といった土地の価格が超高いブランドエリアが当然ながら上位に出てくる。豊洲(19位)、勝どき(21位)など湾岸地区も人気エリアだ。

 

 とまあ、ここまでは予想の範囲内なのだが、ランキングを100位まで見て驚いたのは、何とあの東京市部で最も人気のあるJR中央線(快速)が、阿佐ヶ谷の1駅のみ、しかも92位にしかランクインしていないのである。

 

 ちなみに中央線に並行して走る各駅停車の総武線は、市ヶ谷(11位)、飯田橋(24位)などが入っているが、これらの駅は山手線の内側の超ブランドエリア。中央線でもマンションの供給が十分にあり、人気もある中野から立川までの主要区間の駅がひとつしか入っていない事実には驚いた。

 

 さらに驚いたのは、赤土小学校前(30位)、小村井(45位)、といった23区にも関わらず、おそらく地元以外のほとんどの人が見たことも、聞いたこともないような駅がランクインしていること。

 

 ちなみに小村井(おむらいと読む)は、東武鉄道の亀戸線という支線の中間駅で路線距離は3.4km、駅は始点終点を含めて5つしかない。実は私は20年以上前に小村井近くの賃貸住宅に住んできたことがあるのだが、当時は良くも悪くもローカルな商店街というイメージしかない。都心3区の人気過熱の余波が、こういったマイナー路線にまで波及したということだろうか。

 

 ちなみに上位100ランキングに中央線が1駅しか入っていないことを先に書いたが、特集記事では、その後のページで「東京市部」版として上位20駅のランキングも掲載しており、こちらには「三鷹」「吉祥寺」などJR中央線が6駅入っていることは補足しておきたい。