如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

電車で騒ぐ子供には「言葉」では通用しない場合もある

手を挙げるのは厳禁だが、態度で示すのは有効だったという実例

 

 2月7日付けのプレジデントオンライン(POL)に「電車で騒ぐ子供を「静かにしなさい」と叱ってもうまくいかない根本原因」というタイトルの記事が掲載された。

 

               f:id:kisaragisatsuki:20210210112631p:plain

 趣旨を簡単にまとめると、子供を問題行動を起こすようなキレやすい人間にしないためには「肯定的で具体的な行動を促す声かけ」を意識すし、頭ごなしの否定の言葉はNG――ということだ。

 記事では具体例として「電車のなかで静かにしてほしいときなら、「騒がないで」ではなくて「お口を閉じましょうね」「本を読もうか」というといった具合です」と解説している。

 

 記事を執筆したのは早稲田大学教育学部教授の本田恵子氏。中高の教員を勤めた後に渡米しカウンセリング心理博士号を取得、スクールカウンセラーの専門家である。

 

 今回は記事についてとやかくケチを付ける気はない。著者が書いているように、子供に対して「騒がないで」「走らないで」などのように否定的な言葉で接するよりは、「本を読もうか」「ゆっくり歩こう」という別の行動に目を向けさせるというのは、有効な手段のひとつである。

 これと同じような手法に、部屋を散らかしている子供に「どうして散らかすの!」と怒るよりも、「どこに仕舞うのだっけ?」と話しかけて子供が主体的に行動できるように仕向けるというやり方も知られているところだ。

 

 私が今回言いたいのは、こういった「言葉」でいくら説得しても大人の言う事を聞かない子供に対してどう対処するかという問題である。

 電車内など公共の場でこうした子供に遭遇すると、どうしても「怒り」の感情が高まってしまうのは私の悪いところなのだが、あかの他人の子供に注意する義務はないし、親が出てきて揉めるのも面倒である。かといって放っておけば迷惑この上ない。

 

 ここで実際に数年前、私が取った行動を披露したい。結論から言えば効果は「絶大」だった。

 場所は通勤帰りの電車のなか、途中で塾帰りと思わる小学生2人が乗り込んできて、大声で話始め、じゃれ合うなど周囲にかなりの迷惑をかけていた。しばらくして60代後半ぐらいのおばさんが子供たちに「静かにしないとダメよ」から始まって「もう少しおとなしくして」などと声を掛けたが一向に騒ぎは収まらない。ちなみに周囲の他の大人たちは見て見ぬふりを決め込んでいる。

  私はドアをそばに背中を預けて新聞を読んでいたが、時間が経つにつれて子供たちの傍若無人な態度に我慢できない感情に包まれていた。

 

 そこで私は、手に持っていた新聞を丸めて棒状にし、隣のドアの窓を「バシッ!」と結構な音が響くように叩いた

 その瞬間、車内の空気がガラッと変わり、2人の小学生は瞬時に沈黙、直立不動の姿勢となり、そのまま降りる駅まで2人とも一言も話さなかった。

 私は「バシッ!」の際に子供を睨んだ訳でもないし、その後は新聞を広げ直して読み始めたが、それまで「言葉」で注意していたおばさんも同じように沈黙、その心中を察するに「私のような手法は自分には容認しがたいが、効果は認めざるを得ない」といったところだろう。

 ないとは思っていたが、もし誰かから意見されたら「窓のハエを叩いた」とでも言っておくつもりだったのだが余計な心配だった。

 

 小学生の側に立てば、「次は自分たちがバシッ!の対象になるかも」という恐怖があったかもしれないが、それよりも「大人を怒らせると怖い」ということを身をもって実感したのではないだろうか。

 

 体罰や暴力は私も反対だが、言葉でいくら言ってもマナーを守れない子供がいるのは事実。そうした場合に私のような「牽制」をかけるのは間違いではないと思う。実際に効果はてきめんだった訳で。

 

 記事を書いたカウンセラーの先生がいう事は正論だが、公共の場では「言葉」だけでは通用しないという現実もあるということを知ってほしい。