如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

「てんや」で思わず「うん」と言ってしてしまった女子店員の「注文のお願い」

 私は基本的に買い物の際に、ショップの店員からの「なにかお探しですか?」といった声掛けには「いいえ結構です」と対応するタイプである。

 

 必要があれば、店内に入ってすぐに店員さんに「これはどこにあります?」と聞くし、そこに購入予定の商品とは異なるが、似ていて気になるモノがあれば、その違いなどの特徴をその場で店員さんに聞いて確かめることはある。

 いずれにせよ声かけの主導権はこちらが持っている。店員からのオススメなどを頼りにすることはない。

 

 ところが、このポリシーに反して主導権を店員さんに取られてしまうという「失態」を最近演じてしまった。

 

 場所は、JR中央線のとある駅に近い天丼の店「てんや」である。

 いつもは入り口のレジカウンターで、普通の「天丼(並)」を頼んで、すぐに席に向かうのだが、この日のレジ担当はいつものオバサンではなく、若くてかわいい女性だった。これだけなら大した話ではないのだが、注文後にその女性が「今が旬の生姜も頼んでくれるとうれしいな!」と満面の笑みでお願いしてきたのである。

 

 いつもであれば普通に相手にしないのだが、この「若い女性」「うれしいな!」「満面の笑み」の3点同時攻撃を受けて、あろうことか私は「じゃあ、それも」と即答してしまったのである。これは私にとっては平時の行動はないと言っていい。

 席に座ってすぐに原因を考えたのだが、もっとも大きかったのは「・・・も頼んでくれるとうれしいな!」という言葉だったと感じた。

 

 よくある店員からのオススメでは「・・・はいかがでしょうか」のように、店員がお客に対して「注文」を要請している。それは単に客の希望を聞くという立場だ。

 ところが今回の女性店員は、「頼んでくれるとうれしいな」という表現を使うことで、注文すると目の前の店員さん(くどいようだが若い女の子)が喜んでくれる、というオマケが付いてくるのだ。

 

 悪く言えば「媚を売っている」訳だが、今回、私自身はなぜか不快感は感じなかった。店員さんの行為全体に不自然さがなく、会話を楽しめたという感触があったためだろう。

 

 その後、「てんや」には同じ店や他の店舗にも入ったが、こういった「お誘い」を受けることは全くなかった。推測するに、彼女の行動は「本部」や「支店長」などの指示によるものではなく、あくまで個人の機転と判断で行ったものだろう。

 

 店舗運営マニュアルに沿った行動が大原則の外食チェーン店で、このような機転の利いた行動を起こせるアルバイトがいるのに驚くとともに、外食産業も「まだまだ捨てたものではない」かもしれないと感じた。